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1鉄欠乏性貧血
鉄欠乏性貧血は閉経前の女性によく見られ、子宮筋腫や内膜症などが原因で、過多月経(生理の量が多い)となることが原因なのですが、男女を問わず、慢性の痔核による出血や稀に大腸癌が隠れていることがあります。多くの女性は食事からの鉄分摂取量が生理からの出血量に追いつかず、鉄欠乏性貧血となります。一般にヘモグロビンが10g/dL以下で治療を開始しますが、MCV(赤 血球の大きさの平均値)が83fL以下でフェリチンが5ng/mL以下のときは、鉄剤の内服を開始すべきです。治療中止の指標は、ヘモグロビンが基準値内に回復するのが一番ですが、基準値に回復して薬を止めると再び貧血になることが多いのです。十分な回復の指標としては、MCVが基準値内に回復することと血清フェリチン値が10ng/mL以上(できれば-20 ng/mL以上)に回復したことを確認し、薬を止めます。子宮筋腫や痔核や大腸癌からの出血による鉄欠乏性貧血は、手術などで治癒すれば鉄剤は止められますが、原因となる過多月経や痔核からの出血が持続している間は、鉄剤を飲み続けなければなりません。
2巨赤芽球性貧血
鉄欠乏性貧血以外にも貧血の原因はたくさんあります。鉄剤を服用しても貧血が改善しないときは、血液の専門医を紹介してもらいましょう。頻度は低いですが、悪性貧血や胃を全部摘出した後の貧血は、MCVが大きくなり、巨赤芽球性貧血と呼ばれます。胃壁からの内因子が出ないためにビタミンB12が吸収されず、ビタミンB12欠乏性貧血となります。ビタミンB12を口から飲んでも治らず、必ず注射で補充します。ヘモグロビンとMCVが基準値内に回復しても、一生、ビタミンB12の注射による補充を継続しなければなりません。
3不応性貧血
鉄剤を内服しても貧血が改善しない貧血を不応性貧血と呼び、骨髄の造血障害(骨髄異形成症候群)などが原因のことがあります。その場合は、血液専門医を紹介してもらい、骨髄検査などの精密検査を施行して診断することが出来ます。造血障害の種類(病型)によって、治療開始時期も治療法も異なります。
●日本臨床検査専門医会:種々の検査を通して診断や治療に役立つ検査結果と関連する情報を臨床医に提供する臨床検査医の職能団体です。