ASSOCIATION
専門医会のご案内
Guests
細菌やウイルスに感染すると、その患部では炎症が起こります。炎症は身体を守る反応で、損傷部から異物の侵入を防いで、組織を修復するという段階を踏みます。必要な物質や細胞を供給するため、患部に注ぐ動脈の血流量が多くなり、患部が赤く腫れるのです。
さらに受傷部では白血球が集まり、組織修復に必要な細胞や物質を集めるために信号となる物質(サイトカイン)を出します。この信号は血液中に入って全身に伝えられ、これに反応した肝臓がすぐに合成し、血液中に放出する蛋白質のひとつがCRPで、炎症反応の指標として臨床でよく使われます。
CRPとは、C反応性蛋白(C-reactive protein)の略で、肺炎球菌という細菌がもつC多糖体に結合する性質に由来します。
炎症の指標としては古くから赤沈(血沈ともいう)が有名ですが、炎症が起こるとCRPは赤沈よりも早く増加し、治まればより速やかに陰性化する特徴があります。
平時には血中CRPはほぼ0です。炎症が起こると、その程度に応じてCRPが増加します。つまりCRPが高いほど広範囲で強い炎症が起きていると考えられます。
しかし以下の点に気をつけましょう。
❶感染症の他、外傷、皮下出血、火傷、手術、自己免疫疾患、梗塞、腫瘍でも炎症が起こるので、CRP増加が見られます。
❷感染症でも、CRPが上昇しやすい場合と上昇しにくい場合があります。細菌感染では鋭敏に上昇しますが、ウイルス感染ではあまり上昇しません。
❸炎症の始まりとCRPの上昇には時間差があります。CRP増加は炎症発生の半日後くらいに確認され、最高値は炎症刺激発生の2~3日後といわれます。炎症の原因疾患に適切な治療が始められても、2~3日後まではCRP値の上昇が続く可能性があります。
測定技術の進歩と多くの結果解析から、明らかな炎症がないのにごく微量のCRPが検出される場合に、動脈硬化が絡んでいることが判明しました。動脈硬化を促進するメカニズムも解明され、炎症とCRPが動脈硬化の増悪に関わることもわかりました。
現在では、高感度CRP測定は心血管疾患のリスク予知にも活用されています。CRPの新たな側面です。