SARS-CoV-2 抗原検出 SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)核酸検出
SARS-CoV-2 抗原検出
1)クイックナビ(TM) -COVID19 Ag( デンカ株式会社)
SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)核酸検出
2)ジーンキューブ HQ SARS-CoV-2(東洋紡株式会社)
令和 2年 8月11日より保険適用 | D012 感染症免疫学的検査(22):区分E1(既存) SARS-CoV-2 抗原検出 |
SARS-CoV-2 抗原検出 1)クイックナビ(TM) -COVID19 Ag |
保険点数 | 600点 |
製品名 | クイックナビ(TM) -COVID19 Ag |
製造販売元 | デンカ株式会社 |
使用目的 | 鼻咽頭ぬぐい液または鼻腔ぬぐい液中のSARSCoV-2 抗原の検出(SARS-CoV-2 感染の診断の補助) |
有 用 性 | 特別な検査機器を必要とせず、検体中の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原の有無を約15 分で判定できる。 |
測定方法 | 免疫クロマト法 |
検 体 | 鼻咽頭ぬぐい液または鼻腔ぬぐい液 |
測定原理 | 試料をテストデバイスの試料滴加穴よりテストストリップのサンプルパッドに滴加すると、試料は毛細管現象によりコンジュゲートパッドへ移動する。そこで抗SARS-CoV-2 モノクローナル抗体( マウス)結合ラテックスが溶解し、試料中のSARS-CoV- 2 抗原と免疫複合体を形成する。この免疫複合体はテストストリップのニトロセルロースメンブレン内を毛細管現象により移動し、テストライン上に固定化された抗SARS-CoV-2 モノクローナル抗体(マウス)に特異的に捕捉され、赤色のラインを呈する。このラインの有無を目視で確認し、試料中のSARS-CoV-2 抗原の有無を判定する。 また、コンジュゲートパッドに含まれるコントロール蛋白結合ラテックスも試料とともにニトロセルロースメンブレン内を移動し、コントロールライン上に固定化されたコントロール蛋白結合物質に捕捉され、青色のラインを呈する。これはテストストリップ上で反応が正常に進んだことを示す。 |
説 明 | SARS-CoV-2 は、SARS やMERS の病原体と同じベータコロナウイルスに分類されるウイルスで、 2019 年12 月に中国武漢市で感染者が報告されてから、わずか数ヵ月の間に世界的な流行となった。 SARS-CoV-2 による感染症はCOVID-19(本製品名の由来)と呼ばれ、感染症法では新型コロナウイルス感染症として本稿執筆時点では指定感染症に定められている。感染症法における新型コロナウイルス感染症の定義は、コロナウイルス科ベータコロナウイルス属の新型コロナウイルス[ベータコロナウイルス属のコロナウイルス(2020 年1 月に中華人民共和国から世界保健機関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。)以下「新型コロナウイルス」という]による急性呼吸器症候群、とされている。 本稿執筆時点でSARS-CoV-2 の動物等の感染源については不明である。臨床的な特徴としては、潜伏期間は1 ~ 14 日(通常5 ~ 6 日)で、主な症状は、発熱、咳、全身倦 怠感等の感冒様症状であり、頭痛、下痢、結膜炎、嗅覚障害、味覚障害等を呈する場合もある。一部のものは、主に5 ~ 14 日間で呼吸困難等の症状を呈し、胸部X 線写真、胸部 CT などで肺炎像が明らかとなる。また、高齢者および基礎疾患を持つものにおいては重症化するリスクが一定程度あると考えられている。 医師は、上記の臨床的特徴を有する者について新型コロナウイルス感染症と診断した場合(疑似症を含む)、上記の臨床的特徴を呈していないが新型コロナウイルス感染症の無症状病原体保有者と診断した場合、及び新型コロナウイルス感染症により死亡した死体を検案した場合には、感染症法第12 条第 1 項の規定による届出を直ちに行わなければならない。 本品を用いて検査を行う場合には、その時点で最新の公的ガイドライン等を参照すること。本稿執筆時点では、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針(第1 版)」が厚生労働省より公表されている。同指針の関連部分の概要は以下の通り。・抗原定性検査は、ウイルスの抗原を検知し、診断に導く検査であり、PCR 検査とともに有症状者の確定診断として用いることができ[厚生労働省. SARS-CoV-2 抗原検出用キットの活用に関するガイドライン(令和2 年5 月13 日)]、また、症状発症から2 ~ 9 日目の症例では陰性の確定診断として用いることができる(同令和2 年6 月16 日改訂)。 ・鼻咽頭ぬぐい液について:SARS-CoV-2 は上気道から感染するため、感染初期には鼻咽頭ぬぐい液は最も標準的で信頼性の高い検体と考えてよい。反面、医療者が採取するため飛沫に曝露するリスクが高いため、感染予防策を徹底した上での実施が前提となり、また適切な部位から採取する必要がある。 ・鼻腔ぬぐい液について:検体採取時には、鼻孔から2 cm 程度スワブを挿入し、挿入後スワブを5 回程度回転させ、十分湿らせる.医療従事者の管理下であれば、被検者自身が検体を採取でき、医療者が採取する鼻咽頭ぬぐい液と同様に有用との報告がある。一方、検出感度は鼻咽頭ぬぐい液と比較するとやや低いとの報告があり、引き続き検討が必要であるものの、実用性と医療者の感染予防の面から有用な検体である。 ・抗原定性検査はウイルス量が少ない(遺伝子が100 コピー以下程度)検体での検出感度が低いと考えられている。 また抗原定性検査は、検体の粘性が高い場合などに偽陽性が生じることが報告されている。 ・抗原定性検査では唾液検体は用いることができない。鼻咽頭・鼻腔検体では、発症2 日目から用いることができるが、10 日目以降で陰性の場合には、核酸検出検査を行う必要がある。 ・抗原定性検査は、無症状者への検査は適さない。 ・抗原定性検査は検査機器の設置が不要で、その場で簡便かつ迅速に検査結果が判明するが、現状では対象者は発症2 日目から9 日目の有症状者の確定診断に用いられるため、インフルエンザ流行期における発熱患者等への検査に有効。 |
留意事項 | 本品付属のクイックナビ検体浮遊液(COVID19 Ag 用)で処理した鼻咽頭ぬぐい液は、クイックナビ(TM) Flu2 およびクイックナビ(TM) -RSV2 にも使用可能。 本品付属のクイックナビ検体浮遊液(COVID19 Ag 用)で処理した鼻腔ぬぐい液は、クイックナビ(TM) -Flu2 にも使用可能. クイックナビ(TM) -Flu2 およびクイックナビ(TM) -RSV2 の検体浮遊液で処理した検体は、本品には使用不可。 |
文献等 | ・ 国立感染症研究所 病原体検出マニュアル 2019-nCoV Ver.2.9.1(オンライン), 入手先 https://www.niid.go.jp/niid/images/lab-manual/2019-nCoV20200319.pdf ・ 厚生労働省 新たに薬事承認・保険収載された新型コロナウイルス感染症に係る抗原検査の取り扱いについて(周知)(オンライン), 入手先 https://www.mhlw.go.jp/content/000658371.pdf ・ 厚生労働省 疑義解釈資料の送付について(その25)(オンライン), 入手先 https://www.mhlw.go.jp/content/000658354.pdf ・ SARS-CoV-2 抗原検出用キットの活用に関するガイドライン(オンライン), 入手先 https://www.mhlw.go.jp/content/000640554.pdf ・ 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針(第1 版)及び鼻腔検体採取における留意点等について(オンライン), 入手先 https://www.mhlw.go.jp/content/000678570.pdf ・ 厚生労働省 届出基準 第7 指定感染症(オンライン), 入手先 https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-shitei-01.html |
文責:デンカ株式会社/監修:日本臨床検査医学会臨床検査点数委員会 |
令和 2年 10月23日より保険適用 | D 023 微生物核酸同定・定量検査 区分 E1(既存項目) SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)核酸検出 |
SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)核酸検出 2)ジーンキューブ HQ SARS-CoV-2 |
保険点数 | 1,800 点(1,350点)※算定に関しては、下記【留意事項】を参照 |
製品名 | ジーンキューブ HQ SARS-CoV-2 |
製造販売元 | 東洋紡株式会社 |
使用目的 | 生体試料中のSARS-CoV-2 RNAの検出(SARS-CoV-2感染の診断の補助) |
測定方法 | one-step RT-PCR法による標的核酸増幅および蛍光標識プローブ(QProbe)を用いた標的核酸検出 |
検 体 | 生体試料(鼻咽頭拭い液、喀痰、唾液など) |
説 明 | 新型コロナウイルス(SARS-CoV2)は、2019年12月、中華人民共和国において確認され、2020年3月11日にWHO(世界保健機関)よりパンデミックの状態にあると表明されたウイルスである。本品はSARS-CoV-2に特異的な遺伝子配列をターゲットとするone step RT-PCR法により、迅速にSARS-CoV-2 RNAの検出が可能な検査試薬である。 鼻咽頭拭い液又は喀痰を含む25検体(陽性10例、陰性15例)、およびSARS-CoV-2 ウイルスを10~20 コピーとなるようスパイクした唾液検体12例、20~40 コピーとなるようスパイクした唾液検体13 例、陰性唾液検体15 例を「病原体検出マニュアル2019-nCoV(国立感染症研究所)」に従って抽出したRNAについて、「病原体検出マニュアル2019-nCoV(国立感染症研究所)」に従ったRT-PCR法とGENECUBEにて本試薬を用いて検出した。その結果、全体一致率は100%と良好であった。 |
留意事項 | (1)~(16) (略) (17) SARS-CoV-2 核酸検出は、国立感染症研究所が作成した「病原体検出マニュアル 2019-nCoV」に記載されたもの若しくはそれに準じたもの又は体外診断用医薬品のうち、使用目的又は効果として、SARS-CoV-2 の検出(COVID-19 の診断又は診断の補助)を目的として薬事承認又は認証を得ているものにより、COVID-19 の患者であることが疑われる者に対しCOVID-19 の診断を目的として行った場合又はCOVID-19 の治療を目的として入院している者に対し退院可能かどうかの判断を目的として実施した場合に限り算定できる。ただし、感染症の発生の状況、動向及 び原因を明らかにするための積極的疫学調査を目的として実施した場合は算定できない。なお、検査に用いる検体については、厚生労働省の定める新型コロナウイルス感染症の検査に係る指針を参照すること。 採取した検体を、国立感染症研究所が作成した「感染性物質の輸送規則に関するガイダンス2013-2014版」に記載されたカテゴリーBの感染性物質の規定に従って、検体採取を行った保険医療機関以外の施設へ輸送し検査を委託して実施した場合は、本区分の「14」SARSコロナウイルス核酸検出の所定点数4回分を合算した点数を準用して算定し、それ以外の場合は、同点数3回分を合算した点数を準用して算定する。なお、採取した検体を、検体採取を行った保険医療機関以外の施設へ輸送し検査を委託して実施した場合は、検査を実施した施設名を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。 COVID-19 の患者であることが疑われる者に対し、診断を目的として本検査を実施した場合は、診断の確定までの間に、上記のように合算した点数を1回に限り算定する。ただし、発症後、本検査の結果が陰性であったものの、COVID-19 以外の診断がつかず、本検査を再度実施した場合は、上記のように合算した点数をさらに1回に限り算定できる。なお、本検査が必要と判断した医学的根拠を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。 COVID-19 の治療を目的として入院している者に対し、退院可能かどうかの判断を目的として実施した場合は、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律における新型コロナウイルス感染症患者の退院及び就業制限の取扱いについて(一部改正)」(令和2年6月25 日健感発0625 第5号)の「第1 退院に関する基準」に基づいて実施した場合に限り、1回の検査につき上記のように合算した点数を算定する。なお、検査を実施した日時及びその結果を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。 (18)~(29) (略) |
文責:東洋紡株式会社/監修:日本臨床検査医学会臨床検査点数委員会 |