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血糖値は血液中のブドウ糖の濃度です。これに対し、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)は、赤血球のヘモグロビンに血液中のブドウ糖が安定して結びついたものです。赤血球の寿命は約120日ですので、過去1~2ヵ月間の血糖の平均を反映し、血糖値が高い状態が続くとHbA1cも高くなります。
糖尿病は慢性的に高血糖が続く病気ですが、食事や運動により血糖値は変動するため、血糖値のみの測定では、その人の血糖コントロールの状況は正確にはつかめません。HbA1cは長期間の血糖コントロール指標として有用です。
HbA1cは1~2ヵ月の血糖の平均値を表すため、病院に来る前の数日間だけ血糖をよくしても、HbA1cには反映されません。また、経口糖尿病薬やインスリンで治療されている患者さんで、1日の中で高血糖や低血糖を繰り返すような悪い血糖コントロールの人でも、血糖値の平均であるHbA1cは見かけ上よく出てしまうこともあります。
HbA1cの表記には、日本で使用しているJDS値と、米国を中心として日本以外のほぼすべての国が使用しているNGSP値があります。
新しい薬の効果や血糖コントロールと合併症の関連を見る研究などを、国際的に共有したり比較したりするために、HbA1cの国際標準化が必要とされてきました。
そこで、日本でも、2012年4月よりNGSP値を使用することになりました。HbA1cのNGSP値はJDS値より0.4%高く、それに伴い基準値も高くなりました。ですから、決して患者さんの血糖コントロールが悪くなったわけでも、目標値が甘くなったわけでもありません。
糖尿病の診断は、以前は血糖値で行われていましたが、2010年7月から糖尿病の診断基準が一部変更されHbA1cも診断に用いられることになりました。
HbA1c(NGSP)6.5%以上を糖尿病型とし、血糖値の糖尿病型(空腹時血糖126mg/dl以上、75gブドウ糖負荷試験2時間値200mg/dl以上、随時血糖200mg/dl以上のいずれか)と合わせて糖尿病の診断に至ります。
糖尿病は放置すると網膜症・腎症・神経障害などの合併症を引き起こし、さらに心筋梗塞や脳卒中など、動脈硬化による病気も起こりやすくなります。早期に発見して、早期に治療することが大切です。