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新規保険収載検査

サイトメガロウィルス核酸検出(尿)

平成 30 年 1 月より保険適用 D023 微生物核酸同定・定量検査 区分:E3(新項目)
サイトメガロウイルス核酸検出(尿)
保険点数 850 点
製品名 ジェネリス CMV
製造販売元 株式会社シノテスト
主な対象 先天性サイトメガロウイルス感染が疑われる生後3週間以内の新生児
主な測定目的 尿中のサイトメガロウイルスDNAの検出(先天性サイトメガロウイルス感染の診断の補助)
検 体 尿(生後 3 週間以内に採取された新生児尿)
測定方法 等温核酸増幅法
特 徴

先天性サイトメガロウイルス(以下,CMV)感染症は,経胎盤母子感染症として知られる TORCH 症候群[Toxoplasma,Others(梅毒など),Rubella,Cytomegalovirus,Herpes simplex virus]のひとつであり,これらの病原体が感染した場合,臨床像が似ているため,鑑別が必要とされている。
我が国では,年間 3,000 人を超える新生児が CMV に先天性感染しており,そのうち約 3 割に聴覚障害,視力障害,精神遅滞等の神経学的後遺症をきたすなど,重要な健康問題が生じるとされている。また,出生時に神経学的症状が無くても,後に発達障害や難聴等が明らかとなる場合もあり,長期にフォローアップする必要がある。
先天性 CMV 感染診断のための検査として,これまで CMV 抗体等が補助的に用いられていたが感度が低いことが問題であった。また,生後 3 週間以内の新生児尿を用いた核酸検査は関連学会のガイドラインにて推奨されている検査であり,診断に必要不可欠な検査であるが,核酸検査を実施するための体外診断用医薬品が存在せず,保険収載もされていないことが診断上の課題であった。
今回,新規収載された本検査は等温核酸増幅法を測定原理とする核酸検査であり,尿中 CMV の核酸を直接検出する等により,先天性 CMV 感染の診断を適切に行うことを可能とする。
臨床性能試験成績を示す。生後 3 週間以内に採取された,先天性 CMV 感染と診断された児(陽性群)の尿 32 検体,先天性 CMV 感染が疑われる症状があったが非感染と診断された児(対照疾患群)の尿 107 検体,先天性 CMV 感染が疑われる症状が無く先天性 CMV 非感染と診断された児(無病群)の尿 41 検体の計 180 検体を用いた臨床性能試験では,臨床診断との比較において,全体一致率 100%(180 例/180 例)と良好な結果であった。また,リアルタイムPCR 法による核酸検出との全体一致率も 100%(180 例/180 例)であった。
以上の結果から,本検査を導入することにより,先天性 CMV 感染が疑われた児に対して他の TORCH 症候群との鑑別が可能となる。そして,先天性 CMV 感染を適切に診断することで,抗ウイルス薬や運動リハビリ(立位訓練など),補聴器装着などによる治療介入及び療育的介入を早期から実施することが可能となり,難聴等の予後改善が期待できる。

なお,本検査は,先天性サイトメガロウイルス感染の診断を目的として,等温核酸増幅法により測定した場合に,1回に限り算定できる。また,先天性サイトメガロウイルス感染の診断を目的として,本検査と D012 感染症免疫学的検査の「11」ウイルス抗体価(定性・半定量・定量)(1 項目当たり)若しくは「39」グロブリンクラス別ウイルス抗体価(1 項目当たり)におけるサイトメガロウイルスを対象とした検査又は「40」サイトメガロウイルス抗体を併せて実施した場合には,主たるもののみ算定する。  

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