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臨床検査医の方へ

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新規保険収載検査

D023 微生物核酸同定・定量検査 区分:E3(新項目)SARS-CoV-2・RSウイルス核酸同時検出 D012感染症免疫学的検査 区分:E1(既存)SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)抗原検出(定性) D023 微生物核酸同定・定量検査区分:E1(既存項目)インフルエンザ核酸検出

令和 4年 7月1日より保険適用 D023 微生物核酸同定・定量検査 区分:E3(新項目)
SARS-CoV-2・RSウイルス核酸同時検出
D023 微生物核酸同定・定量検査 区分:E3(新項目)SARS-CoV-2・RSウイルス核酸同時検出
ジーンキューブ(R)HQ SARS-CoV-2/RSV
保険点数 700点
製品名 ジーンキューブ(R)HQ SARS-CoV-2/RSV
製造販売元 東洋紡株式会社
使用目的 生体試料中のSARS-CoV-2 RNA、鼻咽頭ぬぐい液又は鼻腔ぬぐい液中のRSウイルスRNAの検出(SARS-CoV-2感染又はRSウイルス感染の診断補助)
測定方法 one-step RT-PCR法により、標的核酸増幅を行い、増幅した標的核酸に対して、蛍光標識プローブ(QProbe)をハイブリダイズさせて融解曲線解析を行い、蛍光のピーク温度を解析することでSARS-CoV-2 RNAとRSウイルスのRNAの検出を行う。
説 明 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、2019年12月、中華人民共和国において初めて確認され、2020年3月11日にWHO(世界保健機関)よりパンデミックの状態にあると表明されたウイルスである。本ウイルスによる感染症(COVID-19)は感染拡大と収束を繰り返している。またRSウイルスは、急性呼吸器感染症であるRSウイルス感染症の原因として知られるウイルスであり、乳幼児が感染すると重症化しやすい特徴がある。どちらも風邪症状を呈することから、臨床症状での鑑別が難しいとされる。
本品はSARS-CoV-2および、RSウイルスに特異的な遺伝子配列をターゲットとするone step RT-PCR法により、迅速にSARS-CoV-2 とRSウイルスのRNAの検出が可能な検査試薬である。
有 用 性 本試薬は1試薬で、SARS-CoV-2とRSウイルスの検出が可能なため、同じ検体(材料)から検査可能であり、患者の負担が軽減できる。
留意事項 - SARS-CoV-2・RSウイルス核酸同時検出は、COVID-19の患者であることが疑われる者に対し、SARS-CoV-2及びRSウイルスの核酸検出を目的として薬事承認又は認証を得ている体外診断用医薬品を用いて、PCR法(定性)により、鼻咽頭ぬぐい液又は鼻腔ぬぐい液中のSARS-CoV-2及びRSウイルスの核酸検出を同時に行った場合に、検査の委託の有無にかかわらず、本区分の「10」HPV核酸検出の所定点数2回分を合算した点数を準用して算定する。なお、採取した検体を、国立感染症研究所が作成した「感染性物質の輸送規則に関するガイダンス 2013-2014版」に記載されたカテゴリーBの感染性物質の規定に従って、検体採取を行った保険医療機関以外の施設へ輸送し検査を委託により実施した場合は、検査を実施した施設名を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
- COVID-19の患者であることが疑われる者に対し、診断を目的として本検査を実施した場合は、診断の確定までの間に、上記のように合算した点数を1回に限り算定する。ただし、発症後、本検査の結果が陰性であったものの、COVID-19以外の診断がつかず、本検査を再度実施した場合は、上記のように合算した点数をさらに1回に限り算定できる。なお、本検査が必要と判断した医学的根拠を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
- COVID-19の治療を目的として入院している者に対し、退院可能かどうかの判断を目的として実施した場合は、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律における新型コロナウイルス感染症患者の退院及び就業制限の取扱いについて(一部改正)」(令和3年2月25日健感発0225第1号)の「第1退院に関する基準」に基づいて実施した場合に限り、1回の検査につき上記のように合算した点数を算定する。なお、検査を実施した日時及びその結果を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
- SARS-CoV-2・RSウイルス核酸同時検出を実施した場合、区分番号「D012」感染症免疫学的検査の「23」RSウイルス抗原定性、区分番号「D023」微生物 核酸同定・定量検査のSARS-CoV-2核酸検出、SARS-CoV-2・インフルエンザ核酸同時検出及びウイルス・細菌核酸多項目同時検出(SARS-CoV-2を含む。)については、別に算定できない。
- 本検査を算定するに当たっては、本区分の「10」の「注」に定める規定は適用しない。
製品関連URL https://www.toyobo.co.jp/products/bio/gene/genecube_hqsarscov2rsv/index.html
文責:東洋紡株式会社 / 監修:日本臨床検査医学会臨床検査点数委員会
令和 4年 7月8日より保険適用 D012感染症免疫学的検査 区分:E1(既存)
SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)抗原検出(定性)
D012感染症免疫学的検査 区分:E1(既存)SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)抗原検出(定性)
KBM ラインチェック nCoV
保険点数 300点
製品名 KBM ラインチェック nCoV
製造販売元 コージンバイオ株式会社
使用目的 鼻咽頭ぬぐい液又は鼻腔ぬぐい液中のSARS-CoV-2抗原の検出(SARS-CoV-2感染の診断の補助)
有 用 性 本キットは、特別な装置を必要とせず。簡易な操作により約15分でSARS-CoV-2を検出することができる。
測定方法 イムノクロマト法
検 体 鼻咽頭ぬぐい液又は鼻腔ぬぐい液
測定原理 KBM ラインチェック nCoVは、イムノクロマト法(Immunochromatographic Assay)の原理に基づいた毛細管現象と抗原抗体反応を測定原理としている。テストデバイスの試料滴下部に試料を滴下することで、毛細管現象により試料はテストデバイスの上を移動し、コンジュゲーションパッドへ移行する。そこで、テストストリップのサンプルパッド内を毛細管現象によりコンジュゲーションパッドへ移行する。そこで金コロイド標識抗nCoVモノクローナル抗体を溶解し、試料中のSARS-CoV-2抗原と免疫複合体を形成しながら展開部を移動する。これが展開部に固定化された抗nCoVモノクローナル抗体に捕捉され、SARS-CoV-2抗原判定部にテストラインを出現させる。本品はこの赤紫色のラインを目視で観察することで、試料中の SARS-CoV-2抗原の有無を判定することができる。一方、試料中のSARS-CoV-2抗原の有無に関わらず、余剰の金コロイド標識抗nCoVモノクローナル抗体は展開部をさらに移動し、展開部に固定化された抗マウス免疫グロブリン抗体に捕捉され、コントロール判定部のコントロールライン出現位置に紫色のラインを出現させる。コントロールライン出現位置のライン形成により、反応が正常に進んだことが確認できる。
説 明 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、2019年末に確認されたSARS-CoV-2によって引き起こされるウイルス性呼吸器疾患である。主症状は、発熱、倦怠感、乾いた咳などであり、鼻づまり、鼻水、喉の痛み、筋肉痛、下痢などが 少数の症例で認められる。ワクチン接種の導入にも関わらず、変異株の出現もあり未だ終息に至ってはいない。世界的な感染が続く中、SARS-CoV-2をより簡便で迅速に検出できる試薬が必要とされ、本邦においては、抗原検査キットを用いたCOVID-19 の診断のため「SARS- CoV-2抗原検出用キットの活用に関するガイドライン1)」が厚生労働省より示されるに至っている。本キットは、特別な装置類を全く必要とせず、簡易な操作で迅速なSARS-CoV-2抗原の検出が可能であり、SARS-CoV-2感染の診断の補助に有用であると考えている。
臨床性能試験の概要 本品は、KBM ラインチェック nCoV/FluとSARS-CoV-2に関する測定原理、測定目的、反応に関与する成分及びその分量を同一とし、最小検出感度も同等となっている。
(1)国内臨床検体(ウイルス輸送液、PBS又は生理食塩水に懸濁された鼻咽頭拭い液)を用いたKBM ラインチェック nCoV/FluとRT-PCR法との相関性評価試験の結果、陽性一致率97.4%(38/39)、陰性一致率100%(61/61)、全体一致率99.0%(99/100)であった。
(2)鼻咽頭ぬぐい液または鼻腔拭い液をマトリックとし、最小検出感度付近のウイルス量を添加した場合におけるKBM ラインチェック nCoV/FluとRT-PCR法との相関性評価試験の結果、どちらのマトリックにおいても、陽性一致率100%(20/20)、陰性一致率100%(20/20)であった。なお、添加された試料中のウイルス量は、平均値375.3±61.1コピー/テスト(鼻咽頭ぬぐい液)または平均値351.8±60.9コピー/テスト(鼻腔ぬぐい液)と算定された。
留意事項 - SARS-CoV-2抗原検出は、当該検査キットが薬事承認された際の検体採取方法で採取された検体を用いて、SARS-CoV-2抗原の検出(COVID-19の診断又は診断の補助)を目的として薬事承認又は認証を得ているものにより、COVID-19 の患者であることが疑われる者に対し COVID-19 の診断を目的として行った場合に限り、「25」マイコプラズマ抗原定性(免疫クロマト法)の所定点数2回分を合算した点数を準用して算定する。ただし、感染症の発生の状況、動向及び原因を明らかにするための積極的疫学調査を目的として実施した場合は算定できない2)。
- COVID-19 の患者であることが疑われる者に対し、診断を目的として本検査を実施した場合は、診断の確定までの間に、上記のように合算した点数を 1回に限り算定する。ただし、発症後、本検査の結果が陰性であったものの、COVID-19 以外の診断がつかない場合は、上記のように合算した点数をさらに1回に限り算定できる。なお、本検査が必要と判断した医学的根拠を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること2)。
- 検体採取を実施する際は、国立感染症研究所および国立国際医療研究センター 国際感染症センターが作成した「新型コロナウイルス感染症に対する感染管理」3)を参考にして、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が疑われる場合の感染予防策を講じること。
- SARS-CoV-2抗原の検出において、鼻腔ぬぐい液を検体とした場合、鼻咽頭ぬぐい液に比べ検出感度が低い傾向が認められているため、検体の採取に際して留意すること4)。
参考文献 1) 「SARS-CoV-2 抗原検出用キットの活用に関するガイドライン」令和2年6月16日改訂 厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策本部 (オンライン).
入手先 https://www.mhlw.go.jp/content/000640554.pdf
2) 「新型コロナウイルス感染症の検査に係る診療報酬点数の見直しについて(周知)」令和3年12月28日事務連絡厚生労働省医政局地域医療計画課・経済課および新型コロナウイルス感染症対策推進本部保険局医療課(オンライン).
入手先 https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000876570.pdf
3) 「新型コロナウイルス感染症に対する感染管理」改訂 2021 年 8 月 6日 国立感染症研究所および国立国際医療研究センター 国際感染症センター
入手先 https://www.mhlw.go.jp/content/000678572.pdf
4) 「2019-nCoV(新型コロナウイルス)感染を疑う患者の検体採取・輸送マニュアル~2021/03/19 更新版」国立感染症研究所(オンライン).
入手先 https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/9325-manual-200121.html
製品情報URL https://kohjin-bio.jp/product/kbmラインチェックnCoV/
文責:コージンバイオ株式会社 / 監修:日本臨床検査医学会臨床検査点数委員会
令和 4年 8月4日より保険適用 D023 微生物核酸同定・定量検査 区分:E1(既存項目)
インフルエンザ核酸検出
D023 微生物核酸同定・定量検査区分:E1(既存項目)インフルエンザ核酸検出
GeneSoC(R)インフルエンザウイルスA/B検出キット
保険点数 410点
※算定に関しては、下記【留意事項】を参照
製品名 GeneSoC(R)インフルエンザウイルスA/B検出キット
製造販売元 杏林製薬株式会社
使用目的 鼻咽頭ぬぐい液中のA型及びB型インフルエンザウイルスRNAの検出(インフルエンザウイルス感染の診断の補助)
測定方法 蛍光標識プローブを用いたOne-StepリアルタイムRT-PCR法によるA型及びB型インフルエンザウイルスの核酸検出
検 体 鼻咽頭ぬぐい液
有 用 性 インフルエンザはインフルエンザウイルスを病原とする気道感染症であり、臨床症状がCOVID-19と類似しているため、症状のみで両者を鑑別することは困難とされている。このことから、COVID-19の流行がみられる場合には原則としてCOVID-19及びインフルエンザ両方の検査を実施することが推奨されている1)。
本製品は「遺伝子解析装置GeneSoC(R)mini」を用いることで、One-StepリアルタイムRT-PCR法によりインフルエンザウイルスの核酸を約15分という短時間で検出可能な体外診断用医薬品である。また、現在当社から発売しているSARS-CoV-2を検出可能な体外診断用医薬品「GeneSoC(R)SARS-CoV-2 N2検出キット(以下、N2キット)」と併用することで、同一の鼻咽頭ぬぐい液から抽出したRNAを用いてCOVID-19とインフルエンザの検査をすることが可能である。
本製品は、国立感染症研究所より公開されている「インフルエンザ診断マニュアル 第4版」記載のリアルタイムRT-PCR(以下、既存PCR法)2)と測定結果を比較し、その臨床性能を評価した。比較試験には陰性確認済みの鼻咽頭ぬぐい液に既知量のA型又はB型インフルエンザウイルスを添加した陽性検体(A型、B型各60例)及び非添加の陰性検体を(20例)を使用した。その結果、陽性一致率が99.2%、陰性一致率が100%、全体一致率が99.3%であったことから、本製品は既存PCR法と同等の性能を有していることが示された。
また、測定に用いる「遺伝子解析装置GeneSoC(R) mini」は小型の装置であるため、クリニック等の医療機関でも導入が容易であり、院内にて検査を実施することができる。
本製品は、既存PCR法と同等の基本性能を有しており、N2キットとの併用により迅速にCOVID-19とインフルエンザを鑑別できることに加え、クリニック等の医療機関でも実施可能な製品となっている。
留意事項 「13」のインフルエンザ核酸検出は、インフルエンザの感染が疑われる重症患者のみに算定し、その場合には、当該検査が必要な理由について診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
参考文献 1) 日本感染症学会「今冬のインフルエンザと COVID-19に備えて」(オンライン).
入手先 https://www.kansensho.or.jp/uploads/files/guidelines/2012_teigen_influenza_covid19.pdf
2) 国立感染症研究所「インフルエンザ診断マニュアル 第4版」(オンライン).
入手先 https://www.niid.go.jp/niid/images/lab-manual/influenza20190116.pdf
製品情報URL https://genesoc.jp/
文責:杏林製薬株式会社 / 監修:日本臨床検査医学会臨床検査点数委員会

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