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1代表的な血清脂質検査の概要
総コレステロール(TC)、トリグリセライド(TG)、高比重リポ蛋白(HDL)コレステロール(HDL-C)と低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール(LDL-C)は血清脂質の代表的な臨床検査項目です。脂質検査の採血は、原則として10時間以上絶食後の空腹時に行います。一方で、食後高TG血症は動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)のリスクとして重要であり、随時TG 値を確認したい場合は、その臨床判断値も設定されています。ただし、食後検体ではカイロミクロンが増加してTG が高くなり、TG が 400mg/dL 以上では LDL-C を Friedewald 式(TC-HDL-C-TG/5)で求められません。また、採血前日夜の飲酒はTG 上昇を遷延させることがありますので注意が必要です。
TC、LDL-C、HDL-C は日中わずかに低下しますが、低下率は早朝空腹時から平均5%であり、これら3項目に対する採血時間の影響は少ないです。
2脂質異常症の診断
脂質異常症は下記の表に示す診断基準に基づき診断されます。
表 脂質異常症診断基準

* 基本的に10 時間以上の絶食を「空腹時」とする。ただし水やお茶などカロリーのない水分の摂取は可とする。空腹時であることが確認できない場合を「随時」とする。
** スクリーニングで境界域高 LDL-C血症、境界域高 non - HDL-C 血症を示した場合は、高リスク病態がないか検討し、治療の必要性を考慮する。
文献:「動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2022」(日本動脈硬化学会編)
3そのほかの特殊な検査は?
Lp(a)は図に示すようにLDL 粒子のアポリポ蛋白B にアポリポ蛋白(a)が結合した特殊なリポ蛋白であり、アポ(a)は、その蛋白分子内のクリングルという構造単位のなかで、タイプⅣ-2の繰り返し回数が遺伝により決まっているため、その分子量に基づくLp(a)濃度は、おおむね90%遺伝的に決まっています。またLp(a)の濃度は、アポ(a)の分子量とほとんどの場合は逆相関します。
Lp(a)濃度は、Lp(a)に含有される蛋白質量と、脂質量等を合わせた複合的な質量濃度です。Lp(a)の高値はASCVDとりわけ冠動脈疾患の危険因子であり、濃度は主に遺伝的に規定されているため、欧米では、一生に1度は測定することが示されています。Lp(a)濃度は、腎不全あるいはエストロゲン低下により多少上昇するほか、外科的侵襲や炎症などにより一過性に上昇することがあるので注意が必要です。
Lp(a)はLDL-Cの低下が目標に達していても、ASCVDの残余リスクの一つとし
て重要であり、Lp(a)低下薬が開発されている現在、注目度が高まっていますが、
Lp(a)測定は、国内外にわたって標準化や単位の統一化が求められています。
●日本臨床検査専門医会:種々の検査を通して診断や治療に役立つ検査結果と関連する情報を臨床医に提供する臨床検査医の職能団体です。