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検査値異常の判断法

年齢と基準範囲・生化学①について[ラボ NO.438(2015.7.発行)より]

年齢によって検査値は変わりますか?

年齢によって検査値は変わりますか?

肝臓や腎臓の働き、内分泌・代謝系の状態など、体内のさまざまな機能は青年期、壮年期、熟年期と年齢により変化していきます。このため、その機能を調べる臨床検査値にも年齢を反映した変化が見られます。また、年齢により食事の嗜好や運動習慣なども変わります。このような生活習慣の変化も、検査値を変える要因となります。

年齢による検査値の変化が大きい検査項目はどれですか?

年齢による検査値の変化が大きい検査項目はどれですか?

肝機能検査ではALTとγGT、腎機能検査では尿素窒素(UN)、代謝・内分泌検査では総コレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪、血糖、HbA1cが年齢による変動の大きな項目です。
これらの項目では20歳台から壮年期へと年齢を経るにしたがい、検査値が少しずつ上昇しますが、項目により変化のパターンが異なります。また、年齢による検査値の変化は男性と女性で異なります。女性では更年期を境として女性ホルモンの分泌量が大きく変化するため、更年期の前後での検査値変化が大きくなります。
健康な人を多数集めて、その検査結果の95%が含まれる範囲として示している検査の基準範囲は、20歳~60歳と幅広い年齢層の人々を対象として求めたものです。このため、年齢による検査値の変化は、基準範囲の幅の中に留まるのが普通です。年齢による検査値変化は個人差も大きいのが特徴ですが、基準範囲を超えるような変化は要注意所見です。

血清コレステロール値の年齢による変化を詳しく教えてください

血清コレステロール値の年齢による変化を詳しく教えてください

血清コレステロールのうち、HDLコレステロールは年齢による変化はあまり見られません。 一方、LDLコレステロールの年齢による変化は男女で異なります。平均的な男性では20歳台~50歳台にかけて少しずつ上昇し、50歳台では20歳台に比べ、約30%高値となります。女性では20歳~40歳までの増加は10%程度ですが、更年期を境に大きく増加し50歳台の平均的女性は、20歳台より約40%高値となります。このため、50~60歳以降では男性より女性でLDLコレステロール値が高値となり、高LDLコレステロール血症(140mg/dl以上)と判定される頻度も高くなります。
なお、LDLコレステロール値には肥満や食事、運動などの生活習慣が深く関わりますので、とくに中年期以降では生活習慣に十分な注意が必要といえます。

●日本臨床検査専門医会:種々の検査を通して診断や治療に役立つ検査結果と関連する情報を臨床医に提供する臨床検査医の職能団体です。