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膠質反応には、チモール混濁試験(Thymol Turbidity Test:TTT)と硫酸亜鉛混濁試験(Zinc surfate Turbidity Test:ZTT)があります。TTTは20世紀中ごろに肝障害の指標として報告され、硫酸バリウム混濁法を標準とする定量法が構築されました。ZTTは同時期に血清γグロブリンの比濁定量法として報告され、γグロブリン分画を量的に捉える検査として開発されてきました。
膠質反応は、蛋白変性試薬を用いた混濁沈殿による比濁定量法の検査で、基本的に血清アルブミンの減少とグロブリンの増加を反映しています。沈殿しやすいγグロブリンが増えれば沈殿量が増加し、親水性のアルブミンが多ければ沈殿しません。ZTTはγグロブリンとよく相関し、TTTはγグロブリンの他にリポ蛋白(とくにTGリッチリポ蛋白)の増加に反応します。
TTTとZTTは乳幼児期に低濃度ですが、おおむね5歳以降に成人と同程度の濃度になります。基準範囲は、TTTが0~5 Kunkel単位、ZTTが4~12 Kunkel単位です。TTTは高TG血症で影響を受けやすく、食後などの乳び血清では高値となります。
(1)TTT
TTT はA型やE型の急性肝炎で初期に顕著に上昇し、肝炎回復期に持続陽性の場合は遷延化が疑われます。その他にTTTが高値となる疾患は慢性肝炎(活動期)、肝硬変・肝癌、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、膠原病や多発性骨髄腫などの高γグロブリン血症、脂質異常症などです。TTTのみ高値でZTTが基準範囲の場合は脂質異常症が疑われます。
(2)ZTT
ZTT はγグロブリンとくにIgGをよく反映することから慢性肝炎や肝硬変、高γグロブリン血症の病態で高くなります。
膠質反応は血清で測定されますが、乳び血清で高くなり、血漿検体では著しく低くなります。 最近の臨床ではTTTやZTTなどの膠質反応はあまり測定されなくなってきましたが、安価に多くの肝疾患や高γグロブリン血症を呈する疾患の診断・評価ができる検査として有用です。
●日本臨床検査専門医会:種々の検査を通して診断や治療に役立つ検査結果と関連する情報を臨床医に提供する臨床検査医の職能団体です。