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新規保険収載検査

2019-nCoV検出蛍光リアルタイムRT-PCRキット(シスメックス株式会社)

令和 2年 3月27日より保険適用 D023 微生物核酸同定・定量検査 区分 E1(既存項目)
SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)核酸検出
保険点数 ⑴採取した検体を、国立感染症研究所が作成した「感染性物質の輸送規則に関するガイダンス2013−2014版」に記載されたカテゴリーBの感染性物質の規定に従って、検体採取を行った保険医療機関以外の施設へ輸送し検査を委託して実施した場合:1,800点
⑵それ以外の場合:1,350点
製品名 2019-nCoV検出蛍光リアルタイムRT-PCRキット
製造販売元 シスメックス株式会社
測定対象 ・COVID-19の患者であることが疑われる者
・COVD-19の治療を目的として入院している者に対し退院可能かどうかの判断を目的とする場合
使用目的 上気道由来検体(鼻咽頭拭い液)又は下気道由来検体(喀痰もしくは肺胞洗浄液)から抽出されたSARS-CoV-2 RNAの検出(SARS-CoV-2感染の診断の補助)
測定方法 RT-PCR法
検 体 上気道由来検体(鼻咽頭拭い液)又は下気道由来検体(喀痰もしくは肺胞洗浄液)
有 用 性 本品は、One-StepのRT-PCR法を採用しており、簡便に短時間での測定及び共存物質や類似のウイルス性の呼吸器感染症等への交差反応をせずに特異的に2019-nCoVを検出できる体外診断用医薬品であり、上気道由来検体(鼻咽頭拭い液)または下気道由来検体(喀痰もしくは肺胞洗浄液)から抽出されたSARS-CoV-2感染の診断補助として有用と考えられます。
説 明 国立感染症研究所の報告によると、人に感染症を引き起こすコロナウイルスはこれまで6種類が知られおり、深刻な呼吸器疾患を引き起こすことがあるSARS(重症急性呼吸器症候群)-CoVとMERS(中東呼吸器症候群)-CoV以外は、感染しても通常の風邪などの重度でない症状にとどまるとされていました。
しかしながら、2019年12月に中華人民共和国の武漢市で原因不明の肺炎患者が発生していることが報告され、その後、WHOは、2020年1月5日に中国当局が新種のコロナウイルス2019-nCoVを発見したことを報告しました(さらに2020年2月11日に国際ウイルス分類委員会により正式名称はSARS-CoV-2とされました)。本邦においても、2020年1月16日付の厚生労働省発表として、1例目の症例が確認され、その後経緯不明のヒト-ヒト間感染が報告されるまでになっており、公衆衛生上の喫緊の課題となっています。一方、本邦では、国立感染症研究所が構築したPCR法や研究用試薬を用いた検査が実施されていますが、煩雑な手技、長い測定時間、体外診断用医薬品としての品質保証は行われていないことが課題でした。
本試薬は、本邦で初めて体外診断用医薬品として承認されたSARS-CoV-2検出試薬で、プライマー及び蛍光プローブ(2019-nCoV Probe)は新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の高度に保存された遺伝子領域を対象とする特異的な配列に設計されています。また検体の品質を確認するため、内部参照としてヒトβ-actinmRNAを対象とするプライマー及び蛍光プローブ(β-actin Probe)も含みます。
臨床試験成績として、本品を用いて国立感染症研究所が作製した「新型コロナウイルス感染症臨床検体パネル」を評価した結果、一致率100 %(25/25)となり、良好な一致を示しました。また中国において、中華人民共和国国家衛生健康委員会が発表した「新型コロナウイルス感染の肺炎診断方案」に従った411例の臨床診断結果に対する本品の2019-nCoV感染の判定結果の一致率がレトロスペクティブに評価されました(検体内訳:肺胞洗浄液281例、咽頭拭い液110例、喀痰20例)。その結果、感度86.4 %(89/103)、特異度100.0 %(308/308)、一致率96.6 %(397/411、95 %信頼区間: 94.4 〜 98.1 %)となり、良好な一致を示しました。
留意事項 SARS-CoV-2(新型コロナウイルスをいう。以下同じ。)核酸検出は、喀痰、気道吸引液、肺胞洗浄液、咽頭拭い液、鼻腔吸引液又は鼻腔拭い液からの検体を用いて、国立感染症研究所が作成した「病原体検出マニュアル2019-nCoV」に記載されたもの若しくはそれに準じたもの又は体外診断用医薬品のうち、使用目的又は効果として、SARS-CoV-2 の検出(COVID-19 の診断又は診断の補助)を目的として薬事承認又は認証を得ているものにより、COVID-19(新型コロナウイルス感染症をいう。以下同じ。)の患者であることが疑われる者に対しCOVID-19 の診断を目的として行った場合又はCOVID-19の治療を目的として入院している者に対し退院可能かどうかの判断を目的として実施した場合に限り算定できる。ただし、感染症の発生の状況、動向及び原因を明らかにするための積極的疫学調査を目的として実施した場合は算定できない。
採取した検体を、国立感染症研究所が作成した「感染性物質の輸送規則に関するガイダンス 2013−2014 版」に記載されたカテゴリーB の感染性物質の規定に従って、検体採取を行った保険医療機関以外の施設へ輸送し検査を委託して実施した場合は、本区分の「12」SARSコロナウイルス核酸検出の所定点数4回分を合算した点数を準用して算定し、それ以外の場合は、同点数3回分を合算した点数を準用して算定する。なお、検体採取を行った保険医療機関以外の施設へ輸送し検査を委託して実施した場合は、検査を実施した施設名を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
COVID-19 の患者であることが疑われる者に対し、診断を目的として本検査を実施した場合は、診断の確定までの間に、上記のように合算した点数を1 回に限り算定する。ただし、発症後、本検査の結果が陰性であったものの、COVID-19以外の診断がつかない場合は、上記のように合算した点数をさらに1回に限り算定できる。なお、本検査が必要と判断した医学的根拠を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
COVID-19 の治療を目的として入院している者に対し、退院可能かどうかの判断を目的として実施した場合は、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律における新型コロナウイルス感染症患者の退院及び就業制限の取扱いについて(一部改正)」(令和2年2月18 日健感発0218 第3号)の「第1退院に関する基準」に基づいて実施した場合に限り、1回の検査つき上記のように合算した点数を算定する。なお、検査を実施した日時及びその結果を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
製品関連URL https://products.sysmex.co.jp/products/genetic/AG653012/index.html
文責:シスメックス株式会社、監修:日本臨床検査医学会臨床検査点数委員会

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