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新規保険収載検査

SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)核酸検出  ロイシンリッチα2グリコプロテイン(LRG)

令和 2年 5月8日より保険適用 D023 微生物核酸同定・定量検査 区分 E1(既存項目)
SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)核酸検出
SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)核酸検出
1)Xpert Xpress SARS-CoV-2「セフィエド」
保険点数 ・検体採取を行った保険医療機関以外の施設へ輸送し検査を委託して実施した場合:1,800点
・上記以外の場合:1,350点
製品名 Xpert Xpress SARS-CoV-2「セフィエド」
製造販売元 ベックマン・コールター株式会社:製造元Cepheid(米国)
測定対象 COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の患者であることが疑われる者に対してCOVID-19診断を目的として行う場合
主な使用目的 生体試料中のSARS-CoV-2 RNAの検出(SARS-CoV-2 感染の診断の補助)
測定方法 RT-PCR(Reverse Transcription Polymerase Chain Reaction)法
検 体 本検査に用いる検体については、国立感染症研究所の「2019-n-CoV(新型コロナウイルス)感染症を疑う患者の検体採取・輸送マニュアル」を参照する。
有 用 性 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)において患者の早期隔離と適切な治療は臨床的に重要である。COVID-19の患者の診断には、SARS-CoV-2遺伝子検出が有用であるとされているが、現在使用可能な検査は、操作開始後結果の検出までに1時間以上かかる製品が多く、さらに採取された検体からのRNA抽出操作においては熟練した検査技師の操作技術が求められる。
本品の特徴は他の一般的なPCR検査法で必要となる煩雑な RNA抽出作業から増幅、検出が試薬カートリッジ内で完全自動化されていることにある。簡便な検体前処理を行い、試薬カートリッジに添加後、30分から45分で検出結果を得ることができるため、夜間や週末などを含む、検査結果が早急に必要な際の対応が可能となる。また閉鎖型の試薬カートリッジは、交差汚染及び検査実施者の感染リスクを低減させることができる。結果として患者の早期隔離と適切な治療を実現し、更に検査現場における検査の効率化を向上させることに有用である。
留意事項 SARS-CoV-2(新型コロナウイルスをいう。以下同じ。)核酸検出は、喀痰、気道吸引液、肺胞洗浄液、咽頭拭い液、鼻腔吸引液又は鼻腔拭い液からの検体を用いて、国立感染症研究所が作成した「病原体検出マニュアル2019-nCoV」に記載されたもの若しくはそれに準じたもの又は体外診断用医薬品のうち、使用目的又は効果として、SARS-CoV-2 の検出(COVID-19 の診断又は診断の補助)を目的として薬事承認又は認証を得ているものにより、COVID-19(新型コロナウイルス感染症をいう。以下同じ。)の患者であることが疑われる者に対しCOVID-19 の診断を目的として行った場合又はCOVID-19 の治療を目的として入院している者に対し退院可能かどうかの判断を目的として実施した場合に限り算定できる。ただし、感染症の発生の状況、動向及び原因を明らかにするための積極的疫学調査を目的として実施した場合は算定できない。
採取した検体を、国立感染症研究所が作成した「感染性物質の輸送規則に関するガイダンス 2013-2014 版」に記載されたカテゴリーB の感染性物質の規定に従って、検体採取を行った保険医療機関以外の施設へ輸送し検査を委託して実施した場合は、本区分の「12」SARSコロナウイルス核酸検出の所定点数4回分を合算した点数を準用して算定し、それ以外の場合は、同点数3回分を合算した点数を準用して算定する。なお、検体採取を行った保険医療機関以外の施設へ輸送し検査を委託して実施した場合は、検査を実施した施設名を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
COVID-19 の患者であることが疑われる者に対し、診断を目的として本検査を実施した場合は、診断の確定までの間に、上記のように合算した点数を1 回に限り算定する。ただし、発症後、本検査の結果が陰性であったものの、COVID-19 以外の診断がつかない場合は、上記のように合算した点数をさらに1回に限り算定できる。なお、本検査が必要と判断した医学的根拠を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。COVID-19 の治療を目的として入院している者に対し、退院可能かどうかの判断を目的として実施した場合は、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律における新型コロナウイルス感染症患者の退院及び就業制限の取扱いについて(一部改正)」(令和2年2月18 日健感発0218 第3号)の「第1退院に関する基準」に基づいて実施した場合に限り、1回の検査つき上記のように合算した点数を算定する。なお、検査を実施した日時及びその結果を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
製品ページURL https://www.beckmancoulter.co.jp
文責:ベックマン・コールター株式会社、監修:日本臨床検査医学会臨床検査点数委員会
令和 2年 5月21日より保険適用 D023 微生物核酸同定・定量検査 区分E1(既存項目)
SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)核酸検出
SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)核酸検出
2)MEBRIGHTTM SARS-CoV-2 キット
保険点数 ・採取した検体を、国立感染症研究所が作成した「感染性物質の輸送規則に関するガイダンス 2013-2014 版」に記載されたカテゴリーB の感染性物質の規定に従って、検体採取を行った保険医療機関以外の施設へ輸送し検査を委託して実施した場合:1,800点
・それ以外の場合:1,350点
製品名 MEBRIGHTTM SARS-CoV-2 キット
製造販売元 株式会社医学生物学研究所
使用目的 生体試料中のSARS-CoV-2 RNA の検出(SARS-CoV-2感染の診断の補助)
使用目的に関連する使用上の注意 [操作上の注意]、<臨床性能試験結果>の内容を熟知し、本品の有用性を理解した上で、検体種を選択すること。
測定方法 Quenched qPCRプローブを用いた1step RT-PCR法
検 体 鼻咽頭拭い液、喀痰、肺胞洗浄液、唾液
※検査に用いる検体については、国立感染症研究所の「2019-nCov(新型コロナウイルス)感染を疑う患者の検体採取・輸送マニュアル」を参照すること。
有 用 性 コロナウイルスとは、人や動物の間で広く感染症を引き起こすウイルスで、このうち人に感染症を引き起こすものはこれまでに6種類が知られています。その中でも深刻な呼吸器疾患を引き起こすことがあるSARS-CoV(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス)とMERS-CoV(中東呼吸器症候群コロナウイルス)以外は、感染した場合にも重度でない症状にとどまるとされていました。しかし、2019年12月以降、中華人民共和国湖北省武漢市において、原因不明の肺炎患者が急増し、世界保健機関は、新種のコロナウイルスがその原因であることを発表しました。
この新種のコロナウイルスは、国際ウイルス分類委員会において「SARS-CoV-2」と命名されました。SARS-CoV-2による感染症は、世界各地に急速に広まり、多数の患者と死者を出し、世界的に迅速かつ有効な対策が必要です。
SARS-CoV-2による感染症の診断において、臨床症状や画像所見のみから、同様の症状を示す類縁疾患との鑑別を行うことは困難です。そのため、確定診断を行うためには、原因であるウイルスを検出・特定し、臨床症状等と併せて診断することが重要です。また、適切な診断は、隔離措置や対症療法など適切な患者管理を行うことにも繋がります。
本品は、Quenched qPCRプローブを用いた1step RT-PCR法によって、患者の検体中のSARS-CoV-2を検出する試薬です。本品は患者の検体から抽出したRNAを用いてSARS-CoV-2を検出することで、その有無を確認することができます。

本品を用いてSARS-CoV-2の有無を確認することは、SARS-CoV-2感染の診断の補助に有用です。
留意事項 SARS-CoV-2核酸検出は、国立感染症研究所が作成した「病原体検出マニュアル2019-nCoV」に記載されたもの若しくはそれに準じたもの又は体外診断用医薬品のうち、使用目的又は効果として、SARS-CoV-2の検出(COVID-19の診断又は診断の補助)を目的として薬事承認又は認証を得ているものにより、COVID-19の患者であることが疑われる者に対し COVID-19の診断を目的として行った場合又はCOVID-19の治療を目的として入院している者に対し退院可能かどうかの判断を目的として実施した場合に限り算定できる。ただし、感染症の発生の状況、動向及び原因を明らかにするための積極的疫学調査を目的として実施した場合は算定できない。なお、検査に用いる検体については、国立感染症研究所が作成した「2019-nCoV(新型コロナウイルス)感染を疑う患者の検体採取・輸送マニュアル」を参照すること。
採取した検体を、国立感染症研究所が作成した「感染性物質の輸送規則に関するガイダンス2013-2014版」に記載されたカテゴリーBの感染性物質の規定に従って、検体採取を行った保険医療機関以外の施設へ輸送し検査を委託して実施した場合は、本区分の「14」SARSコロナウイルス核酸検出の所定点数4回分を合算した点数を準用して算定し、それ以外の場合は、同点数3回分を合算した点数を準用して算定する。なお、採取した検体を、検体採取を行った保険医療機関以外の施設へ輸送し検査を委託して実施した場合は、検査を実施した施設名を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
COVID-19の患者であることが疑われる者に対し、診断を目的として本検査を実施した場合は、診断の確定までの間に、上記のように合算した点数を1回に限り算定する。ただし、発症後、本検査の結果が陰性であったものの、COVID-19以外の診断がつかず、本検査を再度実施した場合は、上記のように合算した点数をさらに1回に限り算定できる。なお、本検査が必要と判断した医学的根拠を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
COVID-19の治療を目的として入院している者に対し、退院可能かどうかの判断を目的として実施した場合は、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律における新型コロナウイルス感染症患者の退院及び就業制限の取扱いについて(一部改正)」(令和2年5月29日健感発0529第1号)の「第1退院に関する基準」に基づいて実施した場合に限り、1回の検査つき上記のように合算した点数を算定する。なお、検査を実施した日時及びその結果を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
参考資料 1.国立感染症研究所ウェブサイト「コロナウイルスとは」
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/9303-coronavirus.html
2.Alexander, E. G. et al. Nature Microbiology. 2020, vol. 5,p.536-544.
3.臨床検体を用いた評価結果が取得された2019-nCoV遺伝子検査方法について. 国立感染症研究所.
4.2019-nCov(新型コロナウイルス)感染を疑う患者の検体採取・輸送マニュアル.国立感染症研究所.
文責:株式会社医学生物学研究所、監修:日本臨床検査医学会臨床検査点数委員会
令和 2年 6月1日より保険適用 E3(新項目)
ロイシンリッチα2グリコプロテイン(LRG)
ロイシンリッチα2グリコプロテイン(LRG)
3)ナノピアLRG(積水メディカル株式会社)
保険点数 276点
製品名 ナノピアLRG
製造販売元 積水メディカル株式会社
測定方法 ラテックス免疫比濁法
主な測定目的 血清中のロイシンリッチα2グリコプロテイン(LRG)の測定(炎症性腸疾患の活動期の判定の補助)
有 用 性 汎用生化学自動分析装置を用いた血液検査により、迅速かつ特異的に炎症性腸疾患の疾患活動性を評価できる。
特 徴 炎症性腸疾患は、潰瘍性大腸炎とクローン病に大別され、腸管に慢性・再発性に炎症を引き起こす原因不明の難治性疾患であり、厚生労働省が実施する難治性疾患克服研究事業の臨床調査研究分野に指定されている。各種薬剤を適切に用いることで、粘膜治癒をもたらすことが、再燃予防に重要とされているため、日常臨床において疾患活動性を正しく評価することが求められている。しかし、内視鏡検査は侵襲や疾患の増悪リスクがあるために、頻回に施行出来ないことから、臨床現場では、白血球数や血沈、CRP等の採血データと合わせて、疾患活動性指数を用いた総合的な活動性の判断がなされているが、客観性に欠ける課題があるため、炎症性腸疾患の疾患活動性を迅速かつ特異的に評価する検査が求められている。ロイシンリッチα2グリコプロテイン(LRG)は、leucine-rich repeat をもつ血清糖蛋白であり、CRPやSAAなどの従来の急性期たんぱく質とは異なり、肝臓以外の炎症部位で産生され、IL-6以外の炎症性サイトカインでも誘導される。炎症性腸疾患の病態把握について、ナノピアLRGを用いて臨床性能試験が行われ、炎症性腸疾患の疾患活動性を反映することが示された。さらに、本試薬は、ラテックス免疫比濁法であるため、簡便かつ短時間の測定が可能となり、受診当日に結果を得ることができる。
臨床性能試験結果 潰瘍性大腸炎:寛解期群(Mayo内視鏡サブスコア0、1)と活動期群(Mayo内視鏡サブスコア2、3)に分類してROC分析を行った結果ROC 曲線下面積は0.923であった。臨床指標(Clinical Activity Index:CAI)、CRP、LRGを併用した場合、感度89.8%、特異度75.8%、診断効率84.4%、陽性適中率85.4%、陰性適中率82.5%であり、潰瘍性大腸炎の活動期の把握に有用であることが示された。クローン病:臨床指標(Crohn’s Disease Activity Index:CDAI)と内視鏡検査(Simple Endoscopic Score for Crohn’s Disease:SES-CD)の判定が合致しているクローン病患者を対象に、寛解期群(CDAI 150未満かつSES-CD 4未満)と活動期群(CDAI 150以上かつSES-CD 4以上)に分類しROC分析を行った結果、ROC 曲線下面積は0.888であった。臨床指標(CDAI)、CRP、LRGを併用した場合、感度86.2%であり、クローン病の活動期の把握に有用であることが示された。
留意事項 血清を検体として、ロイシンリッチα2グリコプロテインを潰瘍性大腸炎又はクローン病の病態把握を目的として測定する場合は、区分番号D003 糞便検査の「9」カルプロテクチン(糞便)の所定点数を準用して3月に1回を限度として算定できる。ただし、医学的な必要性から、本検査を1月に1回行う場合には、その詳細な理由及び検査結果を診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に記載する。3月に1回行う場合には、その詳細な理由及び検査結果を診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に記載する。ア 潰瘍性大腸炎又はクローン病の病態把握を目的として、区分番号D003の9カルプロテクチン(糞便)又は区分番号「D313」 大腸内視鏡検査を同一月中に併せて行った場合は、主たるもののみ算定する。イ ロイシンリッチα2グリコプロテインを測定する場合は、区分番号「D026」 検体検査判断料 4生化学検査(Ⅰ)判断料を算定する。
製品関連URL https://www.sekisuimedical.jp/business/diagnostics/biochemistry/nanopia_lrg/
文責:積水メディカル株式会社、監修:日本臨床検査医学会臨床検査点数委員会

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