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新規保険収載検査

区分:E3 BRAF V600E変異タンパク免疫染色(免疫抗体法)病理組織標本作製 D023 微生物核酸同定・定量検査 区分:E1(既存)SARS-CoV-2・インフルエンザ・RSウイルス核酸同時検出 他

令和 5年 1月より保険適用 区分:E3
BRAF V600E変異タンパク免疫染色(免疫抗体法)病理組織標本作製)
区分:E3 BRAF V600E変異タンパク免疫染色(免疫抗体法)病理組織標本作製
ベンタナ OptiView BRAF V600E(VE1)
保険点数 1600点
製品名 ベンタナ OptiView BRAF V600E(VE1)
製造販売元 ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社
使用目的 ・がん組織中のBRAF V600E変異タンパクの検出
・大腸癌におけるリンチ症候群の診断の補助
・大腸癌における化学療法の選択の補助
有 用 性 本品は、特異的な抗体を用いた免疫組織化学(IHC)染色法によりがん組織におけるBRAF V600E変異タンパクを検出する検査である。IHC検査は多くの医療機関での実施が可能であるため、従来の検査法に比べて短期間で結果を得ることが可能となる。
測定方法 免疫組織化学染色(免疫抗体法)
検 体 ホルマリン固定パラフィン包埋切片
測定原理 本品は、リンカーHQ(ブリッジ試薬)を使用した免疫組織化学染色法により、がん組織中のBRAF V600E変異タンパクを検出する。スライド標本上の抗原に一次抗体を反応させると、切片に存在する対象抗原と結合。次に検出試薬であるベンタナOptiView DABユニバーサルキットのヒドロキシキノキサリン標識リンカー-HQ、次にペルオキシダーゼ標識マルチマー-HRPを反応させると、スライドガラス上に対象抗原-一次抗体-リンカー-HQ-マルチマー-HRP結合物が形成される。
この結合物に対して、DAB試薬+H2O2試薬及びCOPPER試薬を添加すると、酵素反応により、切片に存在する対象 抗原が茶褐色に染色される。茶褐色に可視化された抗原部位を光学顕微鏡で観察し、BRAF V600E変異タンパク発現の有無を判定する。
説 明 「大腸がん診療における遺伝子関連検査等のガイダンス(第4版)」では、BRAF V600E変異検査について以下のとおり記載されており、本邦における臨床的意義が確立されている。
1.切除不能進行再発大腸がん患者に対し、予後予測に応じた治療選択を目的として、一次治療開始前にBRAF V600E変異検査の実施を強く推奨する。
2.切除可能進行再発大腸がん患者に対し、再発リスクに応じた治療選択を目的として、補助化学療法開始前にBRAF V600E変異検査の実施を推奨する。
また、「成人・小児進行固形がんにおける臓器横断的ゲノム診療のガイドライン(第3版)」に記載されているとおり、大腸癌のリンチ症候群の診断フローにおいて、MSI-HもしくはMLH1発現消失を伴うdMMRが認められた患者に対してBRAF V600E変異検出検査を実施することが推奨されている。BRAF V600E変異が認められた場合は後天的な遺伝子発現異常が疑われ、リンチ症候群は高確率で除外される。
留意事項 BRAF V600E変異タンパク免疫染色(免疫抗体法)病理組織標本作製は、病理組織標本を作製するにあたり免疫染色を行った場合に、次に掲げる場合において、患者1人につき1回に限り、区分番号「N002免疫染色(免疫抗体法)病理組織標本作製」の「7」のCD30の所定点数4回分を合算した点数を準用して算定する。ただし、区分番号「D004-2」に掲げる大腸癌におけるBRAF遺伝子検査を併せて行った場合は、主たるもののみ算定する。
ア.大腸癌におけるリンチ症候群の診断の補助に用いる場合。
イ.大腸癌における抗悪性腫瘍剤による治療法の選択の補助に用いる場合。
なお、早期大腸癌におけるリンチ症候群の除外を目的として、BRAF V600E 変異タンパク免疫染色(免疫抗体法)病理組織標本作製を実施した場合にあっては、区分番号「D004-2」に掲げるマイクロサテライト不安定性検査、又はミスマッチ修復タンパク免疫染色(免疫抗体法)病理組織標本作製を実施した年月日を、診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
参考文献 1)日本臨床腫瘍学会「大腸がん診療における遺伝子関連検査等のガイダンス(第4版)」
2)日本癌治療学会/日本臨床腫瘍学会「成人・小児進行固形がんにおける臓器横断的ゲノム診療のガイドライン(第3版)」
製品関連URL https://dianews.roche.com/IVD-MMR.html
文責:ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社 / 監修:日本臨床検査医学会臨床検査点数委員会
令和 4年 12月26日より保険適用 D023 微生物核酸同定・定量検査 区分:E1(既存)
SARS-CoV-2・インフルエンザ・RSウイルス核酸同時検出
D023 微生物核酸同定・定量検査 区分:E1(既存)SARS-CoV-2・インフルエンザ・RSウイルス核酸同時検出
Xpert Xpress CoV-2/Flu/RSV plus「セフィエド」
保険点数 700点
製品名 Xpert Xpress CoV-2/Flu/RSV plus「セフィエド」
製造販売元 ベックマン・コールター株式会社
使用目的 鼻咽頭ぬぐい液又は鼻腔ぬぐい液中のSARS-CoV-2RNA、A型及びB型インフルエンザウイルスRNA並びにRSウイルスRNAの検出(SARS-CoV-2感染、インフルエンザウイルス感染又はRSウイルス感染の診断補助)
全般的な注意
1. 本品は体外診断用であり、それ以外の目的には使用しないでください。
2. 添付文書に記載された使用目的及び使用方法以外での使用については測定結果の信頼性を保証いたしかねます。
3. 本品は「GeneXpert(R)システム」、「GeneXpert(R)Infinityシステム」の専用試薬です。専用機器の添付文書及び取扱説明書をよく読んでから使用してください。
4. 診断は、他の関連する検査結果や臨床症状等に基づいて総合的に判断してください。
測定方法 RT-PCR法
説 明 本品は、SARS-CoV-2、Flu A、Flu B、RSVに特異的な遺伝子配列をそれぞれ検出することにより、SARS-CoV-2感染、A型及びB型インフルエンザウイルス感染、RSウイルス感染の診断の補助を目的とした簡便かつ迅速なReal-time Reverse Transcription-PCR(リアルタイムRT-PCR)検査キットであり、世界的に広く汎用されているRNA逆転写酵素を用いた核酸増幅技術:RT-PCRの原理に基づいています。本品の特徴は、1つのカートリッジ内でSARS-CoV-2、FluA及びFlu B、RSVそれぞれのRNA抽出、RT-PCR反応、検出を同時に自動で行う方法を採用しており、RNA抽出前の検体をカートリッジへ注入する1操作のみで、一般的なPCR検査法で必要となる煩雑なRNA抽出作業からRT-PCR反応、検出までを完全自動化できることです。これにより、検査実施時の試験操作の負荷を軽減すると同時に検体間での交差汚染および検査実施者の感染リスクを低減させることができます。また、検体を試薬カートリッジに添加後、検査開始から約41分(陽性検体の場合、約36分)で結果を得ることができます。
最低検出感度:LoD 対象ウイルス株LoD 濃度
SARS-CoV-2
(不活化USA-WA1/2020) 138 copies/mL
Influenza A/Idaho/07/2018 0.007 TCID50/mL
Influenza A/Hong Kong/45/2019 0.44 FFU/mL
Influenza B/Washington/2/2019 12.9 CEID50/mL
Influenza B/Wisconsin/10/2016 2.4 TCID50/mL
RSV A/2/Australia/61 0.33 TCID50/mL
RSV B/9320/MA/77 0.37 TCID50/mL
留意事項 ア.SARS-CoV-2・インフルエンザ・RSウイルス核酸同時検出は、COVID-19の患者であることが疑われる者に対し、SARS-CoV-2、インフルエンザウイルス及びRSウイルスの核酸検出を目的として薬事承認又は認証を得ている体外診断用医薬品を用いて、PCR法(定性)により、鼻咽頭ぬぐい液又は鼻腔ぬぐい液中のSARS-CoV-2、インフルエンザウイルス及びRSウイルスの核酸検出を同時に行った場合に、検査の委託の有無にかかわらず、本区分の「10」HPV核酸検出の所定点数2回分を合算した点数を準用して算定する。なお、採取した検体を、検体採取を行った保険医療機関以外の施設へ輸送し検査を委託により実施する場合は、国立感染症研究所が作成した「感染性物質の輸送規則に関するガイダンス2013-2014 版」に記載されたカテゴリーBの感染性物質の規定に従うこと。
イ.COVID-19 の患者であることが疑われる者に対し、診断を目的として本検査を実施した場合は、診断の確定までの間に、上記のように合算した点数を1回に限り算定する。ただし、発症後、本検査の結果が陰性であったものの、COVID-19 以外の診断がつかず、本検査を再度実施した場合は、上記のように合算した点数をさらに1回に限り算定できる。なお、本検査が必要と判断した医学的根拠を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
ウ.COVID-19の治療を目的として入院している者に対し、退院可能かどうかの判断を目的として実施した場合は、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律における新型コロナウイルス感染症患者の退院及び就業制限の取扱いについて(一部改正)」(令和3年2月25日健感発0225 第1号)の「第1退院に関する基準」に基づいて実施した場合に限り、1回の検査につき上記のように合算した点数を算定する。なお、検査を実施した日時及びその結果を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
エ.SARS-CoV-2・インフルエンザ・RSウイルス核酸同時検出を実施した場合、本区分「13」のインフルエンザ核酸検出、SARS-CoV-2核酸検出、SARS-CoV-2・インフルエンザ核酸同時検出、SARS-CoV-2・RSウイルス核酸同時検出及びウイルス・細菌核酸多項目同時検出(SARS-CoV-2を含む。)については、別に算定できない。
オ.本検査を算定するに当たっては、本区分の「10」の「注」に定める規定は適用しない。
文責:ベックマン・コールター株式会社 / 監修:日本臨床検査医学会臨床検査点数委員会
令和 5年 2月1日より保険適用 D012 感染症免疫学的検査 区分E3(新項目)
単純ヘルペスウイルス抗原定性(皮膚)
D012 感染症免疫学的検査 区分E3(新項目)単純ヘルペスウイルス抗原定性(皮膚)
デルマクイックHSV
保険点数 180点
※本キットを性器ヘルペスの診断補助として用いた場合は、D012「44」単純ヘルペスウイルス抗原定性(性器)210点を算定できる。
製品名 デルマクイックHSV
製造販売元 マルホ株式会社
主な対象 単純ヘルペスウイルス感染症が疑われる皮膚病変を認めた患者
使用目的 皮疹(水疱・膿疱)の内容物又はびらん・潰瘍のぬぐい液中の単純ヘルペスウイルス抗原の検出(単純ヘルペスウイルス感染の診断の補助)
測定原理 イムノクロマト法
有 用 性 皮膚の水疱、膿疱、びらん・潰瘍から採取された259検体を用いて、本キットとリアルタイムPCR法との相関性試験を実施した。このうち、性器由来の128検体については、本キットと既承認キットとの相関性試験を実施した。リアルタイムPCR法では259検体中137検体が単純ヘルペスウイルス陽性であり、リアルタイムPCR法に対して本キットの陽性一致率は78.8%(108/137)、陰性一致率は99.2%(121/122)、全体一致率は88.4%(229/259)であった。性器由来の128検体では、既承認キットに対して本キットの陽性一致率は94.4%(51/54)、陰性一致率は91.9%(68/74)、全体一致率は93.0%(119/128)であった。
説 明 単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の多くは問診、視診で診断可能な典型例であるが、帯状疱疹、伝染性膿痂疹、接触皮膚炎、ざ瘡、毛嚢炎、口角炎、手足口病などとの鑑別が難しい非典型例では、検査による診断が必要である1)。
単純疱疹の治療には抗ヘルペスウイルス薬を用いるが、既存の抗ヘルペスウイルス薬はウイルスの増殖を抑制するものであるため、可能な限り発症早期に用いる必要がある。したがって、治療方針を決定する初診時の早期診断が特に重要である1)。
本キットは皮疹(水疱・膿疱)の内容物又はびらん・潰瘍のぬぐい液から5~10分で単純ヘルペスウイルスの抗原の検出が可能であり、早期診断の検査として十分な精度を有すると考えられる1)。
留意事項 単純ヘルペスウイルス抗原定性(皮膚)は、単純ヘルペスウイルス感染症が疑われる皮膚病変を認めた初発の患者に対し、イムノクロマト法により実施した場合に本区分「37」単純ヘルペスウイルス抗原定性を準用して算定できる。なお、当該検査を2回目以降行う場合においては、本検査を実施した医学的な必要性を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。ただし、本区分「37」単純ヘルペスウイルス抗原定性及び「44」単純ヘルペスウイルス抗原定性(角膜)、単純ヘルペスウイルス抗原定性(性器)は併せて算定できない。
参考資料 1) 日本皮膚科学会「単純ヘルペスウイルスキット(デルマクイック(R)HSV)の臨床上の意義及び適正使用について」(オンライン),
入手先 https://www.dermatol.or.jp/modules/news/index.php?content_id=1090
製品関連URL https://www.maruho.co.jp/medical/check.html
文責:マルホ株式会社 / 監修:日本臨床検査医学会臨床検査点数委員会
令和 5年 2月1日より保険適用 D007血液化学検査 区分:E2
48 オートタキシン
D007血液化学検査 区分:E2 48 オートタキシン
ATX オートワコー
保険点数 194点
製品名 ATX オートワコー
製造販売元 富士フイルム和光純薬株式会社
主な対象 慢性肝炎及び肝硬変の患者(疑われる患者を含む)
主な測定目的 血清又は血漿中のオートタキシンの測定(肝臓の線維化進展の診断の補助)
測定方法 酵素法
検 体 血清又は血漿
有 用 性 オートタキシン(autotaxin、以下ATX)の検査方法には、サンドイッチ法を用いた蛍光酵素免疫測定法(FEIA法)又は化学発光酵素免疫測定法(CLEIA法)がある。本試薬は、各種汎用生化学自動分析装置を用いて約10分でATXの測定が可能な酵素法試薬(単位:U/L)であり、上記FEIA法と良好な相関性が得られている(n=298、回 帰式Y=10.7X + 0.1、相関係数r=0.993)。
臨床現場において、慢性肝炎や肝硬変を含む慢性肝疾患における肝臓の線維化状態を非侵襲的に診断し、線維化進展の診断、モニタリング、治療法への反映などに有用である。
説 明 ATXは、ヒト悪性黒色腫細胞の培養上清より、細胞遊走促進因子として単離された分子量125kDaの糖蛋白質である1)。ATXはリゾホスファチジルコリンを加水分解しリゾホスファチジン酸(LPA)を産生するリゾホスホリパーゼD活性を有する酵素であり2)、多様な生理作用を発揮する。一方で、疾患との関係性も報告されており、肝線維化の組織学的段階と血清ATX活性との間に有意な相関関係が示された3)。ATXにより産生されたLPAが肝線維化の主役である肝星細胞の増殖とアポトーシスを抑制させることで、肝線維化を促進する可能性が示唆された4)。ATXレベルは肝線維化ステージに従い上昇し、疾患の進展にも関与するとされる。
肝線維化の進展により、肝硬変や肝臓癌に至ることが知られており、肝臓癌発症リスクの予測や治療方針の決定において、肝線維化の診断は重要である。肝線維化診断の確定診断のためには肝生検が必須であるが、侵襲性が高く、合併症などのリスクも伴うことから、侵襲性が低く簡便な線維化マーカー等による検査により、肝生検を実施すべき患者数を絞り込むことが重要となる1)。
本試薬は、多くの病院施設に導入されている汎用生化学自動分析装置で測定可能であり、新たに装置を導入する必要がない。さらに10分で測定が可能であり、ASTやγGTなどの肝機能マーカーと同時に結果を得ることができる。
ただし、ATXは性差があること、妊婦、および悪性リンパ腫患者、進行した悪性腫瘍患者において上昇すること、またステロイド服用により低下することに注意する必要がある。
留意事項 1.別添1第2章第3部第1節D007(41)アを次のとおり改める。
(41)オートタキシン
ア.「48」のオートタキシンは、サンドイッチ法を用いた蛍光酵素免疫測定法、化学発光酵素免疫測定法又は酵素法により、慢性肝炎又は肝硬変の患者(疑われる患者を含む。)に対して、肝臓の線維化進展の診断補助を目的に実施した場合に算定する。
イ.本検査と「37」のプロコラーゲン-Ⅲ-ペプチド(P-Ⅲ-P)、「36」のⅣ型コラーゲン、「40」のⅣ型コラーゲン・7S、「43」のヒアルロン酸又は「48」のMac-2結合蛋白糖鎖修飾異性体を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。
参考資料 1) Stracke ML, Krutzsch HC, Unsworth EJ, et al. Identification, purification, and partial sequence analysis of autotaxin, a novel motility-stimulating protein. J Biol Chem 1992; 267: 2524–9.
2)Umezu-Goto M, Kishi Y, Taira A, et al. Autotaxin has lysophospholipase D activity leading to tumor cell growth and motility by lysophosphatidic acid production. J Cell Biol 2002; 158: 227–33.
3)池田均, 渡邉尚子, 中村和宏, その他. 消化器疾患における血清オートタキシン測定の意義. 臨床病理 2009; 57:445-9.
4)池田 均, 矢富 裕. リゾリン脂質と肝臓. 臨床化学 2008; 37: 45-52.
5)日本消化器学会「NAFLD/NASH診療ガイドライン 2014」
製品関連URL https://diagnostic-wako.fujifilm.com/product/seikagaku/index.html
文責:富士フイルム和光純薬株式会社 / 監修:日本臨床検査医学会臨床検査点数委員会

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