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受精卵が子宮内膜に着床し、母体からの栄養を胎児に与えるための胎盤が作られます。この胎盤からヒト絨毛ゴナドトロピン(hCG)が分泌されます。hCGは尿にも排泄されるため、尿のhCG濃度が一定以上になると陽性になり、妊娠の可能性があります。
市販薬と医療機関で使用している妊娠診断薬の違いは、hCG濃度です。日本で製造されている市販診断薬は、尿のhCG濃度が50IU/lを超えると陽性となり、医療機関で使用しているものは25IU/lを超えると陽性となります。
市販診断薬は月経予定日から7日程度で陽性となり、医療機関で使用している診断薬は月経予定日に陽性となるのが一般的です。 しかし、市販薬でも月経予定日にはわずかに検出できるレベルになっている場合もあります。また、胎児が順調に成長していれば、妊娠6週くらいになると、産科で行う超音波検査で胎児の心拍の確認が可能となります。
妊娠初期に行う必須検査は、①血液型(ABO式、Rh式)、②不規則抗体検査、感染症検査のB型肝炎ウイルス検査(HBs抗原検査)、C型肝炎検査(HCV抗体検査)、風疹抗体価、梅毒検査、ヒトT細胞性白血病(HTLV-1)抗体検査、HIV検査、トキソプラズマ検査、③血糖検査です。
これらの検査は胎児を感染症などから守るために行われます。異常な結果であったときに適切な医療をすることにより母子が安全に出産を迎えるための準備に必要な検査です。このうちHIV検査は主治医から検査についての説明を聞き、同意のうえ行います。
母体に糖尿病が存在すると、胎児の発育や母体の健康にさまざまな影響があります。妊娠初期に血糖検査をし、食事時間にかかわらず血糖 100mg/dl以上であれば糖代謝異常を疑うのが一般的です。血糖検査が異常であった場合には、血糖値により詳しい検査をするか直ちに治療をするかを決定します。妊娠糖尿病は出産後に糖尿病になる可能性があるため、妊娠中に血糖が高めであった場合には、健診など定期的に血糖検査を積極的に受診する必要があります。
●日本臨床検査専門医会:種々の検査を通して診断や治療に役立つ検査結果と関連する情報を臨床医に提供する臨床検査医の職能団体です。