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γ-GT(ガンマ・グルタミル・トランスフェラーゼ)は肝臓や腎臓の細胞でアミノ酸の代謝に関わる酵素のひとつです。かつてはγ-GTPという名前で呼ばれました。血液で調べられるγ-GTは肝臓の細胞から血液へと流れ出た量を測っています。γ-GTはアルコール摂取に敏感に反応して肝臓で作られる量が増加し、血液検査でも値が高くなります。このためアルコールによる肝臓の障害の指標として重要です。また、胆道結石症など、肝臓で作られる胆汁が腸管へとうまく排出されないときも血液中の値が増加します。
γ-GTは飲酒量を鋭敏に反映するため、晩酌など飲酒の習慣の有無で血液中の値が大きく変わります。健康な人の測定値の中央95%を含む値として示される「基準範囲」では、男性が12~65 単位(U/L)、女性が9~38 単位と男性が高い値となります。しかし、その差の大部分は飲酒習慣の差によるとされ、男性でも飲酒習慣のない人に限ると上限がより低い値になります。このため、健康診断では飲酒しない人の上限値を判定基準とすることがあります。例えば、特定健診では、男女とも51 単位以上を生活習慣改善指導の対象とする判定値、101単位以上を医療機関の受診を推奨する判定値としています。
アルコール性の肝障害(アルコール性肝炎、アルコール性脂肪肝、アルコール性肝硬変)が代表的ですが、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝がんでも異常を示すことがあります。胆石症、胆道結石症や膵臓がんなどでも異常となることがあります。
また、アルコール以外の薬物の服用に反応して値が高くなることもあります。お酒や薬を飲んでいないのにγ-GTが高くなる方には、サプリメントや生薬・漢方薬など、ご本人があまり薬と認識していないものの服用が原因となるケースもあり、注意が必要です。
γ-GTだけが高い場合には、アルコールが原因の場合が大部分です。最近の飲酒量を振り返ってみましょう。2週間ほどお酒を控えて再度検査をしてγ-GTが低下すれば、アルコールの影響と考えられます。ASTやALTなど他の肝機能検査にも異常がある場合には、肝臓の細胞にもダメージがある状態ですので、超音波検査などによる精査を受ける必要があります。
●日本臨床検査専門医会:種々の検査を通して診断や治療に役立つ検査結果と関連する情報を臨床医に提供する臨床検査医の職能団体です。