1. HOME
  2. 臨床検査医の方へ
  3. 新規保険収載検査
  4. D023 微生物核酸同定・定量検査:E1 SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)核酸検出 D012感染症免疫学的検査 区分:E1SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)抗原検出 D004-2悪性腫瘍組織検査 区分:E3(改良項目)

臨床検査医の方へ

TOPICS

新規保険収載検査

D023 微生物核酸同定・定量検査:E1 SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)核酸検出 D012感染症免疫学的検査 区分:E1SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)抗原検出 D004-2悪性腫瘍組織検査 区分:E3(改良項目)

令和 3年 11月30日より保険適用 D023 微生物核酸同定・定量検査:E1 SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)核酸検出
D023 微生物核酸同定・定量検査:E1 SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)核酸検出
*ミュータスワコー SARS-CoV-2
保険点数 検査を外部委託する場合:1,800点 ※1
外部委託以外:1,350点 ※1
製品名 ミュータスワコー SARS-CoV-2
製造販売元 富士フイルム和光純薬株式会社
主な対象 ・COVID-19の患者であると疑われる者
・COVID-19の治療を目的として入院している者に対し、退院・就業可能かどうかの判断をする場合
主な測定目的 鼻咽頭ぬぐい液中のSARS-CoV-2RNAの検出(SARS-CoV-2感染の診断補助)
測定方法 PCR法による核酸増幅とキャピラリ電気泳動分離による検出を組み合わせた方法(PCR-CE法)
検 体 鼻咽頭ぬぐい液
有 用 性 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の検査方法は、核酸検出検査(PCR法)がゴールドスタンダードの手法として用いられているが、核酸抽出をはじめとした各工程に煩雑な作業も多く、正確な検査が出来ていない事例が存在している。
本品は、全自動遺伝子解析装置ミュータスワコー g1を用いて約75分でSARS-CoV-2 RNAの測定が可能な核酸定性試薬である。鼻咽頭ぬぐい液を採取したスワブを検体処理液で処理後、前処理チューブに添加した後は全自動で核酸抽出から精製、RT-PCR反応、検出が行われる。簡便・迅速な診断が求められる臨床現場において、SARS-CoV-2感染の診断の補助として有用であると考えられる。
説 明 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は2019年より世界的に流行している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因ウイルスである。COVID-19はインフルエンザに似た症状を持つ呼吸器疾患であり、 感染者は軽度の呼吸器疾患から重症の呼吸器疾患まで幅広い症状を示すが、特に高齢者や特定の心疾患など免疫力の弱い患者では重篤な症状を示す1)。SARS-CoV-2は通常、咳やくしゃみの際に発生する呼吸器系の飛沫によって、人から人へと急速に広がる。
一般的に発症までの期間は2~14日の間であり、平均5日程度である2)。
現時点では、SARS-CoV-2の検出に最も信頼性のある検査はリアルタイムRT-PCR検査であり、次いで他の核酸検出検査、抗原定量検査も実用的な検査である2)。
本品は、SARS-CoV-2の遺伝子上のS領域およびORFa1領域をターゲットとした核酸増幅検査であり、測定機器として「全自動遺伝子解析装置 ミュータスワコー g1」を用いる。対象検体は鼻咽頭ぬぐい液を用い、専用の検体処理液で処理したのち装置にセットして測定を実施する。
国立感染症研究所の「新型コロナウイルス(2019-nCoV)の遺伝子検査法の性能評価について」に基づいて、鼻咽頭ぬぐい液中のSARS-CoV-2 RNAが10~20コピーの検体が2検体及び100~200コピーの検体が1検体を含む陽性10検体と陰性15検体を用い、本品と「病原体検出マニュアル2019-nCoV Ver.2.9.1」に記載のリアルタイムone-step RT-PCR法(感染研法)との相関性を検討したところ、下記の通りの一致率を示した。
・陽性一致率 100%(10例/10例)
・陰性一致率 100%(15例/15例)
・全体一致率 100%(25例/25例)
留意事項 (1)採取した検体を、国立感染症研究所が作成した「感染性物質の輸送規則に関するガイダンス 2013-2014 版」に記載されたカテゴリー B の感染性物質の規定に従って、検体採取を行った保険医療機関以外の施設へ輸送し検査を委託して実施した場合は、当該の区分の「14」SARS コロナウイルス核酸検出の所定点数 4 回分(1,800 点)(※ 2)
を合算した点数を準用して算定し、それ以外の場合(大学病院内で検査する場合など、カテゴリー B 感染物質輸送を行わない場合)は、同点数 3 回分(1,350点)(※ 3)を合算した点数を準用して算定する。なお、採取した検体を、検体採取を行った保険医療機関以外の施設へ輸送し検査を委託して実施した場合は、検査を実施した施設名を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。ただし、感染症の発生の状況、動向及び原因を明らかにするための積極的疫学調査を目的として実施した場合は算定できない。 COVID-19 の患者であることが疑われる者に対し、診断を目的として本検査を実施した場合は、診断の確定までの間に、上記のように合算した点数を 1 回に限り算定する。ただし、発症後、本検査の結果が陰性であったものの、COVID-19 以外の診断がつかない場合は、上記のように合算した点数をさらに1回に限り算定できる。なお、本検査が必要と判断した医学的根拠を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
(2)COVID-19 の治療を目的として入院している者に対し、退院可能かどうかの判断を目的としてSARS-CoV-2 核酸検出を実施した場合は、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律における新型コロナウイルス感染症患者の退院及び就業制限の取扱いについて(一部改正)」(令和3 年 2 月 25 日健感発 0225 第1号)の「第1退院に関する基準」に基づいて実施した場合に限り、1回の検査につき上記のように合算した点数を算定する。なお、検査を実施した日時及びその結果を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
注意事項 検体の採取及び取扱いについては、「2019-nCoV(新型コロナウイルス)感染を疑う患者の検体採取・輸送マニュアル」(国立感染症研究所)3)、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針」(厚生労働省)4)
及び採取用キットの説明書などを参照し、必要なバイオハザード対策を講じること。
参考資料 1)Nastaran T, Fariborz T. Diagnosis of COVID-19 for controlling the pandemic: A review of the state-of-the-art. Biosensors and Bioelectronics 174(2021) 112830.
2) Abdul H, Shmmon A, Sameera A, et al. A Review of COVID-19 (Coronavirus Disease-2019)Diagnosis, Treatments and Prevention. Eurasian Journal of Medicine and Oncology 2020;4(2):116-125.
3)2019-nCoV(新型コロナウイルス)感染を疑う患者の検体採取・輸送マニュアル. 国立感染症研究所(オンライン),
入手先 https://www.niid.go.jp/niid/images/pathol/pdf/2019-nCoV_200602.pdf
4)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針 第4.1版. 厚生労働省(オンライン)、
入手先 https://www.mhlw.go.jp/content/000841541.pdf
製品関連URL https://diagnostic-wako.fujifilm.com/labo/seihinkensaku/search.html?link=D-1
※令和3年12月31日より以下に改定
※1【保険点数】検査を外部委託する場合:1,350点(2022年3月31日まで)、700点(2022 年4月1日以降)
外部委託以外:700点
※2 3回分
※3 当該区分の「9」HCV核酸検出の所定点数2回分
文責:富士フイルム和光純薬株式会社/ 監修:日本臨床検査医学会臨床検査点数委員会
令和 3年 11月30日より保険適用 D012感染症免疫学的検査 区分:E1 SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)抗原検出
D012感染症免疫学的検査 区分:E1SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)抗原検出
*アキュラシード SARS-CoV-2抗原
保険点数 600点
製品名 アキュラシード SARS-CoV-2抗原
製造販売元 富士フイルム和光純薬株式会社
主な対象 ・COVID-19の患者であると疑われる者
・COVID-19の治療を目的として入院している者に対し、退院・就業可能かどうかの判断をする場合
主な測定目的 鼻咽頭ぬぐい液又は鼻腔ぬぐい液中のSARS-CoV-2抗原の測定(SARS-CoV-2感染の診断補助)
測定方法 化学発光酵素免疫測定法(CLEIA法)
検 体 鼻咽頭ぬぐい液又は鼻腔ぬぐい液
有 用 性 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の検査方法には、核酸検出検査と抗原検査(定性、定量)がある。抗原定量検査は有症状者だけでなく、無症状者の診断も可能となっており、また核酸検出検査に比べ判定時間が短いという特徴がある。
本品は、自動化学発光酵素免疫分析装置Accuraseedを用いて約10分でSARS-CoV-2抗原の測定が可能な抗原定量試薬である。全自動で測定が行われ、連続測定の状態になると180テスト/時の検査を行うことが可能であり、早期の診断が求められる臨床現場においてSARS-CoV-2感染の診断の補助として有用であると考えられる。
説 明 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は2019年より世界的に流行している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因ウイルスである。COVID-19はインフルエンザに似た症状を持つ呼吸器疾患であり、 感染者は軽度の呼吸器疾患から重症の呼吸器疾患まで幅広い症状を示すが、特に高齢者や特定の心疾患など免疫力の弱い患者では重篤な症状を示す1)。SARS-CoV-2は通常、咳やくしゃみの際に発生する呼吸器系の飛沫によって、人から人へと急速に広がる。
一般的に発症までの期間は2~14日の間であり、平均5日程度である2)。
現時点では、SARS-CoV-2の検出に最も信頼性のある検査はリアルタイムRT-PCR検査であり、次いで他の核酸検出検査、抗原定量検査も実用的な検査である2)。
本品は、SARS-CoV-2のヌクレオカプシド蛋白質に対する特異的な抗体を用いた2ステップサンドイッチ法による抗原定量検査であり、測定機器としてAccuraseed(R)を用いる。対象検体は鼻咽頭ぬぐい液又は鼻腔ぬぐい液を用い、専用の検体抽出液で処理をして装置にセットして測定を実施する。
国内臨床検体128例(ウイルス保存液を用いた鼻咽頭ぬぐい液)を使用し、RT-PCR法との相関性を検討したところ、下記の通りの一致率を示した。
・陽性一致率 78% ( 46例/ 59例)
・陰性一致率 100%( 69例/ 69例)
・全体一致率 90% (115例/128例)
(0.87pg/mLをカットオフ値とした場合)3)
本品とRT-PCR法との判定が不一致となった理由としては、13例中2例については臨床検体中の抗原量が本品のカットオフ付近であることから検査のばらつきが原因と考えられた。13例中11例については、抗原量とRNA量に乖離が生じていた、もしくは抗原量が本品の検出感度以下であったためと考えられた3)。
留意事項 (1)SARS-CoV-2(新型コロナウイルスをいう。以下同じ。)抗原検出は、当該検査キットが薬事承認された際の検体採取方法で採取された検体を用いて、SARS-CoV-2抗原の検出(COVID-19(新型コロナウイルス感染症をいう。
以下同じ。)の診断又は診断の補助)を目的として薬事承認又は認証を得ているものにより、COVID-19の患者であることが疑われる者に対し、COVID-19の診断を目的として行った場合に限り、「25」マイコプラスマ抗原定性(免疫クロマト法)の所定点数4回分を合算した点数を準用して算定する。ただし、感染症の発生の状況、動向及び原因を明らかにするための積極的疫学調査を目的として実施した場合は算定できない。
COVID-19の患者であることが疑われる者に対し、診断を目的として本検査を実施した場合は、診断の確定までの間に、上記のように合算した点数を1回に限り算定する。
ただし、発症後、本検査の結果が陰性であったものの、COVID-19 以外の診断がつかない場合は、上記のように合算した点数をさらに1回に限り算定できる。なお、本検査が必要と判断した医学的根拠を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
(2)上記に加え、COVID-19 の治療を目的として入院している者に対し、退院可能かどうかの判断を目的として化学発光酵素免疫測定法(定量)又は電気化学発光免疫測定法(定量)によるSARS-CoV-2抗原検出を実施した場合は、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律における新型コロナウイルス感染症患者の退院及び就業制限の取扱いについて(一部改正)」(令和3年2月 25日健感発 0225 第1号)の「第1退院に関する基準」に基づいて実施した場合に限り、1回の検査につき上記のように合算した点数を算定する。なお、検査を実施した日時及びその結果を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること4)。
注意事項 検体の採取及び取扱いについては、「2019-nCoV(新型コロナウイルス)感染を疑う患者の検体採取・輸送マニュアル」(国立感染症研究所)5)、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針」(厚生労働省)6)及び採取用キットの説明書などを参照し、必要なバイオハザード対策を講じること。
参考資料 1)Nastaran T, Fariborz T. Diagnosis of COVID-19 for controlling the pandemic: A review of the state-of-the-art. Biosensors and Bioelectronics 174(2021) 112830.
2) Abdul H, Shmmon A, Sameera A, et al. A Review of COVID-19 (Coronavirus Disease-2019)Diagnosis, Treatments and Prevention. Eurasian Journal of Medicine and Oncology 2020;4(2):116-125.
3)アキュラシード SARS-CoV-2抗原, 2021年11月作成(第1版)
4)検査料の点数の取扱いについて. 保医発0318第1号(令和3年3月18日). 厚生労働省
5)2019-nCoV(新型コロナウイルス)感染を疑う患者の検体採取・輸送マニュアル. 国立感染症研究所(オンライン),
入手先 https://www.niid.go.jp/niid/images/pathol/pdf/2019-nCoV_200602.pdf
6)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針 第4.1版. 厚生労働省(オンライン),
入手先 https://www.mhlw.go.jp/content/000841541.pdf
7)検査料の点数の取扱いについて. 保医発1210第1号(令和3年12月10日). 厚生労働省(オンライン),
入手先 https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/shikoku/iryo_shido/000207536.pdf
製品関連URL https://diagnostic-wako.fujifilm.com/labo/seihinkensaku/search.html?link=C-1
※令和3年12月31日より以下に改定7)
【項目名】SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)抗原検出(定量)
【保険点数】 560点
文責:富士フイルム和光純薬株式会社/監修:日本臨床検査医学会臨床検査点数委員会
令和 4年 1月より保険適用 D004-2悪性腫瘍組織検査 区分:E3(改良項目)
EGFR遺伝子変異、ROS1融合遺伝子、ALK融合遺伝子、BRAF遺伝子変異、METex14 遺伝子変異
D004-2悪性腫瘍組織検査 区分:E3(改良項目)
EGFR遺伝子変異、ROS1融合遺伝子、ALK融合遺伝子、BRAF遺伝子変異、METex14 遺伝子変異
*AmoyDx(R)肺癌マルチ遺伝子パネル
保険点数 10,000点
製品名 AmoyDx(R) 肺癌マルチ遺伝子PCRパネル
製造販売元 株式会社理研ジェネシス
使用目的 がん組織から抽出したDNA中の遺伝子変異(EGFR遺伝子変異及びBRAF遺伝子変異)ならびにRNA中の融合遺伝子(ALK融合遺伝子及びROS1融合遺伝子)及びMET遺伝子エクソン14スキッピング変異の検出・EGFR遺伝子変異:ゲフィチニブ、エルロチニブ塩酸塩、アファチニブマレイン酸塩又はオシメルチニブメシル酸塩の非小細胞肺癌患者への適応を判定するための補助に用いる。
・BRAF遺伝子変異(V600E):ダブラフェニブメシル酸塩及びトラメチニブジメチルスルホキシド付加物の併用投与の非小細胞肺癌患者への適応を判定するための補助に用いる。
・ALK融合遺伝子:クリゾチニブ、アレクチニブ塩酸塩又はブリグチニブの非小細胞肺癌患者への適応を判定するための補助に用いる。
・ROS1融合遺伝子:クリゾチニブの非小細胞肺癌患者への適応を判定するための補助に用いる。
・MET遺伝子エクソン14スキッピング変異:テポチニブ塩酸塩水和物の非小細胞肺癌患者への適応を判定するための補助に用いる。
測定方法 リアルタイムPCR 法(RT-PCR(Reverse Transcriptase(逆転写酵素))法を含むリアルタイムPCR法)
検 体 非小細胞肺癌患者の腫瘍細胞の存在が確認されたホルマリン固定パラフィン包埋組織、新鮮組織
有 用 性 本品は、非小細胞肺癌患者のホルマリン固定パラフィン包埋組織、または新鮮組織から抽出したゲノムDNA中の遺伝子変異(EGFR遺伝子変異およびBRAF遺伝子変異)ならびにトータルRNA中の融合遺伝子(ALK融合遺伝子およびROS1融合遺伝子)およびMET遺伝子エクソン14スキッピング変異を検出する体外診断用医薬品である。
非小細胞肺癌患者にみられる①EGFR遺伝子変異、②BRAF遺伝子変異、③ALK融合遺伝子、④ROS1融合遺伝子、⑤MET遺伝子エクソン14スキッピング変異を検出することにより、非小細胞肺癌患者への各薬剤の適応の可否を判断するコンパニオン診断薬である(表1)。
表1 本品のコンパニオン診断対象
対象遺伝子
適応医薬品
EGFR遺伝子変異
ゲフィチニブ
エルロチニブ塩酸塩
アファチニブマレイン酸塩
オシメルチニブメシル酸塩
ALK融合遺伝子
クリゾチニブ
アレクチニブ塩酸塩
ブリグチニブ
ROS1融合遺伝子
クリゾチニブ
BRAF遺伝子変異(V600E)
ダブラフェニブメシル酸塩とトラメチニブ ジメチルスルホキシド付加物の併用投与
MET遺伝子エクソン14スキッピング変異
テポチニブ塩酸塩
特 徴 非小細胞肺癌において、EGFR遺伝子検査、ALK遺伝子検査、ROS1遺伝子検査、BRAF遺伝子検査、MET遺伝子エクソン14スキッピング検査は、いずれもキナーゼ阻害薬の選択のために必要な検査である。治療開始までの時間を短縮するため、また、最適な治療薬の投与機会を逸しないために、初回診断時にこれらのドライバー遺伝子検査を同時にすべて行うことが望まれている。本品は、一度の検査でこれらのドライバー遺伝子を高感度かつ短いTurn Around Timeで判定することができ、実臨床への貢献が期待される
最小検出感度 ALK融合遺伝子、ROS1融合遺伝子、またはMETエクソン14スキッピング変異を有するプラスミド由来 RNA を断片化し、組織由来のRNAに添加した試料を用い、21 種類の ALK融合遺伝子、13種類のROS1融合遺伝子、METエクソン14スキッピング変異について連続段階希釈した RNA 濃度の異なるパネルを本品 3 ロットを用いて重測定し、95%以上の検出を示す最小 RNA 濃度を検討したところ表2の結果が得られた。
また、コピー数が定量された高濃度の野生型ゲノムDNA、および、85種類の変異型プラスミドを混合し、組織由来のDNAに添加した試料を用い、連続段階希釈した DNA 濃度の異なるパネルを本品 3 ロットを用いて重測定し、95%以上の検出を示す最小 DNA 濃度を検討したところ表2の結果が得られた。
表2 本品の最小検出感度
融合遺伝子、METエクソン14スキッピング変異
150コピー/反応
遺伝子変異
1-5%
臨床性能試験成績 肺癌遺伝子スクリーニングネットワーク「LC-SCRUM-Japan」を基盤として行っている3 つの臨床研究において、計580 例を対象とし、EGFR 遺伝子変異陽性(190例)、ALK 融合遺伝子陽性(60 例)、ROS1 融合遺伝子陽性(50 例)BRAF 遺伝子変異陽性(50 例)と判定されたNSCLC検体を用いて、対照法との相関性試験を実施した。一致率を表3に示す。対照法として既承認の体外診断用医薬品を用いており、本品は対照法と良好な相関性が得られた。
表3 各遺伝子変異における本品と対象品の一致率
対象遺伝子 対照品 陽性一致率 陰性一致率 全体一致率
EGFR
A社 PCR検査 9.4%(167/168)96.6%(56/58)98.7%(223/226)
B社 NGS検査
100%(140/140)98.5%(191/194)99.1%(331/334)
ALK
C社 FISH検査
96.7%(58/60)98.2%(55/56)97.4%(113/116)
D社 IHC検査
96.8%(60/62)98.3%(58/59)97.5%(118/121)
B社 NGS検査
96.8%(61/63)100%(284/284)99.4%(345/347)
ROS1
E社 PCR検査
96.7%(58/60)100%(67/67)98.4%(125/127)
社 NGS検査
96.6%(57/59)99.7%(287/288)99.1%(344/347)
BRAF
B社 NGS検査
100%(49/49)100%(324/324)100%(373/373)
MET
F社 NGS検査
100%(39/39)97.7%(86/88)98.4%(125/127)
留意事項 別添1第2章第3部第1節第1款D004-2に次を加える。 (26) 肺癌患者に対してEGFR遺伝子検査、ROS1融合遺伝子検査、ALK融合遺 伝子検査、BRAF遺伝子検査及びMETex14 遺伝子検査をリアルタイムPCR法により同時に実施した場合は、本区分の「注1」の「イ」2項目及び「ロ」3 項目の所定点数を合算した点数を準用して算定する。
製品関連URL AmoyDx(R)肺癌マルチ遺伝子PCRパネル(株式会社理研ジェネシス)
https://www.rikengenesis.jp/product/product_ivd/product_ivd_04_AmoyDxPanLungCancerPCRPanel.html
文責:株式会社理研ジェネシス/監修:日本臨床検査医学会臨床検査点数委貝会

関連記事