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検査値異常の判断法

採血に関する基礎知識について[ラボ NO.442(2015.11.発行)より]

採血の方法と検査値
採血のとき、注射器でとる場合と、針を刺したままで容器を差し替えてとる場合がありますが、2つのやり方にはどんな意味があるのですか?

採血の方法と検査値
採血のとき、注射器でとる場合と、針を刺したままで容器を差し替えてとる場合がありますが、2つのやり方にはどんな意味があるのですか?

確かに採血には2つのやり方があります。前者の注射器で採血するのは以前から広く行われている方法ですが、この場合、採血した後、検査のための試験管に小分けする必要があります。それに対して後者は比較的新しい方法で、針を血管に刺したまま真空にした採血管(真空採血管)をセットするだけで検査の目的に応じた血液量が正確にとれます。
注射器でとった場合の問題として、試験管に小分けする量を間違えたり、針で手を刺したりすることがあります。また小分けするまでに時間がかかることもあります。量を間違えたり、時間がかかったりすると、血液の固まり具合や細胞の数をみる検査、電解質の検査などが誤った値になります。しかし、注射器を用いた採血には利点もあります。小児や頻回に採血して血管が細くなった患者さんの場合は、真空採血管を用いた採血より採血が容易です。
つまり、状況に応じて、注射器による採血方法と真空採血管による採血を使い分けています。

採血の方法と検査値
採血のとき、色や大きさが異なる、いろんな容器に血液をとっていますが、どんな意味があるのですか?

採血の方法と検査値
採血のとき、色や大きさが異なる、いろんな容器に血液をとっていますが、どんな意味があるのですか?

一口に血液検査といっても、検査の内容によって採血量はもちろん、扱い方が異なります。たとえば、肝臓や腎臓、ホルモン等の検査では血液の中の液体成分を用いますが、血液細胞を検査する場合は、採血管に血液を固まらせない薬を入れておく必要があります。血液が固まると赤血球や血小板といった血液細胞の数がとても低い値となります。他に血液の固まる力や血糖の検査でも、特殊な薬が入った採血管にとらねばなりません。
採血管を間違えると、凝固の力を示す値や血糖の値、あるいはある酵素の値が低く出たり、ナトリウム、カリウム、カルシウムといった電解質が高くなったりなど、診断や治療を誤らせることにつながります。
すなわち、採血管の蓋の色や大きさを違えることで見分けやすくして、事故を防いでいるのです。

採血後の出血を防ぐために
血後、皮下出血が起こったとき、検査技師さんに尋ねたところ大丈夫ですと言われました。本当に大丈夫ですか?

採血後の出血を防ぐために
血後、皮下出血が起こったとき、検査技師さんに尋ねたところ大丈夫ですと言われました。本当に大丈夫ですか?

皮下に出血すると腫れたり、青黒い皮膚色になったりしますが、これ自体はまったく問題ありません。治るまでに、数日あるいは数週間かかりますが、必ずもとに戻ります。検査の値にも影響はありません。
でも皮下出血はないに越したことはありません。どんなときに出血しやすいかと言いますと、もっとも多い原因は採血した部位をきちんと押さえていないことによるものです。「5分程しっかり押さえてください」と言われても、1分も経たないうちに緩めてしまうために出血することがよくあります。とくに、血をさらさらにする薬を飲んでいると出血しやすいのです。この場合、止血には少なくとも10分はかけましょう。医療従事者が注意を促すこともありますが、自分のことは自分で守りましょう。

●日本臨床検査専門医会:種々の検査を通して診断や治療に役立つ検査結果と関連する情報を臨床医に提供する臨床検査医の職能団体です。