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乳酸脱水素酵素(LD)とは、細胞の中で糖分が分解されてエネルギーを作る段階で働いている酵素(蛋白質)です。体の中のいろいろな組織に存在しますが、特に肝臓、心臓、腎臓、肺、筋肉、赤血球などに多く存在しています。
これらの組織が壊れると、LDが血液中に出てきます。臨床検査では、血液中に流れ出てきたLDの値を測定しています。組織、臓器の中のものを測定しているのではありません。
血液中のLDが高いときは、LDを多く含む臓器が障害を受け壊れたために、血液中にLDが流れ出ていることを意味します。LDが上昇する主な疾患については、図を参照してください。
なおLDは、病気でなくとも運動によって上昇することが知られています。また採血の際に、何らかの原因で赤血球が試験管内で壊れたときにも上昇します。
LDが低いために臨床的に問題になることはきわめて稀です。きわめて稀な疾患ではありますが、ある遺伝性の疾患では低値を示します。
検査の前数日間は運動を控えましょう。LDは運動により上昇することが知られており、一旦上昇すると運動を止めても数日間は高値が続くといわれています。なお、食事の影響を受けることはありません。
自覚症状はなくとも、放置していると悪化または進行する病気がかくれている可能性があります。医療機関を速やかに受診し、医師と相談しさらなる検査を受けることが必要です。
LDは多くの病気を反映しているので、LDの値だけではどの病気かはわかりませんが、LDアイソザイムを測定するとある程度検討がつきます。アイソザイムというのはLDの型で、1型から5型まであります。どの型が多いかにより、どの臓器の疾患かある程度検討がつきます。さらに血液生化学検査を併用することで、どの疾患の可能性が高いかがより明らかにあります。例えば、肝臓の病気でLDが上昇していた場合は、ASTやALT、γ-GTも上昇します。
必要に応じて、疾患の重症度や性質について知る目的でさらなる精密検査(画像診断や内視鏡など)を行っていき、適切な治療ができるようにしていきます。
●日本臨床検査専門医会:種々の検査を通して診断や治療に役立つ検査結果と関連する情報を臨床医に提供する臨床検査医の職能団体です。