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見逃せない検査異常

γ-GT、ALP[ラボ NO.537(2023.10.発行)より]

γ-GT 上昇は何を示しているの?

γ-グルタミルトランスぺプチターゼは腎臓、膵臓、肝臓に存在しており、胆石やがんなどによる胆汁分泌障害や肝細胞障害が生じた際に上昇します。正常値は成人男性:10〜50U/L、成人女性:10〜30U/Lです。また、胆石やがんのみならず、アルコールや薬物にも反応しやすい値です。上昇の原因には、飲酒、脂肪肝、薬(抗てんかん薬、向精神薬、抗凝固薬、ステロイド)を考える必要があります。

血小板が多いとき

血小板増加の原因は、原発性(他の原因がない)と、反応性(何か他の原因があって二次的に起こる)に分けられます。
原発性の血小板増多症は、骨髄増殖性疾患と呼ばれる疾患群で、骨髄で血小板の産生が亢進しています。放っておくと、血小板が増えすぎて血栓症を起こすことがあるので、専門医の元で加療が必要です。
反応性の血小板増多症の原因には、鉄欠乏性貧血、炎症、悪性腫瘍などがあります。鉄欠乏性貧血は、女性に多くみられますが、同時に血小板数が高くなることがあります。鉄欠乏性貧血の際に、赤血球を増やす働きをするエリスロポエチンというホルモンが分泌されるのですが、血小板にも少し作用してしまうため、血小板が増加するのです。このような反応性の血小板増多症の場合は、原因となる疾患が改善すると、血小板数は正常に戻ります。

ALP上昇は何を示しているの?

アルカリフォスファターゼはγ-GT、LAPともに胆道系酵素と呼ばれています。ALP上昇時には、胆石、悪性腫瘍、閉塞性黄疸のような胆道系病変、もしくは胆汁うっ帯による胆道内圧亢進の存在が疑われます。正常値は100〜350U/L です。また、ALPには6種類のアイソザイムが存在し、さらに病因を追求することができます。

ALPのアイソザイムとは?

アイソザイムとは酵素としての活性がほぼ同じでありながら、タンパク質分子としては別種である酵素を指します。要は双子のようなもの…と考えていただくとイメージしやすいかもしれません。ALPは6つ子になるのですが、ALP1&2は肝由来、ALP3は骨由来(骨芽細胞由来)、ALP4は胎盤由来、ALP5 は小腸由来、ALP6は潰瘍性大腸炎との関連が深いことがわかっています。ですので、ALPが高値を示した場合には ALPアイソザイムを血液検査にて追加することにより、病変がどこに存在するのかを絞る手がかりとなるのです。

●日本臨床検査専門医会:種々の検査を通して診断や治療に役立つ検査結果と関連する情報を臨床医に提供する臨床検査医の職能団体です。