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検査値異常の判断法

診断のための臨床判断に必要な検査について③[ラボ NO.456(2017.1.発行)より]

血圧が高いと言われた

診察室での血圧が 140/90mmHg以上、家庭での血圧が135/85mmHg 以上の場合に高血圧と判定します(日本高血圧学会 2014)。高血圧症患者さんの約90%は、明らかな原疾患がない本態性高血圧症です。
一方、高血圧症の中には特定の疾患による二次性高血圧症が10%程度含まれます。最近では、高血圧症患者さんの20人に1人が原発性アルドステロン症であるとまでい われています。二次性高血圧症は、原疾患が治療できれば血圧も下がります。患者さんが比較的若年で、かなりの高血圧(とくに拡張期血圧)、かつ降圧薬が効きにくいという状況では、二次性高血圧症を疑い鑑別診断をしっかり行う必要があります。
治せる二次性高血圧症のうち、腎動脈狭窄が原因の腎血管性高血圧症ではレニン活性、原発性アルドステロン症ではアルドステロン、クッシング症候群ではコルチゾールやACTH、褐色細胞腫ではカテコラミン(アドレナリン・ノルアドレナリン)が血液検査で異常値を呈します。

血糖が高いと言われた

健診では空腹時血糖値を測定します。110mg/dL未満であれば「正常型」、110mg/dLを越えれば「血糖値が高い」ということになりますので、次いで、糖尿病型か否かを確認します。
①~④のいずれかに該当すると「糖尿病型」と判定します。
①早朝空腹時血糖値 126mg/dL以上
②75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値 200mg/dL以上
③随時血糖値 200mg/dL以上
④HbA1c 6.5%以上

①~③は、検査時点での高血糖をみているだけですので、「糖尿病である」と診断するには、慢性的な高血糖が存在していることを立証します。
最近、動脈硬化の危険因子として食後高血糖( 血糖値スパイク: 参照 www.nhk.or.jp/special/kettouchi/)が話題になっています。空腹時血糖値が正常でも安心はできませんね。

中性脂肪が高いと言われた

中性脂肪は食事をすると直ちに血中で高値を示しますので、空腹時の値で判断をします。日本動脈硬化学会では、基準範囲:30~149mg/dL、150mg/dL以上を「高中性脂肪血症」としています。
中性脂肪は、そもそも食事の影響で上がったり下がったりしていますので、よほどの高値でないかぎり、ただちに何か問題を起こすようなことはありません。しかし、内臓脂肪型肥満に加えて高血圧・高血糖・脂質異常症(中性脂肪が高いand/or HDL-コレステロールが低い)があると、1つ1つの異常はごく軽度であっても、急速に動脈硬化が進行することが知られています。これがメタボリックシンドロームです。
メタボリックシンドロームでは、2型糖尿病の発症リスクが3 ~ 6倍、心血管疾患発症リスクおよび死亡リスクは1.5 ~ 2倍になるとされています。

●日本臨床検査専門医会:種々の検査を通して診断や治療に役立つ検査結果と関連する情報を臨床医に提供する臨床検査医の職能団体です。