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見逃せない検査異常

白血球[ラボ NO.531(2023.4.発行)より]

白血球は戦う細胞

血液の中には、白血球、赤血球、血小板という 3 種類の血球があって、それぞれがとても大切な働きをしています。体の中に侵入してきた病原体と戦って体を守ってくれる白血球、肺から取り入れた酸素を体の隅々まで運ぶ赤血球、血を止める働きをする血小板があります。今回は白血球のお話です。

白血球はどうやって病原体と戦うの?

個人差はありますが、白血球は血液 1μL(1 つの辺の長さが 1mmの立方体)の中に、4000 ~ 8000 個ほど入っています。一口に白血球といっても、その中でいくつかのメンバーに分かれます。
いちばん数が多い好中球は、敵をパクパク食べて自分の中に取り込んで溶かしてしまいます。
次に数が多いリンパ球は、T リンパ球や B リンパ球などに分類できます。T リンパ球は、敵をみつけたら、“ 戦うぞ ” という合図を出したり、敵に体当たりしてやっつけたりします。B リンパ球は、“ 抗体 ” という敵と戦うための飛び道具を作ります。他にも数は少ないですが、単球、好酸球、好塩基球というメンバーがいて、それぞれ自分の持ち場で頑張ります。これらの白血球のメンバーは、大きさや形が違うので、機械(分析機)で区別できます。

白血球の検査で異常を指摘されたら?

白血球の検査では、数が多かったり少なかったりと、数の異常を指摘されることがいちばん多いです。しかし、これだけでは “ 病気 ” とは言いきれません。もともと、他の人よりも白血球の数が多めの人や少なめの人がいます。また、先ほどの説明のように、白血球には病原体と戦う役割があり、数が変動しやすい性質があります。病原体が入ると、みるみるうちに数を増やし、一生懸命に敵をやっつけます。例えば、風邪をひいたタイミングで血液検査をすると、数が多くなっていることがあります。また、一部のウイルス感染では、数が減ることもあります。他にも、薬剤や寄生虫などが悪さをしていたり、栄養不足やアレルギーが影響していることもあります。このような反応性の変化は病気ではないですが、それでは説明できないほどの大きな数の異常がないか、白血球分画の異常(白 血球のメンバーの偏り)がないかをみて、本当の血液の病気が隠れていないかを探ります。

詳しい検査が必要なときもあります

白血球を詳しくみる方法があります。ガラスの上に血液を薄く塗って色素で血球を染めた後に、顕微鏡を使ってじっくりと観察します。形に異常がある時や、幼弱な細胞がみられたとき、血小板や赤血球にも異常がみられたときなどは、骨髄異形成症候群や白血病といった血液の病気が疑われます。より詳しい検査では、骨の中の骨髄(血液の生産工場)をとってきて、血球の数や形をみることもあります。このような検査が必要な場合は、血液疾患の診療を行う医療機関でみてもらうことが必要です。

●日本臨床検査専門医会:種々の検査を通して診断や治療に役立つ検査結果と関連する情報を臨床医に提供する臨床検査医の職能団体です。