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見逃せない検査異常

血糖、ヘモグロビンA1c(HbA1c)[ラボ NO.542(2024.3.発行)より]

血糖が高いのはどんな場合ですか?

血液中のブドウ糖(グルコース)が血糖ですが、これはエネルギーとして利用されます。食事をすると小腸から吸収されたブドウ糖が血液中に取り込まれます。血液中のグルコースが血液中に取り込まれると、膵臓からインスリンというホルモンが血液中に分泌され、インスリンの作用でグルコースは必要な場に取り込まれます。これらが障害すると血液中のグルコースは利用されずに血糖値は高くなります。膵臓から分泌されるインスリン分泌量が少ない場合、インスリンが正常に作用せずにグルコースが取り込まれない場合、血糖値は高くなります。

健診でヘモグロビン A1c が高いと指摘されました。血糖値は基準値でしたがどうしてでしょうか?

ヘモグロビン A1c は赤血球に存在し、酸素の運搬を担うヘモグロビンの一部です。赤血球1つの寿命は120 日で、血液中に存在します。赤血球が血液中の糖と接すると糖化ヘモグロビンができます。ヘモグロビンA1cは糖化ヘモグロビンの一部です。糖化ヘモグロビンは糖尿病の有無にかかわらず、すべての人の血液中に存在します。ヘモグロビンA1cが高いということは、血糖値が空腹時や食後血糖値が高い状態が存在することを示しています。健診で空腹時血糖が基準値であっても、食後血糖が高めの状態や食後のブドウ糖利用が長めになると、ヘモグロビンA1cは基準値を超えることがあります。
一方、ヘモグロビンに何らかの異常がある場合には、ブドウ糖代謝が正常でもヘモグロビンA1cが高めになる場合があります。最もよくみられるのは鉄欠乏性貧血です。女性でヘモグロビンが低めで貧血を指摘されている場合や、鉄欠乏性貧血治療中の場合は、ヘモグロビンA1cは高めになることがあります。通常、鉄欠乏性貧血でヘモグロビンA1cは0.2~0.3%高めになります。
血糖値高め、ヘモグロビンA1cが高めであった場合、生活習慣のわずかな見直しで改善することができます。ただし、他の疾患で血糖値やヘモグロビンA1cが高くなる場合もありますので、血糖値やヘモグロビンA1cが高めの場合は、積極的な栄養指導、生活習慣の見直し、医療機関を受診することが大切です。

●日本臨床検査専門医会:種々の検査を通して診断や治療に役立つ検査結果と関連する情報を臨床医に提供する臨床検査医の職能団体です。