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1胸が痛い(胸痛)
胸痛を呈する疾患の中で絶対に見逃してはならない、生命に関わる重大疾患が急性心筋梗塞・大動脈解離・肺血栓塞栓症です。逆にいうと、胸痛の原因がこの3疾患ではないとわかれば危機感・切迫感はかなり減少します。
胸痛の性状や持続時間などは診断上有用な情報を与えますが、高齢者や糖尿病患者では疾患の重症度より軽めの痛みにとどまることがありますので注意が必要です。
まず、心電図を取ります。次に血液検査で白血球数、CRP、心筋マーカーと称されるCK、CK-MB、トロポニン(TnT/TnI)、心臓型脂肪酸結合蛋白(H-FABP)、心筋ミオシン軽鎖などを調べます。心電図異常(T波増高、ST上昇など)がみられ、白血球数、CRP、心筋マーカーが高値を示す場合は急性心筋梗塞と診断されます(右下グラフ参照)。
大動脈解離、肺血栓塞栓症の診断には造影剤を用いたCT検査を行います。血液検査では凝固・線溶系(D-ダイマー、SFMCなど)の亢進を確認します。
2腰や背中が痛い(腰痛・背部痛)
腰背部痛をきたす疾患のうち内臓疾患は除外し、筋骨格系に原因がある疾患に絞って話を進めます。
腰背部痛を訴える患者さんが50歳以上(とくに70歳以上)で、体重減少、発熱、神経学的異常(しびれ、感覚鈍麻、運動障害など)がみられ、安静時も痛い、1カ月以上痛いと訴える場合は、癌の骨転移、感染性脊椎炎、骨折の可能性を考えるべきであるといわれています。
X線写真、CT、MRI等の画像検査に加え、血液検査も重要です。男性患者さんで癌の骨転移が疑われる時にはPSA(前立腺癌の腫瘍マーカー)を測定します。感染性脊椎炎が疑われる時には白血球数やCRPで炎症の有無をチェックし、血液培養で血液中の病原菌を調べます。高齢者に多い血液悪性疾患で、骨を破壊し骨折を招くことがある多発性骨髄腫は、血中や尿中の異常な蛋白質が診断のとっかかりになります。
3節ぶしが痛い(関節痛)
関節痛を訴える患者さんが、「リウマチではないか……」と心配して受診するのはよくみられることです。痛む関節の部位や性状で関節リウマチかどうかはある程度鑑別出来ますが、診断は血液検査でリウマトイド因子(RF)、抗CCP抗体、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP-3)、CRPなどを測定して行います。
関節リウマチ患者における抗CCP抗体陽性率は80%程度ですので、20%は見落とす可能性がありますが、関節リウマチ以外の疾患で陽性を呈することは殆どありません。また関節エコーは、X線写真ではわからない早期の関節病変を検出するのに役立ちます。
●日本臨床検査専門医会:種々の検査を通して診断や治療に役立つ検査結果と関連する情報を臨床医に提供する臨床検査医の職能団体です。