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新規保険収載検査

D004 穿刺液・採取液検査 区分 : E3(新項目)リン酸化タウ蛋白 / アミロイド β42 比(髄液)D004-2 悪性腫瘍組織検査 1 悪性腫瘍遺伝子検査 区分:E2(既存項目・変更あり)尿路上皮癌における FGFR3 遺伝子検査 D004-2 悪性腫瘍組織検査 1 悪性腫瘍遺伝子検査 区分:E3(新項目)IDH1 遺伝子検査

令和7年9月1日より保険適用 D004 穿刺液・採取液検査 区分 : E3(新項目)
リン酸化タウ蛋白 / アミロイド β42 比(髄液)
1. D004 穿刺液・採取液検査 区分 : E3(新項目)
リン酸化タウ蛋白 / アミロイド β42 比(髄液)
保険点数 1,282点
製品名 エクルーシス試薬β-アミロイド1-42
エクルーシス試薬リン酸化タウ181
製造販売元 ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社
使用目的 脳脊髄液中のβ-アミロイド1-42の測定(脳内アミロイドβの蓄積状態把握の補助)、脳脊髄液中の181位リン酸化タウ蛋白の測定(脳内アミロイドβの蓄積状態把握の補助)
(重要な基本的注意)
認知症の診断に関連する十分な知識及び経験を有する医師が、検査の原理及び結果の解釈を十分に理解した上で、関連学会等の適正使用指針に従って使用してください。
測定方法 電気化学発光免疫測定法(ECLIA法)
説 明 本品は電気化学発光免疫測定法(ECLIA法)により脳脊髄液中のβ-アミロイド1-42および181位リン酸化タウ蛋白を測定し、測定結果の判定はリン酸化タウ蛋白/アミロイドβ42比を用いて行います。
本試薬はコバスpro(免疫処理用e801モジュール)、コバスpure(免疫処理用e402モジュール)、コバスe411、コバス 6000(免疫処理用e601 モジュール)、コバス8000(免疫処理用e602モジュール)に適用できます。測定機器へそれぞれの試薬パックと測定対象の検体を架設すると、約18分で脳脊髄液中のβ-アミロイド1-42および181位リン酸化タウ蛋白濃度を測定できます。これらの結果から求められるリン酸化タウ蛋白/アミロイドβ42比はアミロイドPET検査の判定結果と良好な相関性を有することから、脳内アミロイドβの蓄積状態把握の補助に有用と言えます。
(臨床性能試験の概要)
主観的認知機能低下(SCD)または軽度認知障害(MCI)の患者91例を対象としたApollo試験(RD002678)の結果、ロシュのリン酸化タウ蛋白/アミロイドβ42比は、アミロイドPET検査と高い一致率を示しました。
一致した症例数:77例(陽性一致:32例、陰性一致:45例)。不一致の症例数:14例(陽性一致率80.0%、陰性一致率 88.2%)
不一致の症例14例のうち、14例はリン酸化タウ蛋白/アミロイドβ42比のカットオフ値に近い、またはアミロイドPETの読影者間で判定が分かれたケースでした。このことから、両検査の判定が際どい症例において、結果が食い違う可能性が示唆されました。
留意事項 本区分「14」のリン酸化タウ蛋白(髄液)、本区分「15」のアミロイド β42/40 比(髄液)又は本区分「15」の所定点数を準用するリン酸化タウ蛋白/アミロイドβ42比(髄液)のうちいずれかを併せて行った場合は主たるもののみ算定する。
リン酸化タウ蛋白/アミロイドβ42比(髄液)は、効能又は効果としてアルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制を有する医薬品に係る厚生労働省の定める最適使用推進ガイドラインに沿って、アルツハイマー病による軽度認知障害又は軽度の認知症が疑われる患者等に対し、効能又は効果としてアルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制を有する医薬品の投与の要否を判断する目的でアミロイドβ病理を示唆する所見を確認するため、ECLIA法により、脳脊髄液中のβ-アミロイド1-42及び181位リン酸化タウ蛋白を同時に測定した場合、本区分「15」のアミロイドβ42/40比(髄液)の所定点数を準用して患者1人につき1回に限り算定する。ただし、効能又は効果としてアルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制を有する医薬品の投与中止後に初回投与から18か月を超えて再開する場合は、さらに1回に限り算定できる。なお、この場合においては、本検査が必要と判断した医学的根拠を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
製品関連URL なし
文責 : ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社/監修:日本臨床検査医学会保険診療委員会
令和7年9月1日より保険適用 D004-2 悪性腫瘍組織検査 1 悪性腫瘍遺伝子検査 区分:E2(既存項目・変更あり)
尿路上皮癌における FGFR3 遺伝子検査
2. D004-2 悪性腫瘍組織検査 1 悪性腫瘍遺伝子検査 区分:E2(既存項目・変更あり)
尿路上皮癌における FGFR3 遺伝子検査
保険点数 2,500点
製品名 therascreen FGFR 遺伝子変異・融合遺伝子検出キットRGQ「キアゲン」
製造販売元 株式会社キアゲン
使用目的 本品は、がん組織から抽出したゲノムRNA中のFGFR3遺伝子変異及び融合遺伝子の検出(エルダフィチニブの尿路上皮癌患者への適応判定の補助)をするものである。
測定原理 本品は、オリゴヌクレオチド加水分解原理を用いたリアルタイムPCR法により、生体由来の組織から抽出したゲノムRNA中のFGFR3遺伝子融合・変異を検出する。
本検査ではtherascreen FGFR遺伝子変異・融合遺伝子検出キットRGQ「キアゲン」を用いて、Rotor-Gene Q MDx5plex HRM システムによりリアルタイムPCR反応を行う。
解析はロータージーンQ MDx 5plex HRM(医療機器届出番号:13B2X10223000004)のソフトウェアにより自動化された方法で行われ、ランコントロールとサンプル結果の両方が有効であり、アッセイターゲット増幅が所定のサイクル数カットオフ閾値を下回った場合、各サンプルのFGFR3変異の検出が表示される。
検 体 1.FFPE 検体
尿路上皮癌患者のホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織から抽出したRNA検体を用いる。抽出はRNeasy DSP FFPE Kitを用いる。
2.RNA 検体
抽出したRNAは直ちに試験を実施する。直ちに実施しない場合は-90℃~-65℃で保管する。保管期間は34日間まで。凍結融解操作は、最大5回までとする。
3.RNA抽出のための組織検体の調製
FFPE検体ブロックから、マイクロトームにより4~5μmの連続したセクションを切り取り、スライドグラスに載せる。
訓練された病理専門家がH&E染色切片を評価し、癌組織が存在、境界がマーキングされていることを確認する。
場合により、腫瘍表層を特定し、切開をガイドするために摘出する箇所に隣接するスライドが必要である。
RNA抽出には、H&E染色された箇所は使用しない。
FFPEブロックとスライドは室温(15℃~25℃)で保管する。
臨床的意義 (エルダフィチニブの臨床試験成績)
国際共同第III相試験(BLC3001 試験)コホート1 PD-1/PD-L1阻害剤を含む治療歴のある注1)FGFR遺伝子異常注2)を有する根治切除不能な尿路上皮癌患者266例(日本人27例を含む)を対象に、本剤8mgを1日1回経口投与した際の有効性及び 安全性を、治験担当医師の選択する化学療法(ドセタキセル又はvinflunine)注3)と比較することを目的とした無作為化非盲検比較試験を実施した。なお、投与後14日目の血清リン濃度が9mg/dL未満の場合、本剤を9mg まで増量し、患者の状態により 適宜減量した。
主要評価項目である全生存期間(OS)は、化学療法群と比較して本剤群で有意な延長を示した。

注1)1又は2つの化学療法歴のある患者が対象とされた。術前 又は術後補助療法中又は終了後12カ月以内に疾患進行が認められた場合は、1つの化学療法歴としてみなすこととされた。
注2)FGFR3遺伝子変異(R248C、S249C、G370C又はY373C)又はFGFR融合遺伝子(FGFR2-BICC1、FGFR2-CASP7、FGFR3-TACC3又はFGFR3-BAIAP2L1)のいずれかに該当する遺伝子異常が対象とされ、FGFR3遺伝子変異(R248C、S249C、G370C、Y373C)及びFGFR3-TACC3を有する患者が組み入れられた。
注3)本邦ではvinflunineは未承認であるため、ドセタキセルが選択された。
製品関連URL なし
文責:株式会社キアゲン/監修:日本臨床検査医学会保険診療委員会
令和7年9月より保険適用 D004-2悪性腫瘍組織検査1悪性腫瘍遺伝子検査 区分:E3(新項目)
IDH1 遺伝子検査
3. D004-2悪性腫瘍組織検査1悪性腫瘍遺伝子検査 区分:E3(新項目)
IDH1 遺伝子検査
保険点数 2,500点
製品名 ipsogen IDH1 変異検出キット RGQ「キアゲン」
製造販売元 株式会社キアゲン
使用目的 末梢血又は骨髄液から抽出したゲノムDNA中のIDH1遺伝子変異の検出(イボシデニブの急性骨髄性白血病患者への適応を判定するための補助に用いる)
測定原理 本品は、オリゴヌクレオチド加水分解原理を用いたリアルタイムPolymerase Chain Reaction(PCR)法により、末梢血あるいは骨髄液から抽出したゲノムDNA中のIDH1変異を検出する。
本検査ではipsogen IDH1変異検出キットRGQ「キアゲン」を用いて、ロータージーンQ MDx 5plex HRM(医療機器届出番号:13B2X10223000004)によりリアルタイムPCR反応を行う。
解析はロータージーンQ MDx 5plex HRM(医療機器届出番号:13B2X10223000004)のソフトウェアにより自動化された方法で行われ、ランコントロールとサンプル結果の両方が有効であり、アッセイターゲット増幅が所定のサイクル数カットオフ閾値を下回った場合、各サンプルのIDH1遺伝子変異の検出が表示される。
検 体 サンプルは EDTA 採血管に採取した新鮮ヒト全血(PB)、または骨髄穿刺(BMA)サンプルでなければならない。
1.サンプルを安定に保存できる条件と期間
PB 2~8℃ 1週間
BMA 2~8℃ 1週間
2.サンプルの品質を保証するためには病理学的に標準となる方法で輸送すること。
3.サンプルDNA抽出の手順として、DNAの精製はQIAamp DSP DNA Blood Mini Kit(QIAGEN, cat. no. 61104)を用いる。QIAamp DSP DNA Blood Mini Kit Handbookに従い、200μL Elution Buffer(AE)を用いて DNA精製を行う。
4.gDNAの定量および濃度調製について、全血または骨髄穿刺検体から抽出したgDNAを用いる。測定濃度が 1ng/μL未満の場合は、サンプルを再抽出する必要がある。測定濃度が6ng/μLを超える場合は、本キットに含まれる希釈用水(Dil.)を用いて、5ng/μLに希釈する。
臨床的意義 イソクエン酸デヒドロゲナーゼ1は、ヒトでは2番染色体上のIDH1遺伝子によりコードされている酵素である。
IDH1遺伝子のR132におけるIDH1ホットスポット変異は、D-2-ヒドロキシグルタール酸(2HG)を産生する機能獲得型変異をもたらす。2HGは、DNAおよびヒストンの過剰メチルに関与するオンコメタボライトであり、遺伝子転写の調節抑制および細胞分化の阻害につながる1)。IDH1 突然変異は、主に急性白血病(AML)における血液型腫瘍、骨髄異形成症候群(MDS)に見られることから変異型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ阻害剤イボシデニブの、AML患者での臨床有用性が示唆されている2)。そのため、イボシデニブ治療に適した患者の選択に IDH1 変異を特定することは重要である。
留意事項 「D006-2」造血器腫瘍遺伝子検査、「D006-6」免疫関連遺伝子再構成、「D006-14」FLT3遺伝子検査又は「D006-16」JAK2 遺伝子検査のうちいずれかを同一月中に併せて行った場合には、主たるもののみ算定する。
参考文献 1)Oltvai ZN, Harley SE, et al. Assessing acquired resistance to IDH1 inhibitor therapy by full-exon IDH1 sequencing and structural modeling. Cold Spring Harb Mol Case Stud. 2021; 7(2).
2)Cadoux-Hudson T, Schofield CJ, et al. Isocitrate dehydrogenase gene variants in cancer and their clinical significance. Biochem Soc Trans. 2021; 49(6): 2561-72.

米国で実施されたイボシデニブの臨床試験で使用された検査(CTA)と本品(CDx)のブリッジング試験の結果は以下である。
●骨髄液検体でのCTAとCDx検査結果の一致割合
 全体一致割合:99.10%(219/221)
 陽性一致割合:98.77%(80/81)
 陰性一致割合:99.29%(139/140)
●末梢血検体での CTA と CDx 検査結果の一致割合
 全体一致割合:87.50%(28/32)
 陰性一致割合:100%(6/6)
製品関連URL なし
文責:株式会社キアゲン/監修:日本臨床検査医学会保険診療委員会

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