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新規保険収載検査

インフルエンザ核酸検出 HIV-1特異抗体及びHIV-2特異抗体

令和 2年 12月21日より保険適用 D023 微生物核酸同定・定量検査 区分 E1(既存項目)
インフルエンザ核酸検出
インフルエンザ核酸検出
1)ジーンキューブ(R) FluA/B
保険点数 410点 ※算定に関しては、下記【留意事項】を参照
製品名 ジーンキューブ(R) FluA/B
製造販売元 東洋紡株式会社
使用目的 鼻咽頭ぬぐい液または鼻腔ぬぐい液中のA型およびB型インフルエンザウイルスRNAの検出(インフルエンザウイルス感染の診断の補助)
測定方法 one-step RT-PCR法による標的核酸増幅および蛍光標識プローブ(QProbe)を用いた標的核酸検出
検 体 鼻咽頭ぬぐい液または鼻腔ぬぐい液
説 明 インフルエンザは、一般的には自然治癒することの多い比較的予後良好な疾患であり、大部分は外来治療(主に抗インフルエンザウイルス薬投与)により軽快する。しかし、重症化し死亡に至る例もある。このため、インフルエンザ診療におい ては、外来(救急外来を含む)において患者の重症度を把握し、入院の要否、肺炎合併の有無を判断し、治療方針を決定することが重要である。また、外来診療におけるインフルエンザ感染症と新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症との鑑別診断は、それぞれの確定患者との接触が明らかな場合や特徴的な症状(突然の高熱発症や味覚・嗅覚障害など)を呈する場合を除いては困難であるとされている。そのため、同一検体(鼻咽頭ぬぐい液または鼻腔ぬぐい液)から各ウイルス遺伝子を検出できることは有用と考えられる。本品と既存のジーンキューブHQ SARS-CoV-2試薬を用いることで両遺伝子の同時測定が可能となる。鼻咽頭ぬぐい液166検体を対象として、本品と対照法との比較を行ったところ、本品にてA 型陽性と測定された37例、B型陽性と測定された24例、陰性と測定された105例は、リアルタイムRT-PCR 法でも各々A型陽性、B型陽性、陰性と判定され、全体一致率は100% と良好であった。また、抗原検査法との比較では、本品にてA型陽性と測定された37例の内、抗原検査法ではA型陽性が30例、陰性が7例であり、本品にてB型陽性と測定された24例の内、抗原検査法ではB型陽性が21例、陰性が3例であった。本品にて陰性と測定された105 例は、抗原検査法でも全例陰性であり、本品と抗原検査法との全体一致率は94.0 %であった。鼻腔ぬぐい検体については、リアルタイムRT-PCR法での定量結果から約100コピー/ テストの濃度になるように調整した陽性スパイク試料16例(A型8例、B型8例)、約50コピー/ テストの濃度になるように調整した陽性スパイク試料16例(A型8例、B型8例)、および陰性試料16例を本品で測定したところ、陽性試料は全て陽性、陰性試料は全て陰性と判定された。本品とリアルタイムRT-PCR法との全体一致率は 100 %であった。
留意事項 (1)~(8)(略)
(9)「11」のインフルエンザ核酸検出は、インフルエンザの感染が疑われる重症患者のみに算定し、その場合には、当該検査が必要な理由について診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
(10)~(29)(略)
参考資料 1) 日本感染症学会 .“ 今冬のインフルエンザと COVID-19に備えて”の提言に際して( オンライン),
入手先 http://www.kansensho.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=41
文責:東洋紡株式会社/監修:日本臨床検査医学会臨床検査点数委員会
令和 3年 1月より保険適用 D012 感染症免疫学的検査 区分 E3(改良項目)
HIV-1 特異抗体及びHIV-2 特異抗体
HIV-1特異抗体及びHIV-2特異抗体
2)Geenius HIV 1/2キット
保険点数 660点
製品名 Geenius HIV 1/2 キット
製造販売元 バイオ・ラッド ラボラトリーズ株式会社
主な対象 HIV スクリーニング検査陽性者
主な測定目的 全血、血清または血漿中のHIV-1 特異抗体及びHIV-2 特異抗体の検出(ヒト免疫不全症ウイルス感染の診断補助)
測定方法 イムノクロマト法(定性)
検 体 全血、血清または血漿
有 用 性 「診療におけるHIV-1/2 感染症の診断ガイドライン2020 版」1)により、本法はHIV 感染症診断の確認検査として位置付けられる(HIV-1 RNA の検出を併せて実施する必要あり)。また、抗HIV-1 抗体および抗 HIV-2 抗体を同時に測定することで、HIV-1 とHIV-2 の鑑別検査を行うことができる。本品と既存品(ウェスタンブロット法、以下WB 法)との比較において、感度・特異度ともに同等以上の検査性能を有する。特に特異度に関し、WB 法に比して飛躍的な向上が認められる。
説 明 後天性免疫不全症候群(acquired immunodeficiency syndrome; AIDS, エイズ)は、ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus; HIV)の感染によって生じ、適切な治療が施されないと重篤な全身性免疫不全により日和見感染症や悪性腫瘍を惹き起こす。 HIVは血清学的・遺伝学的性状から、HIV-1(HIV タイプ1)とHIV-2(HIV タイプ2)とに大別される。世界的に主要なAIDS の原因ウイルスはHIV-1 であり、HIV-2 は主に西アフリカ地域に限局した流行を形成している2)。従来、我が国におけるHIV 感染症の診断は、抗原抗体検査または抗体検査によるスクリーニング検査と、WB 法および核酸検査による確認検査の二段階で実施されてきた。一方、2014 年にCDC(Centers for Disease Control and Prevention)が発表したHIV 感染症を診断するためのHIV 検査ガイドラインでは、確認検査としてWB 法の代わりにHIV-1/2 鑑別抗体検査法を用いた新しい検査手順が推奨されている。HIV-2 感染の正確な同定は困難であるが、HIV-1 感染に対して有効ないくつかの抗レトロウイルス剤(非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤および、いくつかのプロテアーゼ阻害剤を含む)はHIV-2 に対して有効ではないため、HIV-2 の正確な診断は臨床的に重要である3)。現在国内においては、HIV-2 感染例を念頭においた検査体制が取られるようになったが、WB法において HIV-1 とHIV-2 の交差反応による鑑別困難例があるとの報告がなされている4)。WB 法は複雑な操作と⾧い反応時間を要するうえ、抗原としてウイルスライセートを使用するため複雑なバンドパターンを示し、結果解釈に困難を伴う場合がある。こうした現行法の課題に対応するため、操作が簡便で、かつ、迅速に結果が得られるHIV-1/2 鑑別抗体検査法である本品が開発された。今回新設された、本品によるHIV-1 特異抗体およびHIV-2 特異抗体を検出する検査を行った場合の算定条件は、下記の通りである。
・スクリーニング検査としての「16」のHIV-1, 2 抗体定性もしくは同半定量、「16」のHIV-1, 2 抗原・抗体同時測定定性、「17」のHIV-1 抗体、「18」のHIV-1, 2 抗体定量または「18」のHIV-1, 2 抗原・抗体同時測定定量が陽性の場合の確認診断用の検査として、イムノクロマト法により、全血、血清または血漿中のHIV-1 特異抗体およびHIV-2 特異抗体を検出する検査を行った場合は、本区分の「46」HIV-1 抗体(ウエスタンブロット法)および「49」HIV-2 抗体(ウエスタンブロット法)を合算した点数を準用して算定する。なお、本検査を実施した場合、本区分の「46」HIV-1 抗体(ウエスタンブロット法)及び「49」 HIV-2 抗体(ウエスタンブロット法)は、別に算定できない。
参考資料 1)診療におけるHIV-1/2 感染症の診断ガイドライン 2020 版. 日本エイズ学会・日本臨床検査医学会.
2)Infectious Agents Surveillance Repor(t IASR) Vol.25 No.7 2004..
3) Centers for Disease Control and Prevention(CDC). Laboratory testing for the diagnosis of HIV infection: updated recommendations, 2014..
4) HInfectious Agents Surveillance Report(IASR) Vol.37 No.9 2016.
文責:バイオ・ラッド ラボラトリーズ株式会社/監修:日本臨床検査医学会臨床検査点数委員会

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