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検査値異常の判断法

薬と検査値について[ラボ NO.445(2016.2.発行)より]

服用している薬が検査値に影響与えることがありますか?

服用している薬が検査値に影響与えることがありますか?

はい。ときどき薬によって検査値に影響が出ることがあります。影響の仕方には2つの形があって、①薬が直接検査値を得るための測定そのものに影響を与える場合、②薬が身体のいろいろな臓器に影響を与えた結果、間接的に検査値に影響がでる場合です。②のほうは実際に身体の中で検査したものが変動していることになりますが、①のほうは検査値が身体の中の数値を表していないことになります。

薬が直接検査値に影響を与える場合にはどんなものがありますか?

薬が直接検査値に影響を与える場合にはどんなものがありますか?

たとえば、ホルモンの検査を行うのに、そのホルモンが薬として投与されていたら測定されて検査値に組み込まれてしまいます。まったく同じものでなく、似た成分の薬でも測定されてしまうこともあります。また、漢方薬の人参養栄湯などには糖尿病検査のひとつである1.5-アンヒドログルシトール(1.5-AG)が含まれているため服薬すると高値になってしまいます。
その他、尿試験紙で行う一般検尿ではいろいろな薬物で偽陽性、偽陰性(本来は陰性なのに陽性になる、またはその逆)が起きます。有名なものとしてビタミンC(アスコルビン酸)を服用していると、尿ブドウ糖や尿潜血が偽陰性になることがあります。

薬が間接的に検査値に影響を与えるものには
どんなものがありますか?

薬が間接的に検査値に影響を与えるものにはどんなものがありますか?

薬そのものが検査値を調節するためのものであること、たとえば、糖尿病薬で血糖、HbA1cが下げるということがありますが、問題となるのは本来の薬の作用ではなく、いわゆる副作用としていろいろな臓器に影響を与えた結果、検査値が変動を起こす場合です。特に影響を受けやすく、検査結果に影響が出やすいのは、肝臓、腎臓などです。たとえば、尿酸を下げる薬で肝障害が出たり、鎮痛消炎解熱剤で腎障害が出たりすることがあります。
その他、脂質を下げる薬で筋肉の障害が来されてクレアチニンキナーゼが上昇することや、肝臓の薬の小柴胡湯で肺に障害が出て、KL-6という検査値に影響が出ることがあります。臓器障害を起こしやすい薬については、肝臓、腎臓、肺などの検査を定期的に行って、副作用のチェックをするのが一般的です。

●日本臨床検査専門医会:種々の検査を通して診断や治療に役立つ検査結果と関連する情報を臨床医に提供する臨床検査医の職能団体です。