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見逃せない検査異常

アミラーゼ[ラボ NO.545(2024.6.発行)より]

アミラーゼとはなに?

アミラーゼは、でんぷんを消化する重要な酵素の一つです。でんぷんが消化されるとブドウ糖となり、糖質はエネルギー源として一番重要であるため、アミラーゼの働きは人体にとってなくてはならないものといえます。
アミラーゼは主に膵臓と唾液腺から分泌されるため、血液検査でアミラーゼが高値の場合は、膵臓や唾液腺の病気の可能性があります。また、腎臓の病気やストレスでも高値になることがあります。そのため、アミラーゼが高値というだけでは特定の病気が分かることは稀であり、他の血液検査や尿検査、超音波やCTなどの画像検査と組み合わせることで鑑別していきます。

アミラーゼの分類

アミラーゼが高値の場合は膵由来と唾液腺由来のことがほとんどであるため、アミラーゼアイソザイムを測定して、膵型(P型)と唾液腺型(S型)に分類します。

どういう病気で異常値になるの?

①膵型(P型)が高値の場合
多くは急性膵炎や慢性膵炎、膵嚢胞そして進行した膵がんの存在などが疑われます。急性膵炎では重症の場合、生命に関わってきますので、アミラーゼの異常高値は診断に重要です。強い腹痛や下痢、発熱の有無などの診察所見や炎症所見の有無、他の膵酵素であるリパーゼ値や、尿中に排泄されるアミラーゼ値を測定して異常高値になっていないか、また超音波や CT で画像診断と重症度分類を行います。
膵炎の主な原因は、男性ではアルコールや高脂肪食の摂りすぎ、女性では胆石症の存在です。膵炎が長期にわたると慢性化します。その場合は必ずしもアミラーゼは高値にならない場合もあり、他の検査との組み合わせで診断します。慢性膵炎になると正常な膵臓の働きが悪くなり、消化や血糖コントロールが悪くなります。

②唾液腺型(S型)が高値の場合
唾石症や流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)などで高値になります。また、ストレスでもこの型のアミラーゼが高値になるといわれ、交感神経の緊張が原因となることがわかっています。
その他、腎不全、マクロアミラーゼ血症(アミラーゼが免疫グロブリンや多糖体と複合体を形成して大きくなったもの)で、腎臓で排泄されにくくなっても血中アミラーゼは高値になります。

アミラーゼが高値と言われたら

基準値より高値と指摘されたら、内科を受診し精密検査を受けましょう。
症状がなくても、膵型アミラーゼ高値では膵がんが隠れている場合もあるため、膵がんの腫瘍マーカー測定や、超音波やCT、またはMRIなどの画像診断も受けることがすすめられます。慢性膵炎の場合は、断酒や低脂肪食などの食事療法が必 要となります。アミラーゼ 高値を放置しないようにしましょう。

●日本臨床検査専門医会:種々の検査を通して診断や治療に役立つ検査結果と関連する情報を臨床医に提供する臨床検査医の職能団体です。