インフリキシマブは,TNFα を標的とした抗ヒト TNF-α モノクローナル抗体製剤である。関節リウマチの病態形成においては,炎症性サイトカイン(TNF-α,IL-6 等)が中心的役割を果たしていることが明らかになり,それらの作用を制御する生物学的製剤が関節リウマチ治療に用いられている。
インフリキシマブの標準用量は,3mg/kg を初回投与後,2 週,6 週,以降 8 週間の間隔で投与するとなっているが,効果不十分の場合,最大 10mg/kg への増量や 4 週間隔への投与間隔の短縮などの用量調節が認められている。また,インフリキシマブ投与量の増量の有効性及び安全性を比較検討する臨床試験では,症状軽減効果とトラフ血中インフリキシマブ濃度の関係が評価され,その結果,インフリキシマブの有効性はトラフ血中濃度に依存し,少なくともトラフ血中濃度を 1μg/mL 以上に維持する必要があるとされている。
本品は,イムノクロマト法の原理に基づいて,血清中のインフリキシマブを検出する試薬である。血清中のインフリキシマブを検出し発色したラインの強さと,同時に測定するカットオフコントロールのラインの発色の強さを比較し,血清中のインフリキシマブ濃度が 1μg/mL 未満か 1μg/mL 以上かを判定する。
本品により,インフリキシマブの治療効果が不十分な患者において,血清中のインフリキシマブ濃度が 1μg/mL に満たない患者を簡易且つ迅速に判断することが可能であり,検査当日に治療方針を決定するための指標として有用である。
算定条件は,関節リウマチの患者に対して,インフリキシマブ投与量の増量等の判断のために,イムノクロマト法により測定した場合に,患者 1 人につき 3 回を限度として算定できることとなっている。
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