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見逃せない検査異常

肝酵素 AST(GOT)、ALT(GPT)[ラボ NO.536(2023.9.発行)より]

AST(GOT) とは? ASTの異常値・パニック値は?

AST(Aspartate transaminase: アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)は酵素の一種で、心臓・肝臓・骨格筋に多く含まれています。肝臓などの臓器に何らかの障害があると、血液中に AST が漏れ出してきます。血液中の AST の量により、主に心臓・肝臓・筋肉などのいずれかの臓器に障害が起きているかを知ることができます。AST の共用基準範囲は 13 ~ 30U/L で、30U/L 以上であれば、精査をすすめられることがあります。施設により、300U/L 以上であれば、パニック値と判定されて、至急大きな病院で入院精査をすすめられます。

ALT(GPT) とは?ALTの異常値・パニック値は?

LT(Alanine transaminase:アラニンアミノトランスフェラーゼ)も酵素の一種で、ALTのほとんどが肝臓に含まれています。ASTが心臓・肝臓・骨格筋に多く含まれているのに対し、ALTは肝臓にほとんど含まれているため、ALTに異常が認められた場合は、まず肝臓に問題があると考えられます。ALTの共用基準範囲は男性10~42U/L・女性7~23U/Lで、30U/L程度以上であれば、精査をすすめられることがあります。施設により、300U/L以上であれば、パニック値と判定されて、至急大きな病院で入院精査をすすめられます。

AST、ALTが異常値・パニック値とわかったら?

ASTのみが上昇している場合は、かならずしも肝臓が悪いとは限りません。心臓や筋肉の疾患の可能性もあるため、他の検査結果を含めて注意が必要です。
AST、ALTともに高い場合は肝臓病などが疑われますので、早めに内科などを受診して精密検査を受けましょう。B型肝炎やC型肝炎などのウイルスに感染している場合や、アルコールや過栄養によるものである場合があります。まれに自己免疫病などによるものもありますので、早めに精査して、原因を特定して治療を行いましょう。特にAST、ALTが300U/L以上である場合には、大丈夫とは考えずに至急、病院を受診して治療を受けましょう。

●日本臨床検査専門医会:種々の検査を通して診断や治療に役立つ検査結果と関連する情報を臨床医に提供する臨床検査医の職能団体です。