SARS-CoV-2 (新型コロナウイルス)抗原検出
令和 3年 3月17日より保険適用 | D012 感染症免疫学的検査(22) 区分 E1(既存) SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)抗原検出 |
SARS-CoV-2 (新型コロナウイルス)抗原検出 |
保険点数 | 600点 |
製品名 | KBM ラインチェック nCoV(スティックタイプ) |
製造販売元 | コージンバイオ株式会社 |
主な対象 | COVID-19の患者であることが疑われる者 |
主な測定目的 | 鼻咽頭ぬぐい液中のSARS-CoV-2抗原の検出(SARS-CoV-2感染の診断の補助) |
測定方法 | イムノクロマト法(ICA法) |
検 体 | 鼻咽頭ぬぐい液 |
有 用 性 | 本邦においては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)における検査については、現在、核酸検出検査(リアルタイムRT-PCR等)、抗原検査が実施されている。いずれの検査でも病原体が検出された場合、検体採取時点における感染が確定される。核酸検出検査は高感度に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)遺伝子を検出できる反面、煩雑な操作や検査装置、⾧時間の測定時間を必要とする。一方、イムノクロマトグラフィー法による抗原定性検査は簡便・迅速なポイントオブケア・デバイスであり、外来やベッドサイドにおける有症状者のスクリーニング等に用いることが出来る。また、抗原定性検査は、有症状者においてウイルスの抗原を検知し、診断に導く検査であり、症状発症から9 日目以内の症例では確定診断として用いることができる。本品は、特別な装置を必要とせず簡便操作にて、SARS-CoV-2抗原を試料に浸漬1分後から10分の間に検出し、緊急性の高いSARS-CoV-2 感染症陽性者を早急に検知することを目的としており、SARS-CoV-2感染の診断の補助に有用と考えられる1)。 |
説 明 | COVID-19は、 2019年12月に中華人民共和国湖北省武漢市において確認されたSARS-CoV-2によって引き起こされるウイルス性呼吸器疾患である。世界保健機構(WHO)は感染拡大の状況、重症度等から2020年3月 11 日にCOVID-19のパンデミックを宣言するに至った。本邦においてもCOVID-19は2020年2月1日に指定感染症及び検疫感染症に指定され、同年3月13日には「新型インフルエンザ等対策特別措置法」の改正法が適用されることとなった。抗原検査キットを用いたCOVID-19 の診断のため、同年5月13日には「SARS- CoV-2抗原検出用キットの活用に関するガイドライン2)」が厚生労働省より示されるに至った。 本品は、イムノクロマト法(Immunochromatographic Assay)の原理に基づいた毛細管現象と抗原抗体反応を測定原理としており、スティック状のテストストリップを検査デバイスとすることを特徴とする。テストストリップを試料に垂直に浸すことで、毛細管現象により試料はテストスティック上を移動し、コンジュゲーションパッドへ移行する。そこで金コロイド標識抗nCoVモノクローナル抗体を溶解し、試料中のSARS-CoV-2抗原と免疫複合体を形成しながら展開部を移動する。これが展開部に固定化された抗nCoVモノクローナル抗体に捕捉され、SARS-CoV-2抗原判定部にテストラインを出現させる。本品はこの赤紫色のラインを目視で確認することで、試料中の SARS-CoV-2抗原の有無を判定することができる。 |
留意事項 | 1. SARS-CoV-2抗原検出は、当該検査キットが薬事承認された際の検体採取方法で採取された検体を用いて、SARS-CoV-2抗原の検出(COVID-19の診断又は診断の補助)を目的として薬事承認又は認証を得ているものにより、COVID-19 の患者であることが疑われる者に対し COVID-19 の診断を目的として行った場合に限り、「25」マイコプラズマ抗原定性(免疫クロマト法)の所定点数4回分を合算した点数を準用して算定する。ただし、感染症の発生の状況、動向及び原因を明らかにするための積極的疫学調査を目的として実施した場合は算定できない3)。 2. COVID-19 の患者であることが疑われる者に対し、診断を目的として本検査を実施した場合は、診断の確定までの間に、上記のように合算した点数を 1 回に限り算定する。ただし、発症後、本検査の結果が陰性であったものの、COVID-19 以外の診断がつかない場合は、上記のように合算した点数をさらに1回に限り算定できる。なお、本検査が必要と判断した医学的根拠を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること3)。 3. 本品を用いて検査を行う場合は、その時点で最新の公的ガイドラインを参照すること。本稿執筆時点で、厚生労働省より「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針(第3.1版)」が公表されている。現状では対象者は発症初日から9 日目の有症状者の確定診断に用いることが出来る。インフルエンザ流行期等における発熱患者等への検査に有効である4)。 4. 検体採取を実施する際は、国立感染症研究所および国立国際医療研究センター 国際感染症センターが作成した「新型コロナウイルス感染症に対する感染管理」5)を参考にして、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が疑われる場合の感染予防策を講じること。 |
参考資料 | 1)「新型コロナウイルス感染症診断薬の承認について(コージンバイオ株式会社申請品目)」 令和3年3月 17 日 (オンライン), 入手先 https://www.mhlw.go.jp/content/11124500/000755031.pdf 2)「SARS-CoV-2 抗原検出用キットの活用に関するガイドライン」令和2年6月16日改訂厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策本部 (オンライン), 入手先 https://www.mhlw.go.jp/content/000640554.pdf 3)「検査料の点数の取扱いについて」保医発0 5 1 3 第1号厚生労働省保険局医療課⾧通知(オンライン), 入手先 https://www.mhlw.go.jp/content/000630289.pdf 4)「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針(第3.1版)」(オンライン), 入手先 https://www.mhlw.go.jp/content/000747986.pdf 5)「新型コロナウイルス感染症に対する感染管理」改訂 2020 年 10 月 2 日 国立感染症研究所および国立国際医療研究センター 国際感染症センター(オンライン), 入手先 https://www.mhlw.go.jp/content/000678572.pdf |
製品ページURL | https://kohjin-bio.jp/product/kbmncov/ |
文責:コージンバイオ株式会社/監修:日本臨床検査医学会臨床検査点数委員会 |