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- いわゆる飲酒マーカー
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- いわゆる飲酒マーカー
過度の習慣飲酒により肝臓、膵臓など多くの臓器に障害が生じます。その診療の第一歩は、患者さんのこれまでの飲酒量と飲酒期間を正確に聞き出すことですが、それは決して容易ではありません。その言葉を疑ってかかるのはよくありませんが、個人の積算飲酒量が反映される客観的なマーカーも必要です。
このいわゆる飲酒マーカーは、表に示したように多数知られています。この中でもっとも有名なのはγ-GTであり、日本酒換算1日3合以上の飲酒を5年以上続けている常習飲酒家の40~70%が、そして、さらに飲酒量の多い大酒家では90%近くが異常高値となります。
しかし、相当量の飲酒にもかかわらず、γ-GT値が異常とならないノンリスポンダーが存在し、この場合の検査としては、糖鎖欠損トランスフェリン(CDT)が有用です。この検査はわが国ではまだ一般的ではありませんが、今後普及すると予想されます。
肥満による脂肪肝など飲酒以外の原因でγ-GTが上昇することも多いので、その値が高いからといって安易に飲酒と結びつけるべきではありません。また、胆汁の流れが悪くなると黄疸が出現する以前からγ-GTやアルカリフォスファターゼ(ALP)が高めになるので、これらの値が高い場合は飲酒の有無に関係なく、腹部エコー検査が必要となります。また、とくに女性の場合は自己免疫性の肝障害である原発性胆汁性肝硬変(初期は無症状です)も考慮する必要があります。