ASSOCIATION
専門医会のご案内
Guests
ヘリコバクター・ ピロリ(Helicobacter pylori)は通称ピロリ菌と呼ばれているもので、強い胃酸の分泌される胃粘膜でも生息できる特殊な細菌です。胃潰瘍や胃炎の原因となり、胃がんの危険性を高めることも知られています。
現在の推定では日本人で10歳代では10%を切っていますが、60歳代以上では約60~70%とかなりの人が感染しているとされています。
内視鏡検査時に行われるものと、血液、 尿、 便に対して行われるもの、さらに検査薬を飲んで呼気(吐いた息)を採取して行うものとがあります(表)。
現在のところ、健診・人間ドックの標準的な検査とはなっていないため、健診・人間ドックの基本項目のなかに含まれているところは必ずしも多くありませんが、オプション検査となっているところは増えてきているようです。表の検査のなかでは血液中の抗体を調べる検査が他の検査項目と一緒に実施できるので一般的ですが、尿中抗体、糞便中抗原測定を行っている施設もあります。 なお、 胃の検査を内視鏡で実施していた場合、もし、ピロリ菌に感染している可能性のある所見が認められれば、内視鏡時に行う検査のいずれか、特にすぐその場で結果が得られる迅速ウレアーゼ検査が行われることもあります。
内視鏡で胃・十二指腸潰瘍、胃炎が確認された場合をはじめとしてピロリ菌が関連する疾患がある場合は、除菌治療が健康保険で行うことができますので、ぜひ治療することをおすすめします。治療は胃酸を抑える薬と抗菌薬(抗生物質)を組み合わせた3種類の薬を1週間内服するのが一般的です。なお、日本ヘリコバクター学会のガイドラインでは、現在ピロリ菌と関連する疾患がなくとも、予防のため除菌療法を受けることがすすめられていますので、これについては医師とよく相談してください。
●日本臨床検査専門医会:種々の検査を通して診断や治療に役立つ検査結果と関連する情報を臨床医に提供する臨床検査医の職能団体です。
●「専門医が教える健診で受ける検査の意味」は今号で最終回です。次号より「専門医が教える検査値異常の判断法」が始まります。