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アミラーゼ(ジアスターゼとも呼ばれます)とは、膵臓や唾液腺が作り出す消化酵素で、デンプンやグリコーゲンを分解することで消化を助ける作用があります。ものを食べると、まず咀嚼(かみ砕くこと)で食べ物を細かくし、次に唾液中のアミラーゼによる第一段階の分解が行われ、胃を通過し膵臓から分泌されたアミラーゼと十二指腸付近で混ざり合い、さらなる分解が行われます。大根おろしを食べると胃がもたれないと言われますが、これは大根おろしに含まれるジアスターゼ(アミラーゼ)が食べ物の消化を助けてくれるからです。
アミラーゼが高い場合は、唾液腺か膵臓のどちらかに変化がある可能性があります。また稀ではありますが、グロブリンというタンパク質がアミラーゼに結合してしまう体質の方(マクロアミラーゼ)では、数値が高くなりますが病気ではありません。唾液腺の病気では、耳下腺炎(おたふく等)や唾石症(唾液が固まりつまる)などが、膵臓の病気では急性膵炎(急激な腹痛)、慢性膵炎(検査での数値異常や腹痛の反復)、膵臓癌(腹痛・背部痛・体重減少など)などがあります。
アミラーゼは唾液由来のもの(S型)と膵臓由来のもの(P型)とで構造が異なるため、アミラーゼアイソザイムや膵アミラーゼを測定することで、どこに由来するアミラーゼなのかを判断します。また、膵臓の場合は尿中のアミラーゼも測定し、急性膵炎では血清カルシウムや貧血の値も参考になります。膵臓癌が疑われる場合はCEAやCA19-9などの腫瘍マーカーが検査されますが、血液検査だけではなく、CT、MRI(MRCP)、超音波などの画像診断が威力を発揮します。
アミラーゼが高い場合は膵臓に由来することが多いため、頬部(顔のほほの付近)に症状がなければ、まずは消化器内科の受診が必要です。頬部に違和感がある場合は耳鼻咽喉科での診療になります。消化器内科で問診を受け、採血、検尿、レントゲン検査などが行われます。お酒を多く飲まれる方や油ものを多く摂られる方は、食生活を改善することも重要ですので、受診前にまず食生活を振り返ってみてください。
●日本臨床検査専門医会:種々の検査を通して診断や治療に役立つ検査結果と関連する情報を臨床医に提供する臨床検査医の職能団体です。