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検査値異常の判断法

治療のための臨床判断値:脂質異常症の治療について[ラボ NO.458(2017.3.発行)より]

治療開始の目安

一般に40歳以上で、LDL-C 180mg/dL以上が持続する場合は治療開始を考慮します。
はじめに、甲状腺機能低下症やネフローゼ症候群など高コレステロール血症を来たす病気がないことを確かめ、病気が見つかったら、その治療を優先します。次に家族性の脂質異常症、及び、次の項で述べる他の動脈硬化危険因子があるかどうかを調べます。はじめて高LDL-C血症を指摘されたときは、3 ヵ月間食事療法を中心とした生活改善に取り組み、改善しないときは内服治療を開始します。

動脈硬化の危険因子

日本人の死因の第1位は悪性腫瘍ですが、2位は心臓疾患、4位は脳血管疾患で、動脈硬化性疾患が死因の大きな要因です。動脈硬化を促進する危険因子は、メタボリック症候群{肥満・高血圧・高血糖・低善玉コレステロール(HDL-C)血症/高中性脂肪(TG)血症}のほかに、高LDL-C血症・喫煙・慢性腎臓病(CKD)が重要で、睡眠時無呼吸症候群・歯周病などもあります。これらがあるときは、治療目標が厳格に設定されています。

管理目標値

動脈硬化性疾患は、性別、年齢、危険因子の数と程度によりリスクは大きく異なるので、ガイドラインでは、性別・年齢・喫煙・総コレステロール値・収縮期血圧から10年間の冠動脈疾患による死亡確率を評価して管理区分を作成してあります。その表を参考に予防投与を開始します。特に、糖尿病・慢性腎臓病・脳梗塞・末梢動脈疾患がある方は高リスク群となり、LDL- Cの管理目標値は 120mg/dL未満ですが、さらに厳格にする改訂が提唱されています。中リスク群は、140mg/dL未満、低リスク群は160 mg/dL未満に設定されていますが、特定健診では40歳以上すべての国民に120mg/dL未満を提唱しています。過去に冠動脈疾患の既往のある場合は、100mg/dL未満が目標値です。同時に、HDL-Cは40mg/dL以上、TGは150mg/dL未満を目標値に、食事・運動を中心とした生活改善療法と薬物治療を行います。

●日本臨床検査専門医会:種々の検査を通して診断や治療に役立つ検査結果と関連する情報を臨床医に提供する臨床検査医の職能団体です。