「腫瘍マーカー」の検査について[ラボ NO.430(2014.11.発行)より] | 日本臨床検査専門医会|臨床検査医になるために
  1. HOME
  2. 一般の方へ
  3. 「腫瘍マーカー」の検査について[ラボ NO.430(2014.11.発行)より]

一般の方へ

GUESTS

検診で受ける検査

「腫瘍マーカー」の検査について[ラボ NO.430(2014.11.発行)より]

腫瘍マーカーのみで癌の早期発見や癌の診断ができますか?

腫瘍マーカーのみで癌の早期発見や癌の診断ができますか?

腫瘍マーカーは、血液中や分泌液中にあり、悪性腫瘍を強く疑う際の補助診断の1つです。多くの腫瘍マーカーは、癌の早期発見のためには確立していません。しかしPSA(pr ostate specific antigen、前立腺特異抗原)は臓器特異性が高く、50歳代以降男子で増加する前立腺癌の早期発見に役立ちます。いずれの腫瘍マーカーも悪性腫瘍のみでなく、急性・慢性炎症や良性疾患等で上昇、すなわち偽陽性となることがあります。以上から診察、画像所見から悪性腫瘍が強く疑われた場合にのみ参考にするよう保険診療上の指導があり、現在、保険診療で認められている腫瘍マーカーは40種類ほどです。
このように腫瘍マーカーのみでの癌の診断はできず、病理検査での確認が必要です。数値のみに振り回されないことが常に大切です。腫瘍マーカーの値や種類は、腫瘍の進行で変動するので、術前の進行度の予測や、治療評価、再発の早期発見に有用といわれます。

一般的に有用な腫瘍マーカーは?
また発見困難な膵臓癌には、どんな腫瘍マーカーがありますか?

一般的に有用な腫瘍マーカーは?
また発見困難な膵臓癌には、どんな腫瘍マーカーがありますか?

代表的腫瘍マーカー3つ、CEA、AFP、CA19-9を紹介します。
CEA(癌胎児性抗原、carcinoembryonic antigen)は大腸癌組織の抽出物で、胎児の消化管粘膜にもある胎児性蛋白抗原です。胃癌、大腸癌、膵臓癌等、多くの消化器癌の他、肺癌、卵巣癌、乳癌等でも高値となります。臓器特異性は低いですが、頻度の高い癌の多くが高値となり、癌のスクリーニングとして有用です。一方、肝硬変、糖尿病、高齢者、高度の喫煙でも偽陽性となります。

AFP(α-フェトプロテイン、alpha-fetoprotein)は胎生期の卵黄嚢や肝臓で産生される胎児性蛋白です。肝炎、中でも近年はC型肝炎から肝硬変、肝細胞癌へと進む肝細胞癌に特異性の高い腫瘍マーカーの1つです。肝芽腫(小児の肝細胞癌)や胚細胞(未熟生殖細胞)腫瘍でも高値です。他に乳児肝炎、慢性肝炎、肝硬変、妊娠等で偽陽性となります。

CA19-9(carbohydrate antigen19-9)は、モノクローナル抗体技術で発見された糖鎖関連腫瘍マーカーのグループに属します。消化器癌、特に膵臓癌や胆道癌で高値となります。症状が出にくく発見困難な膵臓癌の腫瘍マーカーの1つです。胆石症、膵炎、肝炎、肝硬変、気管支拡張症等でも偽陽性となります。一方、ルイス式血液型抗原に由来するため偽陰性もあります。

近年のモノクローナル抗体の発見は、腫瘍細胞の組織・細胞学的同定を可能としました。同時に「分子標的治療」、すなわち個別化治療を可能とする道を開きました。これも「広義の腫瘍マーカー」で、今後、医療分野での開発・利用が大いに期待されます。

●日本臨床検査専門医会:種々の検査を通して診断や治療に役立つ検査結果と関連する情報を臨床医に提供する臨床検査医の職能団体です。