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令和 3年 9月1日より保険適用 | D014自己抗体検査 区分:E3(新項目) 抗P/Q型電位依存性カルシウムチャネル抗体(抗P/Q型VGCC抗体) |
抗P/Q型電位依存性カルシウムチャネル抗体(抗P/Q型VGCC抗体) 1)VGCCAb RIA「コスミック」 |
保険点数 | 1,000点 |
製品名 | VGCCAb RIA「コスミック」 |
製造販売元 | 株式会社コスミックコーポレーション |
主な対象 | 臨床症状によりランバート・イートン筋無力症候群が疑われる患者 |
測定目的 | 血清中の抗 P/Q型カルシウムチャネル抗体の測定(ランバート・イートン筋無力症候群の診断の補助) |
測定方法 | 放射免疫測定法(RIA法) |
検体 | 血清 |
有 用 性 | 抗P/Q型電位依存性カルシウムチャネル抗体(以下、抗VGCC抗体)検査は、ランバート・イートン筋無力症候群(Lambert-Eaton myasthenic syndrome: 以下、LEMS)患者の85から95%で陽性となる検査である1, 2)。特に症状が類似の重症筋無力症、筋炎、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー、筋萎縮性側索硬化症、ボツリヌス症、有機リン中毒との鑑別には欠かせない検査であり、本品の臨床性能試験では、LEMSに対して感度91.7%、重症筋無力症等の類似疾患に対しては全例陰性であり特異度100%という結果を示した3)。 |
説 明 | LEMSは、神経筋接合部のシナプス前終末からのアセチルコリンの放出障害により、四肢筋力低下、腱反射低下、および自律神経障害を呈する神経筋接合部・自律神経の自己免疫疾患である。また、LEMS患者の半数以上が悪性腫瘍、主に小細胞肺癌(Small Cell Lung Carcinoma: 以下、SCLC)を合併する傍腫瘍性症候群でもある4)。LEMSと診断された場合、SCLCの検索を開始し、腫瘍が発見された場合には腫瘍の治療が実施される。また、LEMSの治療としては、対症療法として3, 4-ジアミノピリジンやコリンエステラーゼ阻害剤、免疫治療としてステロイド等が用いられる。重症LEMSでは、血漿交換や免疫グロブリン大量静注療法が使用される。 LEMS患者の85から95%は、P/Q 型電位依存性カルシウムチャネル(P/Q-type voltage-gated calcium channels:以下、VGCC)に対する病原性自己抗体(抗VGCC抗体)を有する(【有用性】の項参照)。抗VGCC抗体は、神経筋接合部のシナプス前終末のVGCCの機能障害または減少を引き起こし、アセチルコリンの放出を阻害することで、その結果神経筋伝達の障害、筋力低下を引き起こす。一方、極稀ではあるが、LEMSではない抗VGCC抗体陽性SCLC患者や、LEMSではない抗VGCC抗体陽性傍腫瘍性小脳変性症などが存在するため、抗VGCC抗体検査は、その結果のみでLEMSと診断することができない点については注意が必要である。 LEMSの診断は、「ランバート・イートン筋無力症候群の診断基準」(難治性疾患政策研究事業「神経免疫疾患のエビデンスによる診断基準・重症度分類・ガイドラインの妥当性と患者QOLの検証研究班」)に則り行われており、臨床症状及び検査所見(抗VGCC抗体検査及び反復神経刺激誘発筋電図)を揃えて診断されている。 「ランバート・イートン筋無力症候群の診断基準」に盛り込まれている抗VGCC抗体検査が保険適用され、今後のLEMSの診断の一助となることが期待される。 |
留意事項 | D014自己抗体検査の留意事項に下記を追加する。 (32)抗P/Q型電位依存性カルシウムチャネル抗体(抗P/Q型VGCC抗体) ア ランバート・イートン筋無力症候群の診断を目的として、RIA法により、抗P/Q型カルシウムチャネル抗体(抗VGCC抗体)を測定した場合は、本区分の「43」抗筋特異的チロシンキナーゼ抗体の所定点数を準用して算定する。 イ 本検査は、臨床症状によりランバート・イートン筋無力症候群が疑われる患者であって、反復刺激誘発筋電図検査において異常所見を認める患者を対象として実施した場合に限り算定できる。ただし、医学的な必要性から反復刺激誘発筋電図検査において異常所見を認めない患者を対象として実施する場合には、診療報酬明細書の摘要欄にその詳細な理由を記載すること。 |
参考文献 | 1)Motomura M, Johnston I, Lang B, Vincent A, Newsom-Davis J. An improved diagnostic assay for Lambert-Eaton myasthenic syndrome. J Neurol Neurosurg Psychiatry 1995; 58(1): 85-7. 2)Lennon VA, Kryzer TJ, Griesmann GE, O'Suilleabhain PE, Windebank AJ, Woppmann A, Miljanich GP, Lambert EH. Calcium-channel antibodies in the Lambert-Eaton syndrome and other paraneoplastic syndromes. N Engl J Med 1995; 332(22): 1467-74. 3) 本村政勝, 北之園寛子, 白石裕一, 吉村俊祐, 中田るか, 辻野彰, 川上純, 中尾洋子, 佐藤聡, 辻畑光宏, 池浩司, 田中愛, 竹内一翔, 菊地強. 放射性免疫沈降法によるP/Q型電位依存性カルシウムチャネル抗体測定キットの基礎的・臨床的検討. 医学と薬学 2020; 77(7): 1057-63. 4)Nakao YK, Motomura M, Fukudome T, Fukuda T, Shiraishi H, Yoshimura T, Tsujihata M, Eguchi K. Seronegative Lambert-Eaton myasthenic syndrome: study of 110 Japanese patients. Neurology 2002; 59(11): 1773-5. |
製品関連URL | https://www.cosmic-jpn.co.jp/products/?confirm=ok&mca=3&ca=1442279886-114324&id=1629694168-225872 |
文責:株式会社コスミックコーポレーション/監修:日本臨床検査医学会臨床検査点数委員会 |