診断のための臨床判断に必要な検査について②[ラボ NO.455(2016.12.発行)より] | 日本臨床検査専門医会|臨床検査医になるために
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検査値異常の判断法

診断のための臨床判断に必要な検査について②[ラボ NO.455(2016.12.発行)より]

顔色が悪い・動くと動悸や息切れがある(貧血)

顔色が悪い・動くと動悸や息切れがある(貧血)

身体中に酸素を運ぶ、赤血球中のヘモグロビン(Hb)が不足した状態を「貧血」といいます。WHOの定義では、男性≦13.0g/dL、女性≦12.0g/dLです。
Hb8.0g/dL前後まで貧血が進むと、急に酸素必要量が増える時=動くと(労作時)、動悸や息切れが出現します。「顔色が悪い」と指摘されるのもこのころです。
貧血は平均赤血球容積(MCV)から原因を推定することができます。
小球性(≦80fL):鉄欠乏による場合が殆どですので、血清鉄、総鉄結合能、貯蔵鉄量を示すフェリチンを測定します。鉄欠乏が確認されれば、出血源の検索に進みます。消化管の悪性腫瘍をチェックする上部・下部消化管内視鏡はとくに重要です(原因は血液疾患ではありません)。
正球性(80-100fL):まず、網赤血球(出来立ての赤血球)数を測定します。網赤血球↓かつ白血球や血小板も減少している場合は骨髄穿刺検査を行います。腎性貧血では赤血球だけが減少しますので、腎機能検 査(尿素窒素、クレアチニン)、エリスロポエチンを調べます。
網赤血球↑なら溶血や出血を考えます。同時にハプトグロビン↓がみられれば溶血がありますので、原因の精査に進みます。
大球性(100fL≦):巨赤芽球性貧血は、ビタミンB12 and/or葉酸の不足による貧血です。その他、アルコール多飲、甲状腺機能低下症、慢性肝疾患、骨髄異形成症候群等で大球性貧血を呈します。

出血が止まらない、紫斑や点状出血がみられる(出血傾向)

出血が止まらない、紫斑や点状出血がみられる(出血傾向)

とくに原因がないのに出血し、いったん出血するとなかなか止まらない、皮下出血(紫斑、点状出血)が出来 やすいという状態を出血傾向といいます。まず、家族歴を確認し、先天性出血性疾患の可能性を吟味します。
スクリーニング検査として、血小板数、プロトロンビン時間(PT)、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)、フィブリノゲン量を調べます。4つのうち複数に異常がみられる場合はFDP/D-ダイマー、末梢血血液像、血液生化学検査(AST、LD、尿素窒素、クレアチニンなど)を確認します。
重篤な病態である播種性血管内凝固症候群(DIC)では、血小板数・フィブリノゲン量↓、PT・APTT↑、FDP/ D-ダイマー↑、破砕赤血球出現など、多彩な異常を呈します。

頸部や腋窩が腫れる(リンパ節腫脹)

頸部や腋窩が腫れる(リンパ節腫脹)

リンパ節腫脹の持続期間、性状、随伴症状などは原疾患の鑑別に役立ちますが決め手にはなりません。
現病歴や臨床症状から感染症が疑われる場合は、EBウイルス、サイトメガロウイルス、クラミジア、トキソプラスマ等の抗体(IgM、IgG)を検索します。自己免疫疾患が疑われる場合は、自己抗体、IgG4などを検索します。
腫脹が4 ~ 6週以上に及ぶ場合は悪性リンパ腫、癌の転移などを疑い、リンパ節生検を行って病理診断に進みます。CTやMRIで従隔や腹部のリンパ節腫脹、脾腫の有無を確認することも大切です。

●日本臨床検査専門医会:種々の検査を通して診断や治療に役立つ検査結果と関連する情報を臨床医に提供する臨床検査医の職能団体です。