年齢と基準範囲・生化学②について[ラボ NO.439(2015.8.発行)より] | 日本臨床検査専門医会|臨床検査医になるために
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検査値異常の判断法

年齢と基準範囲・生化学②について[ラボ NO.439(2015.8.発行)より]

50歳の女性です。5年ぶりに受けた健診はすべて基準範囲内でしたが、ALPという項目だけが60U/Lも高くなったので心配です。

50歳の女性です。5年ぶりに受けた健診はすべて基準範囲内でしたが、 ALPという項目だけが60U/Lも高くなったので心配です。

ALP(アルカリホスファターゼ)は肝機能検査の一つですが、骨を作る細胞にも多く含まれています。女性では更年期以後(閉経後)は女性ホルモンが低下して骨の代謝動態が変化するので、閉経前に比べてALPの値が上昇します。平均的な女性では45~50歳を境として50~60 U/L程度の上昇が認められます。質問者の方が閉経前後にあたり、ALPの値が基準範囲内で他の肝機能検査などに異常がなければ一般には心配ありません。なお、ALPの基準範囲は幅広い年齢層の健康な人を集めてその結果の95%を含む範囲として求めたものですが、女性ではこのような変化が大きいため、45歳前後に分けて基準範囲を設定する試みもなされています。

55歳男性です。クレアチニンが毎年すこしずつ上がって基準範囲上限をわずかに超えてしまいました。

55歳男性です。クレアチニンが毎年すこしずつ上がって基準範囲上限をわずかに超えてしまいました。

血清クレアチニンは、腎臓が血液中の老廃物を排泄する能力(糸球体ろ過量)を見る検査です。この能力は加齢とともに次第に低下してきますが、一定以上低下しないとクレアチニンの値には反映されません。このため、クレアチニンの年齢による変化は高齢者を除くと、ごく小さなものとなっています。クレアチニンが毎年上がって基準範囲の上限を超えてきた場合には、腎機能が低下している可能性があり、要注意所見です。

最近では、年齢による糸球体ろ過量の変化を推定するeGFR(推定糸球体ろ過量)がクレアチニン値とともに示されますので、その低下の有無を確認しましょう。また、蛋白尿や血尿、高血圧など腎機能に影響する他の因子のチェックも必要です。

血糖やHbA1cの値は 年齢によって上がると 聞きましたが

血糖やHbA1cの値は 年齢によって上がると 聞きましたが

健康な人の血糖値やHbA1cは、20歳台から70歳台まで少しずつ上昇します。これは生理的な変化と考えられていますが、隠れ糖尿病やその予備群に相当する人が多いことも影響します。このため、糖尿病と判定する基準は年齢による差は設定されていません。糖尿病や脂質異常症など、将来合併症を生じる病態では、基準範囲だけでなく、予防医学的な観点から設定された判定基準によって検査結果を見ることが重要です。

●日本臨床検査専門医会:種々の検査を通して診断や治療に役立つ検査結果と関連する情報を臨床医に提供する臨床検査医の職能団体です。