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新規保険収載検査

SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)核酸検出 トリプシノーゲン2

令和 2年 10月27日より保険適用 D023 微生物核酸同定・定量検査 区分:E1(既存項目)
SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)核酸検出
SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)核酸検出
1)Takara SARS-CoV-2 ダイレクトPCR検出キット
保険点数 検体採取を行った保険医療機関以外の施設へ輸送し検査を委託して実施した場合:1,800点
それ以外の場合:1,350点
製品名 Takara SARS-CoV-2 ダイレクトPCR検出キット
製造販売元 タカラバイオ株式会社
使用目的 生体試料中のSARS-CoV-2 RNAの検出(SARS-CoV-2感染の診断補助)
使用目的に関連する使用上の注意 添付文書の【臨床的意義】、【操作上の注意】の内容を熟知し、本品の有用性を理解した上で、検体種を選択すること。
測定方法 蛍光プローブを組み合わせたRT-PCR法によるSARS-CoV-2(N遺伝子)および内在性コントロール(ヒトRNaseP遺伝子)の核酸検出
検 体 検査に用いる検体については、厚生労働省より公表されている「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針」を参照すること。
有 用 性 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、SARSコロナウイルス2(SARS-CoV-2)によって引き起こされるウイルス性呼吸器疾患で、2019年12月に中国湖北省武漢市で発生して以降、世界各地に急速に広まり多数の感染者を出している。感染拡大の防止には、早期診断が重要であり、SARS-CoV-2の遺伝子を増幅するPCR検査が実施されている。
本品は、リアルタイムRT-PCR法によりSARS-CoV-2遺伝子を検出する体外診断用医薬品である。本品の特⾧は、簡易抽出法の採用によりRNA精製を不要とした点で、標準的なPCR検査法に比べて検査時間が短縮される。また、内在性コントロールを同時検出するためPCR阻害による偽陰性判定を防止することができ、COVID-19の診断補助に有用である。
国立感染症研究所「病原体検出マニュアル 2019-nCoV Ver. 2.9.1」に記載された RNA 精製を行う手法(以下、感染研法)との比較試験を行った結果、鼻腔ぬぐい液検体(32例)では陽性一致率100%、陰性一致率100%、唾液検体(32例)では陽性一致率90.0%、陰性一致率95.5%の結果であった。なお、本試験に使用した陽性検体には、鼻腔ぬぐい液では9~40 コピーのものが4検体、50~250コピーのものが3検体、唾液では10~20コピーのものが3検体、20~100コピーのものが3検体含まれていた。
なお、鼻咽頭ぬぐい液および喀痰に関しても、陽性検体数が限られるものの、本品と感染研法との比較試験を行った。
その結果、鼻咽頭ぬぐい液検体(25例)では陽性一致率100%、陰性一致率100%、喀痰検体(22例)では陽性一致率50.0%、陰性一致率100%となった。喀痰検体に関しては、感染研法で陽性判定となった4検体の内、本品で陰性判定となった2検体はいずれも2コピー相当で、陽性判定となった2検体は5コピーと9コピー相当であった。鼻咽頭ぬぐい液に関しては、7~1,038,996コピー相当で7コピーと9コピーの検体が含まれていた。
留意事項 SARS-CoV-2核酸検出は、国立感染症研究所が作成した「病原体検出マニュアル2019-nCoV」に記載されたもの若しくはそれに準じたもの又は体外診断用医薬品のうち、使用目的又は効果として、SARS-CoV-2の検出(COVID-19の診断又は診断の補助)を目的として薬事承認又は認証を得ているものにより、COVID-19の患者であることが疑われる者に対しCOVID-19の診断を目的として行った場合又はCOVID-19の治療を目的として入院している者に対し退院可能かどうかの判断を目的として実施した場合に限り算定できる。ただし、感染症の発生の状況、動向および原因を明らかにするための積極的疫学調査を目的として実施した場合は算定できない。なお、検査に用いる検体については、厚生労働省の定める新型コロナウイルス感染症の検査に係る指針を参照すること。
採取した検体を、国立感染症研究所が作成した「感染性物質の輸送規則に関するガイダンス2013-2014版」に記載されたカテゴリ-Bの感染性物質の規定に従って、検体採取を行った保険医療機関以外の施設へ輸送し検査を委託して実施した場合は、本区分の「14」SARSコロナウイルス核酸検出の所定点数4回分を合算した点数を準用して算定し、それ以外の場合は、同点数3回分を合算した点数を準用して算定する。なお、採取した検体を、検体採取を行った保険医療機関以外の施設へ輸送し検査を委託して実施した場合は、検査を実施した施設名を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
COVID-19の患者であることが疑われる者に対し、診断を目的として本検査を実施した場合は、診断の確定までの間に、上記のように合算した点数を1回に限り算定する。ただし、発症後、本検査の結果が陰性であったものの、COVID-19以外の診断がつかず、本検査を再度実施した場合は、上記のように合算した点数をさらに1回に限り算定できる。なお、本検査が必要と判断した医学的根拠を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
COVID-19の治療を目的として入院している者に対し、退院可能かどうかの判断を目的として実施した場合は、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律における新型コロナウイルス感染症患者の退院及び就業制限の取扱いについて(一部改正)」(令和2年6月25日健感発0625第5号)の「第1退院に関する基準」に基づいて実施した場合に限り、1回の検査につき上記のように合算した点数を算定する。なお、検査を実施した日時及びその結果を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
参考文献 1) アメリカ疾病予防管理センター(CDC)発行「2019-Novel Coronavirus (2019-nCoV) Real-time rRT-PCR Panel Primers and Probes」(Effective: 24 Jan 2020)
2) 厚生労働省他「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針第2版」(オンライン),
入手先 https://www.mhlw.go.jp/content/000693595.pdf
3) 国立感染症研究所「病原体検出マニュアル 2019-nCoV Ver. 2.9.1」(オンライン),
入手先 https://www.niid.go.jp/niid/images/lab-manual/2019-nCoV20200319.pdf
製品ページURL https://www.takara-bio.co.jp/medical/attention.htm
文責:タカラバイオ株式会社/監修:日本臨床検査医学会臨床検査点数委員会
令和 2年 11月1日より保険適用 D001尿中特殊物質定性定量検査 区分:E3(新項目)
トリプシノーゲン2
トリプシノーゲン2
2)APチェック(R)
保険点数 105点
製品名 APチェック(R)
製造販売元 ニプロ株式会社
主な測定対象 急性腹症患者
主な測定目的 尿中のトリプシノーゲン2の検出、急性膵炎の補助診断
測定方法 イムノクロマトグラフィー法
検 体 尿
有 用 性 尿中の急性膵炎マーカー トリプシノーゲン2を迅速かつ簡易な操作(約10分)で目視判定により検出可能な補助診断キットであり、急性膵炎の早期診断の一助となることが期待できる。
説 明 急性膵炎は急速に進行し、重症化すれば死に至る重篤な疾患である。その診断は血液検査による膵酵素の上昇を確認することやCTなどの画像診断により確定診断が行われるが、クリニックや夜間診療など検査が十分に行えない環境下では診断が遅れ、重症化するリスクがある。本製品は特別な装置等は必要とせず、尿中のトリプシノーゲン2を迅速(約10分)に測定することにより急性膵炎の補助診断を行うことができ、早期診断、早期治療に資することができる製品である。
算定条件 本検査を実施するに当たっては、急性膵炎を疑う医学的根拠について、診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。また本検査と区分番号D007に掲げる「血液化学検査」の1 アミラーゼ、6 リパーゼ、14アミラーゼアイソザイム、45 トリプシン及び区分番号D009に掲げる「腫瘍マーカー」の7 エラスターゼ1を合わせて実施した場合にはいずれか主たるもののみ算定する。
参考資料 1) Itkonen O,Koivunen E,Hurme M,Alfthan H,Schroder T, Stenman UH:Time-resolved immunofluorometric assays for trypsinogen-1 and 2 in serum reveal preferential elevation of trypsinogen-2 in pancreatitis. J Lab Clin Med,115(6):712~718,1990.
2) Lempinen M, Stenman UH, Puolakkainen P, Hietaranta A, Haapiainen R, Kemppainen E.: Sequential changes in pancreatic markers in acute pancreatitis.Scand J Gastroenterol.,38(6):666~675,2003.
3) Hedstrom J,Saino V,Kemppainen E,Puolakkainen P,Haapiainen R,Kivilaakso E,Schauman KO,Stenman UH:Urine trypsinogen-2 as marker of acute pancreatitis.Clinical Chemistry,42(5):685~690,1996.
4) Hedstrom J,Korvuo A,Kenkimaki P,Tikanoja S,Haapiainen R,Kivilaakso E,Stenman UH:Urinary trypsinogen-2 test strip for acute pancreatitis.Lancet,347(9003):729~730,1996.
5) Kemppainen EA,Hedstrom JI,Puolakkainen PA,Sainio VS,Haapiainen RK,Perhoniemi V,Osman S,Kivilaakso EO,Stenman UH:Rapid measurement of urinary trypsinogen-2 as a screening test for acute pancreatitis.N Engl J Med,336(25):1788~1793,1997.
6) Kylanpaa-Back M,Kemppainen E,Puolakkainen P,Hedstrom J,Haapiainen R,Perhoniemi V,Kivilaakso E,Korvuo A,Stenman U:Reliable screening for acute pancreatitis with rapid urine trypsinogen-2 test strip.Br J Surg,87(1):49~52,2000.
7) Pezzilli R,Morselli-Labate AM,d'Alessandro A,Barakat B:Time-course and clinical value of the urine trypsinogen-2 dipstick test in acute pancreatitis.Eur J Gastroenterol Hepatol,13(3):269~274,2001.
8) Kylanpaa-Back ML,Kemppainen E,Puolakkainen P,Hedstrom J,Haapiainen R,Korvuo A,Stenman UH:Comparison of urine trypsinogen-2 test strip with serum lipase in the diagnosis of acute pancreatitis.Hepatogastroenterology,49(46):1130~1134,2002.
9) Kemppainen E,Hedstrom J,Puolakkainen P,Halttunen J,Sainio V,Haapiainen R,Stenman UH:Urinary trypsinogen-2 test strip in detecting ERCP-induced pancreatitis.Endoscopy,29(4):247~251,1997.
製品ページURL http://med.nipro.co.jp/med_eq_category_detail?id=a1U2x000000U7FCEA0
文責:ニプロ株式会社/監修:日本臨床検査医学会臨床検査点数委員会

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