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新規保険収載検査

SARS-CoV-2・インフルエンザウイルス抗原同時検出 インフルエンザ核酸検出 カルプロテクチン(糞便)

令和 3年 11月17日より保険適用 D012 感染症免疫学的検査 区分:E1(既存)
SARS-CoV-2・インフルエンザウイルス抗原同時検出
SARS-CoV-2・インフルエンザウイルス抗原同時検出
クイック チェイサー® SARS-CoV-2/Flu
保険点数 600点
製品名 クイック チェイサー® SARS-CoV-2/Flu
製造販売元 株式会社ミズホメディー
使用目的 鼻咽頭ぬぐい液又は鼻腔ぬぐい液中のSARS-CoV-2抗原、A型インフルエンザウイルス抗原及びB型インフルエンザウイルス抗原の検出(SARS-CoV-2感染又はインフルエンザウイルス感染の診断の補助)
測定方法 イムノクロマト法
検体 鼻咽頭ぬぐい液又は鼻腔ぬぐい液
測定原理 テストプレート内にセットされているメンブレンフィルター上のそれぞれの感作金コロイド塗布部にはマウスモノクローナル抗SARS-CoV-2抗体結合金コロイド、又はマウスモノクローナル抗A型インフルエンザウイルス抗体結合金コロイド及びマウスモノクローナル抗B型インフルエンザウイルス抗体結合金コロイドと、確認ライン用のウサギ免疫グロブリン結合金コロイドが塗布されている。また、メンブレンフィルター上のSARS-CoV-2判定ライン部には、マウスモノク ローナル抗SARS-CoV-2抗体、インフルエンザ判定ライン部にはマウスモノク ローナル抗A型インフルエンザウイルス抗体及びマウスモノクローナル抗B型インフルエンザウイルス抗体が固相化され、それぞれの確認ライン部には確認ライン用の抗ウサギ免疫グロブリン抗体が固相化されている。
試料中にSARS-CoV-2抗原、A型又はB型インフルエンザウイルス抗原が存在する場合、イムノクロマト法の原理により、試料滴下部から移動してきた試料中のSARS-CoV-2抗原はマウスモノクローナル抗SARSCoV-2抗体結合金コロイドと、A型及びB型インフルエンザウイルスはそれぞれマウスモノクローナル抗A型インフルエンザウイルス抗体結合金コロイド、マウスモノクローナル抗B型インフルエンザウイルス抗体結合金コロイドと反応し、さらにマウスモノクローナル抗SARS-CoV-2抗体、又はマウスモノクローナル抗A型インフルエンザウイルス抗 体、マウスモノクローナル抗B型インフルエンザウイルス抗体と反応することで SARS-CoV-2判定ライン部、インフルエンザ判定ライン部で捕捉される。その結果、それぞれの判定ライン部に金コロイドによる赤紫色のラインが出現する。
また同時にウサギ免疫グロブリン結合金コロイドも移動してそれぞれの確認ライン部の抗ウサギ免疫グロブリン抗体に捕捉されるため、SARS-CoV-2抗原及びA型インフルエンザウイルス抗原、B型インフルエンザウイルス抗原の存在の有無に関わらず確認ライン部に赤紫色のラインが出現する。
なお、本製品はSARS-CoV-2抗原及びインフルエンザウイルス抗原の検出はできるが、A型インフルエンザ、B型インフルエンザの判別はできない。また、目視及び専用機器「スマートQCリーダー® 」の両方で判定が可能である。
説 明 確定患者と明らかな接触があった場合や、特徴的な症状(インフルエンザにおける突然の高熱、COVID-19 における嗅覚・味覚障害など)がない場合、臨床症状のみで両者を鑑別することは困難とされているが、本品は簡単な操作で10分以内にSARS-CoV-2抗原、A型インフルエンザウイルス抗原及びB型インフルエン ザウイルス抗原の同時検出が可能である。
(臨床性能試験の概要)
< SARS-CoV-2 >
RT-PCR法と、本製品の相関性試験を行った結果、鼻咽頭ぬぐい液では、国内臨床保存検体(175例)において、陽性一致率76.7%(56/73)、陰性一致率100%(102/102)、全体一致率90.3%(158/175)であった。なお、1,600コピー/テスト以上の検体に対する陽性一致率は、96.6%(56/58)、400コピー/テスト以上の検体に対する陽性一致率は、94.9%(56/59)であった。
鼻腔ぬぐい液では、国内臨床保存検体(160 例)において、陽性一致率46.8%(22/47)、陰性一致率100%(113/113)、全体一致率84.4%(135/160)であった。なお、1,600コピー/テスト以上の検体に対する陽性一致率は、78.6% (22/28)、400コピー/テスト以上の検体に対する陽性一致率は、68.8%(22/32)であった。
<インフルエンザ>
ウイルス培養株添加試験を行った結果、鼻咽頭ぬぐい液では、A型陽性一致率100%(60/60)、B型陽性一致率100%(30/30)、陰性一致率100%(30/30)であった。
鼻腔ぬぐい液では、A型陽性一致率100%(60/60)、B型陽性一致率100 %(30/30)、陰性一致率100%(30/30)であった。
留意事項 SARS-CoV-2・インフルエンザウイルス抗原同時検出(定性)は、当該検査キットが薬事承認された際の検体採取方法で採取された検体を用いて、SARS-CoV-2抗原及びインフルエンザウイルス抗原の検出を目的として薬事承認又は認証を得ているものにより、COVID-19の患者であることが疑われる者に対しCOVID-19の診断を目的として行った場合に限り、「25」マイコプラズマ抗原定性(免疫クロマト法)の所定点数4回分を合算した点数を準用して算定する。ただし、感染症の発生の状況、動向及び原因を明らかにするための積極的疫学調査を目的として実施した場合は算定できない。
COVID-19の患者であることが疑われる者に対し、診断を目的として本検査を実施した場合は、診断の確定までの間に、上記のように合算した点数を1 回に限り算定する。
ただし、発症後、本検査の結果が陰性であったものの、COVID-19以外の診断がつかない場合は、上記のように合算した点数をさらに1 回に限り算定できる。なお、本検査が必要と判断した医学的根拠を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
なお、SARS-CoV-2・インフルエンザウイルス抗原同時検出を実施した場合、本区分「22」のインフルエンザウイルス抗原定性、SARS-CoV-2 抗原検出については、別に算定できない。
製品関連URL https://www.mizuho-m.co.jp/product/product_details/000728.php
※令和3年12月31日より以下に改定
【項目名】SARS-CoV-2・インフルエンザウイルス抗原同時検出(定性)
【保険点数】420 点
文責:株式会社ミズホメディー/監修:日本臨床検査医学会臨床検査点数委員会
令和 3年 11月17日より保険適用 D012 感染症免疫学的検査 区分:E1(既存)
SARS-CoV-2・インフルエンザウイルス抗原同時検出
SARS-CoV-2・インフルエンザウイルス抗原同時検出
クイック チェイサー® SARS-CoV-2/Flu A,B
保険点数 600点
製品名 クイック チェイサー(R) SARS-CoV-2/Flu A,B
製造販売元 株式会社ミズホメディー
使用目的 鼻咽頭ぬぐい液又は鼻腔ぬぐい液中のSARS-CoV-2抗原、A 型インフルエンザウイルス抗原及びB 型インフルエンザウイルス抗原の検出(SARS-CoV-2 感染又はインフルエンザウイルス感染の診断の補助)
測定方法 イムノクロマト法
検体 鼻咽頭ぬぐい液又は鼻腔ぬぐい液
測定原理 テストプレート内にセットされているメンブレンフィルター上のそれぞれの感作金コロイド塗布部にはマウスモノクローナル抗SARS-CoV-2 抗体結合金コロイド、又はマウスモノクローナル抗A型インフルエンザウイルス抗体結合金コロイド及びマウスモノクローナル抗B型インフルエンザウイルス抗体結合金コロイドと、確認ライン用のウサギ免疫グロブリン結合金コロイドが 塗布されている。また、メンブレンフィルター上のSARS-CoV-2判定ライン部にはマウスモノクローナル抗SARS-CoV-2抗体、A型インフルエンザ判定ライン部にはマウスモノクローナル抗A型インフルエンザウイルス抗体、B型インフルエンザ判定ライン部にはマウスモノクローナル抗B型インフルエンザウイルス抗体が固相化され、それぞれの確認ライン部には確認ライン用の抗ウサギ免疫グロブリン抗体が固相化されている。
試料中にSARS-CoV-2抗原、A型又はB型インフルエンザウイルス抗原が存在する場合、イムノクロマト法の原理により、試料滴下部から移動してきた試料中のSARS-CoV-2抗原はマウスモノクローナル抗SARSCoV- 2抗体結合金コロイドと、A型及びB型インフルエンザウイルスはそれぞれマウスモノクローナル抗A型インフルエンザウイルス抗体結合金コロイド、マウスモノクローナル抗B型インフルエンザウイルス抗体結合金コロイドと反応し、さらにマウスモノクローナル抗SARS-CoV-2抗体、又はマウスモノクローナル抗A型インフルエンザウイルス抗体、マウスモノクローナル抗B型インフルエンザウイルス抗体と反応することでSARS-CoV-2判定ライン部、A型インフルエンザ判定ライン部、B型インフルエンザ判定ライン部でそれぞれ捕捉される。その結果、それぞれの判定ライン部に金コロイドによる赤紫色のラインが出現する。
また同時にウサギ免疫グロブリン結合金コロイドも移動してそれぞれの確認ライン部の抗ウサギ免疫グロブリン抗体に捕捉されるため、SARS-CoV-2抗原及びA 型インフルエンザウイルス抗原、B型インフルエンザウイルス抗原の存在の有無に関わらず確認ライン部に赤紫色のラインが出現する。
なお、本製品はSARS-CoV-2抗原、A型インフルエンザ、B型インフルエンザの判別はできるが、目視専用であり、専用機器「スマート QC リーダー(R)」には対応していない。
説 明 確定患者と明らかな接触があった場合や、特徴的な症状(インフルエンザにおける突然の高熱、COVID-19 における嗅覚・味覚障害など)がない場合、臨床症状のみで両者を鑑別することは困難とされているが、本品は簡単な操作で10分以内にSARS-CoV-2 抗原、A型インフルエンザウイルス抗原及びB 型インフルエンザウイルス抗原の同時検出が可能である。
(臨床性能試験の概要)
< SARS-CoV-2 >
RT-PCR 法と、本製品の相関性試験を行った結果、鼻咽頭ぬぐい液では、国内臨床保存検体(175 例)において、陽性一致率76.7%(56/73)、陰性一致率100%(102/102)、全体一致率90.3%(158/175)であった。なお、1,600 コピー/ テスト以上の検体に対する陽性一致率は、96.6%(56/58)、400 コピー/ テスト以上の検体に対する陽性一致率は、94.9%(56/59)であった。
鼻腔ぬぐい液では、国内臨床保存検体(160 例)において、陽性一致率46.8%(22/47)、陰性一致率100%(113/113)、全体一致率84.4%(135/160)であった。なお、1,600 コピー/ テスト以上の検体に対する陽性一致率は、78.6%(22/28)、400 コピー/ テスト以上の検体に対する陽性一致率は、68.8%(22/32)であった。
<インフルエンザ>
ウイルス培養株添加試験を行った結果、鼻咽頭ぬぐい液では、A 型陽性一致率100%(60/60)、B 型陽性一致率100%(30/30)、陰性一致率100%(30/30)であった。
鼻腔ぬぐい液では、A 型陽性一致率100%(60/60)、B 型陽性一致率100 %(30/30)、陰性一致率100 %(30/30)であった。
留意事項 SARS-CoV-2・インフルエンザウイルス抗原同時検出は、当該検査キットが薬事承認された際の検体採取方法で採取された検体を用いて、SARSCoV- 2 抗原及びインフルエンザウイルス抗原の検出を目的として薬事承認又は認証を得ているものにより、COVID-19 の患者であることが疑われる者に対しCOVID-19 の診断を目的として行った場合に限り、「25」マイコプラズマ抗原定性(免疫クロマト法)の所定点数4回分を合算した点数を準用して算定する。ただし、感染症の発生の状況、動向及び原因を明らかにするための積極的疫学調査を目的として実施した場合は算定できない。
COVID-19 の患者であることが疑われる者に対し、診断を目的として本検査を実施した場合は、診断の確定までの間に、上記のように合算した点数を1 回に限り算定する。
ただし、発症後、本検査の結果が陰性であったものの、COVID-19 以外の診断がつかない場合は、上記のように合算した点数をさらに1 回に限り算定できる。なお、本検査が必要と判断した医学的根拠を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
なお、SARS-CoV-2・インフルエンザウイルス抗原同時検出を実施した場合、本区分「22」のインフルエンザウイルス抗原定性、SARS-CoV-2 抗原検出については、別に算定できない。
製品関連URL https://www.mizuho-m.co.jp/product/product_details/000727.php
※令和3年12月31日より以下に改定
【項目名】SARS-CoV-2・インフルエンザウイルス抗原同時検出(定性)
【保険点数】420 点
文責:株式会社ミズホメディー/監修:日本臨床検査医学会臨床検査点数委員会
令和 3年 11月30日より保険適用 D023 微生物核酸同定・定量検査 区分E1(既存)
インフルエンザ核酸検出
インフルエンザ核酸検出
スマートジーン® Flu A,B
保険点数 410点
製品名 スマートジーン(R) Flu A,B
製造販売元 株式会社ミズホメディー
使用目的 鼻咽頭ぬぐい液又は鼻腔ぬぐい液中のA型及びB型インフルエンザウイルスRNAの検出(インフルエンザウイルス感染の診断の補助)
測定方法 蛍光標識プローブ(Qプローブ)を用いたRT-PCR法による A型及びB型インフルエンザウイルスRNA検出
検体 鼻咽頭ぬぐい液又は鼻腔ぬぐい液
測定原理 テストカートリッジ内には、TTx DNA合成酵素、基質(デオキシアデノシン三リン酸、デオキシチミジン三リン酸、デオキシグアノシン三リン酸、デオキシシチジン三リン酸)、A型インフルエンザウイルスRNAのM遺伝子領域に結合するプライマーセット(A型インフルエンザウイルス特異的フォワードプライマー、A型インフルエンザウイルス特異的リバースプライマー)、A型インフルエンザウイルス特異的Qプローブ、B型インフルエンザウイルスRNAのNS遺伝子領域に結合するプライマーセット(B型インフルエンザウイルス特異的フォワードプライマー、B型インフルエンザウイルス特異的リバースプライマー)、B型インフルエンザウイルス特異的Qプローブが含有されている。
テストカートリッジの試料滴下孔に試料を滴下して専用機器にセットすると、試料中に標的遺伝子であるA型又はB型インフルエンザウイルスRNAが存在する場合、このRNAはメンブレンフィルター上のシリカ粒子に吸着する。テストカートリッジ内にてメンブレンフィルターは洗浄液により洗浄され、その後、反応チューブ内において、温度プロファイルに従って逆転写反応、核酸増幅反応が行われる。特異的Qプローブは標的遺伝子に結合すると消光するため、増幅された標的遺伝子DNAの増幅産物に結合して起こる消光を専用機器にて検出してA型及びB型陽性と判定する。
また、測定操作、核酸増幅反応が適切に進行したことを確認するために、試薬内には内部標準DNAと内部標準用Qプローブが含まれており、特異的Qプローブの消光が検出されない場合は、内部標準DNAの増幅産物による消光を確認して陰性判定する。
説 明 インフルエンザは毎年冬季に流行する急性の呼吸器感染症である。わが国では11月頃から流行が始まり、4~5月にかけて終息していくというパターンであるが、流行の程度とピークの時期はその年によって異なる。臨床症状は、突然の発熱・頭痛・全身の倦怠感・筋関節痛などに加え、咳・鼻汁などの上気道炎症状である。
インフルエンザ流行期には可及的に季節性インフルエンザとCOVID-19の両方の検査を行うことが推奨されているが、本品の抽出液と、SARSコロナウイルス核酸キット「スマートジーン(R) SARS-CoV-2」の抽出液は共通試薬のため、1つの試料で両項目の測定が可能である。
リアルタイムRT-PCR法と本製品の相関性試験を行った結果、鼻咽頭ぬぐい液において、A型陽性一致率100%(45/45)、B型陽性一致率100%(27/27)、陰性一致率 100%(107/107)、全体一致率100%(179/179)であった。
また、鼻腔ぬぐい液においてウイルス培養株添加試験を行った結果、10コピー/ μLでのA型陽性一致率100%(20/20)、20コピー/μLでのA型陽性一致率100% (20/20)、10コピー/μLでのB型陽性一致率90.0%(18/20)、20コピー/μLでのB型陽性一致率100%(20/20)、陰性一致率100%(20/20)、全体一致率98.0%(98/100) であった。
留意事項 インフルエンザ核酸検出は、インフルエンザの感染が疑われる重症患者のみに算定し、その場合には、当該検査が必要な理由について診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
製品関連URL https://www.mizuho-m.co.jp/product/product_details/000750.php?iryou=1
文責:株式会社ミズホメディー/監修:日本臨床検査医学会臨床検査点数委員会
令和 3年 12月1日より保険適用 D003糞便検査 区分:E2(既存項目・変更あり)
カルプロテクチン(糞便)
カルプロテクチン(糞便)
エリアカルプロテクチン2
保険点数 276点
製品名 エリアカルプロテクチン2
製造販売元 サーモフィッシャーダイアグノスティックス株式会社
主な測定対象 慢性的な炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)が疑われる患者及び炎症性腸疾患の患者
主な測定目的 糞便中のカルプロテクチンの測定(炎症性腸疾患の診断補助及び病態把握の補助)
測定方法 蛍光酵素免疫測定法(FEIA)
有 用 性 本検査は、糞便中カルプロテクチン値の測定により腸管炎症度を把握することで、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)の診断補助ならびに病態把握における大腸内視鏡検査、小腸内視鏡検査の実施判断を補助する。
特 徴 炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease:以下IBD)は腸管の慢性炎症を特徴とする疾患群であり、主に潰瘍性大腸炎(Ulcerative Colitis: 以下UC)およびクローン病(Crohn’s Disease: 以下CD)の2疾患を指す。これらの疾患は活動期と寛解期を繰り返す慢性的な消化器疾患で、活動期には腹痛、下痢、血便などの消化器症状や体重減少を示す 1)。本邦では腸管炎症度の評価に内視鏡検査が広く使用されているが、内視鏡検査は侵襲性が高く患者負担が大きいことから、頻回に施行することには限界がある。そのため安全かつ簡便に腸管の炎症を評価できる検査法が求められてきた。
カルプロテクチンは主に白血球中の好中球の細胞質成分であり、腸管局所に炎症が生じると白血球が腸管壁を通じて腸管腔に移行する性質を持つため、糞便中のカルプロテクチン値の測定により腸管炎症度を把握することが可能となる 2)。
エリアカルプロテクチン2は、この糞便中のカルプロテクチンを測定する検査であり、国内での臨床性能試験を経て「IBDの診断補助及びUCの病態把握の補助」を使用目的及び臨床的意義として2017年12月1日より保険が適用されていた が、その後、追加で実施された臨床性能試験により「CDの病態把握の補助」においても有用性が示され、2021年1月26日に使用目的及び臨床的意義を「IBDの診断補助及び病態把握の補助」として製造販売承認を取得、2021年12月1日より保険が適用(適用拡大)されたものである。
臨床性能試験結果 CDの病態把握の補助: 80 mg/kg以下をCDの内視鏡的非活動状態の指標としたとき、SES-CD合計スコア(回腸、右結腸、横行結腸、左結腸、直腸の5部位について内視鏡評価を実施して合計スコアを算出)を用いた評価では、内視鏡的非活動群(SES-CD合計スコア=0)23例と、内視鏡的活動群(SES-CD合計スコア≧1)46例において、臨床的感度 98%、臨床的特異度 39%、陽性的中率 76%、陰性的中率90%であった。SES-CDに小腸に対する評価を追加し、狭窄の有無の評価を除いたmodifiedSES-CD合計スコア(以下、mSES-CD合計スコア: 小腸内視鏡を用いて腸管炎症を観察・評価する内視鏡評価法3)で、直腸、左結腸、横行結腸、右結腸、回腸末端、回腸、空腸の7部位について内視鏡評価を実施して合計スコアを算出)を用いた評価では、内視鏡的非活動群(mSES-CD合計スコア=0)8例と、内視鏡的活動群(mSES-CD合計スコア≧1)61 例において、臨床的感度 93%、臨床的特異度 75%、陽性的中率 97%、陰性的中率 60%であり、CDにおける腸管炎症度の把握において本品が有用である事が示された。
留意事項 別添1第2章第3部第1節第1款D003(4)イ及びウを次のように改める。
イ 本検査を潰瘍性大腸炎又はクローン病の病態把握を目的として測定する場合、潰瘍性大腸炎については、ELISA法、FEIA法、金コロイド凝集法、イムノクロマト法又はLA法により、クローン病についてはFEIA法により測定した場合に、それぞれ3月に1回を限度として算定できる。ただし、医学的な必要性から、本検査を1月に1回行う場合には、その詳細な理由及び検査結果を診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
ウ 慢性的な炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病等)の診断補助又は病態把握を目的として、本検査及び区分番号「D313」大腸内視鏡検査を同一月中に併せて行った場合は、主たるもののみ算定する。
参考文献 1)炎症性腸疾患(IBD)診療ガイドライン2020(改定第2版). 日本消化器病学会, 東京: 南江堂; 2020.
2)Vermeire S, Van Assche G, Rutgeerts P. Laboratory markers in IBD: useful, magic or unnecessary toys? Gut 2006; 55(3): 426-31.
3)Iwamoto F, Matsuoka K, Motobayashi M, et al. Prediction of disease activity of Crohn's disease through fecal calprotectin evaluated by balloon-assisted endoscopy. J Gastroenterol Hepatol 2018; 33(12): 1984-9.
文責:株式会社サーモフィッシャーダイアグノスティックス/監修:日本臨床検査医学会臨床検査点数委員会

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