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新規保険収載検査

D023 微生物核酸同定・定量検査 区分:E1(既存項目) SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)核酸検出 D012 感染症免疫学的検査 区分:E1(既存) SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)抗原検出(定性) D007 血液化学検査 区分:E3(新項目) コクリントモプロテイン(CTP)

令和 4年 4月8日より保険適用 D023 微生物核酸同定・定量検査 区分:E1(既存項目)
SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)核酸検出
D023 微生物核酸同定・定量検査 区分:E1(既存項目)
SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)核酸検出
*SARS-CoV-2 RNA検出試薬LAMPdirect Genelyzer KIT(承認番号:30400EZX00033000)
一般的名称 SARSコロナウイルス核酸キット
製品名 SARS-CoV-2 RNA検出試薬LAMPdirect Genelyzer KIT
(承認番号:30400EZX00033000)
製造販売元 キヤノンメディカルシステムズ株式会社
保険点数 700点
主な使用目的 唾液中のSARS-CoV-2 RNAの検出(SARS-CoV-2感染の診断の補助)
測定方法 LAMP(Loop-Mediated Isothermal Amplification)法
検 体 唾液
有 用 性 COVID-19診断に関連する検査として、核酸検査、抗原検査、抗体検査があるが、核酸検査(LAMP法を含む)は、最も検出感度が高く、パンデミックの当初から利用され、国際的にも標準的に検査法として利用されている。核酸検査は検出感度が高いものの結果の判明までに時間がかかる(1時間以上)場合が多いことから、簡便・迅速な診断が求められる臨床現場において、専用の等温増幅蛍光測定装置と組み合わせて使用することで、測定開始後20分後に判定結果が表示される本品は、SARS-CoV-2感染診断の補助として有用であると考えられる。
説 明 本品は専用検査装置である「等温増幅蛍光測定装置 Genelyzer MII DGL-0003A」等を用いてSARS-CoV-2を検出する。対象検体はLAMPdirect試薬と混合後、5分間加熱処理する。予め調製した増幅反応溶液と熱処理された対象検体を専用チューブストリップに分注し専用装置で20分間測定を実施する。本品の臨床性能は、唾液を用いた臨床性 能試験において、国立感染症研究所の「病原体検出マニュアル2019-nCoV Ver.2.9.1」に従ったRT-PCR検査法(以下、「感染研法」という。)との比較が行われ、下記の通りの一致率を示した。
- 陰性一致率:100%(15/15)
- 陽性一致率:90%(9/10)
なお、本品と感染研法では結果が一致しなかった1例については、ウイルス量が20コピー/反応未満と少ない2検体のうちの1検体であった。
注意事項 - 本品で判定が陰性であっても、SARS-CoV-2感染を否定するものではありません
- 診断は厚生労働省より発表されている医療機関・検査機関向けの最新情報を参照し、本品による検査結果のみで行わず、臨床症状も含めて、医師が総合的に判断してください
- 検体採取、取扱いについては必要なバイオハザード対策をとってください
- 検査に用いる検体については、厚生労働省より公表されている「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針」を参照してください
参考文献 1) 国立感染症研究所「病原体検出マニュアル 2019-nCoV Ver.2.9.1」(オンライン)
入手先 https://www.niid.go.jp/niid/images/lab-manual/2019-nCoV20200319.pdf
2) 厚生労働省「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針 第5.1版」(オンライン)
入手先 https://www.mhlw.go.jp/content/000914399.pdf
製品関連URL https://jp.medical.canon/products/poct/Genelyzer_KIT
文責:キヤノンメディカルシステムズ株式会社/ 監修:日本臨床検査医学会臨床検査点数委員会
令和 4年 6月1日より保険適用 D012 感染症免疫学的検査 区分:E1(既存)
SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)抗原検出(定性)
D012 感染症免疫学的検査 区分:E1(既存)
SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)抗原検出(定性)
アンスペクトコーワ SARS-CoV-2(株式会社医学生物学研究所)
保険点数 300点
製品名 アンスペクトコーワ SARS-CoV-2
製造販売元 株式会社医学生物学研究所
使用目的 唾液中のSARS-CoV-2抗原の検出(SARS-CoV-2感染の診断補助)
測定方法 免疫クロマト法
検 体 唾液
有 用 性 ・国内臨床検体(唾液)を用いてRT-PCR法との相関性試験を実施した。 RT-PCR法(国立感染症研究所「病原体検出マニュアル2019-nCoV Ver.2.9.1」)との相関性試験
- 陽性一致率:72.3%(47例/65例)
- 陰性一致率:100%(106例/106例)
・国内臨床検体(唾液及び鼻咽頭ぬぐい液)を用いて既承認品との相関性試験を実施した。 既承認品(抗原検査法(簡易キット))との相関性試験
- 陽性一致率:74.6%( 44例/ 59例)
- 陰性一致率:97.3%(109例/112例)
説 明 新型コロナウイルスは、βコロナウイルスに分類されるコロナウイルスである。新型コロナウイルス肺炎は急性呼吸器感染症の1つであり、有症状の患者からの感染が主であるが、無症状の感染者からも感染する可能性がある。現在の疫学調査に基づくと、潜伏期間は1~14日で、ほとんどは3~7日である。主な症状は、発熱、乾いた咳、倦怠感などである。鼻づまり、鼻水、喉の痛み、筋肉痛、下痢などの症状も出ることがある。
COVID-19における検査については、現在、核酸検出検査(リアルタイムRT-PCR等)、抗原検査(定性、定量)が実施されている。いずれの検査でも病原体が検出された場合、検体採取時点における感染が確定される。
本品は、唾液中のSARS-CoV-2抗原を免疫クロマト法により定性的に検出する試薬である。特別な機器、技術を必要とすることなく、簡便かつ迅速に検査することができる。本品の検査結果はSARS-CoV-2感染の診断の補助において有用であると考えられる。
留意事項 SARS-CoV-2 抗原検出(定性)は、当該検査キットが薬事承認された際の検体採取方法で採取された検体を用い て、SARS-CoV-2(新型コロナウイルスをいう。以下同じ。)抗原の検出(COVID-19(新型コロナウイルス感染症をいう。以下同じ。)の診断又は診断の補助)を目的として薬事承認又は認証を得ているものにより、COVID-19の患者であることが疑われる者に対しCOVID-19の診断を目的として行った場合に限り、「26」マイコプラズマ抗原定性(免疫クロマト法)の所定点数2回分を合算した点数を準用して算定する。ただし、感染症の発生の状況、動向及び原因を明らかにするための積極的疫学調査を目的として実施した場合は算定できない。
COVID-19 の患者であることが疑われる者に対し、診断を目的として本検査を実施した場合は、診断の確定までの間に、上記のように合算した点数を1回に限り算定する。ただし、発症後、本検査の結果が陰性であったものの、COVID-19以外の診断がつかない場合は、上記のように合算した点数をさらに1回に限り算定できる。
なお、本検査が必要と判断した医学的根拠を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。なお、SARS-CoV-2抗原検出(定性)を実施した場合、SARS-CoV-2抗原検出(定量)については、別に算定できない。
参考資料 1) 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き(第7.2版)
2) 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針(第5.1版)
製品情報URL https://www.pcr.kowa.co.jp/common/pdf/sars-coV-2_0531_ol.pdf
文責:株式会社医学生物学研究所/監修:日本臨床検査医学会臨床検査点数委員会
令和 4年 7月1日より保険適用 D007 血液化学検査 区分:E3(新項目)
コクリントモプロテイン(CTP)
D007 血液化学検査 区分:E3(新項目)
コクリントモプロテイン(CTP)
CTP ELISA「コスミック」
保険点数 460点
製品名 CTP ELISA「コスミック」
製造販売元 株式会社コスミックコーポレーション
主な保険適用対象 外リンパ瘻が疑われる患者
測定目的 中耳洗浄液中のCochlin-tomoprotein(CTP)の測定(外リンパ瘻の診断の補助)
測定方法 ELISA法
検 体 中耳洗浄液
有 用 性 コクリントモプロテイン(以下、CTP)検査は、外リンパ瘻の診断には欠かせない検査であり、本品の臨床性能試験では、対象群を外リンパ瘻、非対象群を外リンパ瘻以外の類似疾患と正常中耳・炎症中耳としたところ、感度70.0%、特異度98.5%と外リンパ瘻の診断に十分役立つことが示された。
説 明 外リンパ瘻は、内耳リンパ腔と周辺臓器の間に瘻孔が生じ、外リンパが内耳から漏出することによって生理機能が障害される疾患で、難聴やめまいといった症状が現れる。原因は、外傷、疾患、手術、外因性や内因性の圧外傷が考えられるが、明らかな原因、誘因がないものもある。外リンパ瘻と診断された場合、安静にする、もしくは内耳窓閉鎖術により損傷部分を修復する手術を施行することで根治が可能である。
外リンパ瘻の診断は、「外リンパ瘻診断基準」1)に則り行われる。診断基準によると、臨床症状があり、さらに顕微鏡検査・内視鏡検査もしくは生化学的検査のうちいずれかの所見を認めれば外リンパ瘻確実例と診断することができる。
顕微鏡検査・内視鏡検査は、中耳と内耳の間の瘻孔を直接確認する検査であるが、実臨床の場においては、瘻孔を確認できることは稀である。そこで、外リンパの漏出を感度よく確認するための生化学的検査として開発されたのが中耳洗浄液中のCTPを検出する検査(以下、CTP検査)である2)。
CTP検査は、外リンパに特異的な蛋白であるCTPを検出することにより瘻孔から漏れ出てきた外リンパを間接的に確認する検査であり、顕微鏡検査・内視鏡検査と比較し侵襲性が低い検査法である。
CTP検査が保険適用され、今後の外リンパ瘻の診断の一助となることが期待される。
留意事項 別添1第2章第3部第1節第1款D007に次を加える。
(54)コクリントモプロテイン(CTP)検出
- コクリントモプロテイン(CTP)検出は、ELISA法により、外リンパ瘻を疑う患者に対して、診断のために中耳洗浄液中のコクリントモプロテイン(CTP)を測定した場合に、本区分の「63」血管内皮増殖因子(VEGF)の所定点数を準用して算定する。なお、本検査を実施する場合は関連学会が定める適正使用指針を遵守すること。
- 本検査を実施した場合、区分番号「D026」検体検査判断料については、「1」尿・糞便等検査判断料を算定する。
参考資料 1) 急性感音難聴 診療の手引き 2018年版 一般社団法人 日本聴覚医学会.
2) Ikezono T, Matsumura T, Matsuda H, et al. The diagnostic performance of a novel ELISA for human CTP (Cochlin-tomoprotein) to detect perilymph leakage., PLoS One.; 3(1): e0191498., 2018.
製品関連URL https://www.cosmic-jpn.co.jp/
文責:株式会社コスミックコーポレーション / 監修:日本臨床検査医学会臨床検査点数委員会

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