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臨床検査医の方へ

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新規保険収載検査

D014 自己抗体検査 区分 E2(既存項目・変更あり) 抗カルジオリピンIgG抗体 抗カルジオリピンIgM抗体 抗β2グリコプロテインI IgG抗体 抗β2グリコプロテインI IgM抗体 D012 感染症免疫学的検査 区分 E3(新項目) アスペルギルスIgG抗体

令和6年7月より保険適用 D014 自己抗体検査 区分 E2(既存項目・変更あり)
抗カルジオリピンIgG抗体
抗カルジオリピンIgM抗体
抗β2グリコプロテインⅠ IgG抗体
抗β2グリコプロテインⅠ IgM抗体
1. D014 自己抗体検査 区分 E2(既存項目・変更あり)
抗カルジオリピンIgG抗体
抗カルジオリピンIgM抗体
抗β2グリコプロテインI IgG抗体
抗β2グリコプロテインI IgM抗体
保険点数 226点
製品名 BioPlex APLS IgGキット
BioPlex APLS IgMキット
製造販売元 バイオ・ラッド ラボラトリーズ株式会社
使用目的 血清中の抗リン脂質抗体(抗カルジオリピン(CL)IgG抗体及び抗β2グリコプロテインI(β2GPI)IgG抗体)の検出(抗リン脂質抗体症候群の診断の補助)
血清中の抗リン脂質抗体(抗カルジオリピン(CL)IgM抗体及び抗β2グリコプロテインI(β2GPI)IgM抗体)の検出(抗リン脂質抗体症候群の診断の補助)
測定方法 蛍光免疫測定(FIA)法(定性)
検 体 血清
有 用 性 海外における抗リン脂質抗体症候群患者と献 5rdddc血検体の測定結果から求めた感度、特異度は下記のとおりである。
抗カルジオリピンIgG抗体 感度65.7%、特異度100%
抗カルジオリピンIgM抗体 感度25.8%、特異度98.7%
抗β2グリコプロテインI IgG抗体 感度65%、特異度100%
抗β2グリコプロテインⅠ IgM抗体 感度28.5%、特異度98.7%
既存製品は抗リン脂質抗体検査の各項目を個別に測定する必要があるが、本製品は免疫蛍光分析装置BioPlex2200 システムの専用試薬であり、マルチプレックス法を用いて、グロブリンクラスが同じ2項目を同時に測定可能で、4項目を同一機器で測定できるため、報告までの時間の短縮につながる可能性がある。
説 明 抗リン脂質抗体には、抗カルジオリピン抗体、ループス抗凝固因子、ワッセルマン反応偽陽性などが含まれるが、これらの抗体を有し、臨床的に動・静脈の血栓症、血小板減少症、習慣流産・死産・子宮内胎児死亡などが認められる疾患を抗リン脂質抗体症候群と呼ぶ。全身性エリテマトーデスを始めとする膠原病や自己免疫疾患に認められることが多いが(続発性)、原発性抗リン脂質抗体症候群も存在する。また、多臓器梗塞が同時に認められる予後不良な病態は、劇症型抗リン脂質抗体症候群(catastrophic APS)と呼ばれる。
2023年に、約20年ぶりに抗リン脂質抗体症候群の分類基準が改訂された1)。従来の基準(2006年Sapporo基準シドニー改変)2)と異なり、臨床症状と検査結果がそれぞれ6つの臨床ドメインと2つの検査ドメインとして点数化され、臨床と検査、それぞれの領域のスコアの合計が3点以上となった時に抗リン脂質抗体症候群と分類される仕組みになっている。この基準は、あくまで観察研究や臨床試験で使用するために作成されたものであり、臨床現場での治療適応の判断にそのまま適応される訳でないことに注意が必要である。
留意事項 本品は、測定原理がFIA 法であり、現行の算定留意事項と合致しなかったため、下線部が追加された。
D014 自己抗体検査
(11) 抗カルジオリピンIgG抗体、抗カルジオリピンIgM抗体、抗β2グリコプロテインI IgG抗体、抗β2グリコプロテインI IgM抗体

ア. 「30」の抗カルジオリピンIgM抗体は、抗リン脂質抗体症候群の診断を目的として、ELISA法、CLIA法又はFIA法により実施した場合に、一連の治療につき2回に限り算定する。
イ .「30」の抗β2グリコプロテインI IgG抗体は、抗リン脂質抗体症候群の診断を目的として、CLEIA法又はCLIA法又はFIA法により実施した場合に、一連の治療につき2回に限り算定する。
ウ .「30」の抗β2グリコプロテインI IgM抗体は、抗リン脂質抗体症候群の診断を目的として、CLEIA法、CLIA法又はFIA法により実施した場合に、一連の治療につき2回に限り算定する。
エ. 「30」の抗カルジオリピンIgG抗体、抗カルジオリピンIgM抗体、抗β2グリコプロテインI IgG抗体及び抗β2グリコプロテインI IgM抗体を併せて実施した場合は、主たるもの3つに限り算定する。
参考文献 1) Barbhaiya M, Zuily S, Naden R. et al, 2023 ACR/EULAR antiphospholipid syndrome classification criteria. Ann Rheum Dis. 2023: 82: 1258–70.
2) Miyakis S, Lockshin MD, Atsumi T. et al, International Consensus Statement on an Update of the Classification Criteria for Definite Antiphospholipid Syndrome. Journal of Thrombosis and Haemostasis. 2006: 4: 295–306.
製品関連URL なし
文責:バイオ・ラッド ラボラトリーズ株式会社/監修:日本臨床検査医学会保険診療委員会
令和6年8月より保険適用 D012 感染症免疫学的検査 区分 E3(新項目)
アスペルギルスIgG抗体
2. D012 感染症免疫学的検査 区分 E3(新項目)
アスペルギルスIgG抗体
保険点数 390点
製品名 プラテリア アスペルギルスIgG抗体
製造販売元 バイオ・ラッド ラボラトリーズ株式会社
使用目的 血清中のアスペルギルスIgG抗体の検出(アスペルギルス感染の診断の補助)
測定方法 ELISA法(定量)
検 体 血清
有 用 性 アスペルギルス症の最好発臓器は肺であり、肺アスペルギルス症pulmonary aspergillosisは、侵襲性肺アスペルギルス症invasive pulmonary aspergillosis(IPA)、慢性肺アスペルギルス症chronic pulmonary aspergillosis(CPA)、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症allergic bronchopulmonary aspergillosis(ABPA)に大別される。
「アスペルギルス症の診断・治療ガイドライン2015」(一般社団法人 日本医真菌学会)において、CPAおよびABPAの診断上、標準治療に先立って行うべき検査としてアスペルギルス沈降抗体法が推奨されているが1)、本キットはアスペルギルス沈降抗体法と比較して、疾患群で陽性率が高く、臨床上鑑別が必要となるColonization群では陰性率が高い検査であることが報告されており2)、感度・特異度において十分な検査性能を有するといえる。また、アスペルギルス沈降抗体法は、測定時間が長く、判定も肉眼で行う検査であったのに対して、本キットは、測定時間が短く、客観的な結果を得ることができる。
アレルギー性気管支肺真菌症(ABPM)の診断基準として提唱されたAMEDアレルギー性気管支肺真菌症研究班による診断基準3)には、真菌の気道内定着に関する検査として「特異的IgG抗体」が記載されているが、本キットはABPAにおける「特異的IgG抗体」検査である。
臨床検体(アスペルギルス感染症が疑われる検体(IPAを除く)を用いた検討結果から求めた感度は83.0%、特異度は67.9%であった。
説 明 アスペルギルスAspergillusは、コウジカビの学名で、日本では身近なところにごく普通に見られる。アスペルギルス症を引き起こす菌種はごく少数で、A. fumigatus、A. flavus、A. niger、A. terreusで症例全体の95%以上を占めている。
本邦では、保険適用外ではあったが、海外のキットを用いてアスペルギルス沈降抗体法が行われていた。しかし、2022年7月に、このキットが販売中止となり、アスペルギルス沈降抗体法が行うことができなくなった。
この時、アスペルギルス抗体検査を継続して行いたいという臨床現場からの強い要望に応えるべく、「Platelia Aspergillus IgG」(研究用試薬)が発売された。この研究用試薬について、今回、改めて体外診断用医薬品として承認・販売されたのが本キット「プラテリア アスペルギルスIgG抗体」である。
本キットに用いられている抗原はAspergillus fumigatus由来であるが、本キットはnon-fumigatusのAspergillusとも反応することが確認されている。
なお、本キットの保険適用に伴い、アスペルギルス抗体の臨床診断における使用に関して、一般社団法人日本医真菌学会より、「アスペルギルス沈降抗体からアスペルギルス抗体への置き換えについて」として周知されている。
留意事項 現行の算定留意事項に対し、下線部が追加された。
D012感染症免疫学的検査
(38) 「42」の(1→3)-β-D-グルカンは、発色合成基質法、比濁時間分析法又はELISA法により、深在性真菌感染症が疑われる患者に対する治療法の選択又は深在性真菌感染症に対する治療効果の判定に使用した場合に算定する。
なお、本検査を「23」のカンジダ抗原定性、同半定量、同定量、「30」のアスペルギルス抗原、「32」のD-アラビニトール、「34」のクリプトコックス抗原半定量又は「35」のクリプトコックス抗原定性、アスペルギルスIgG抗体(ただし、慢性進行性肺アスペルギルス症と侵襲性肺アスペルギルス症の併存が疑われる患者に対して本検査を実施した場合を除く。)と併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。
(60) アスペルギルスIgG抗体は、ELISA法により、慢性進行性肺アスペルギルス症又はアレルギー性気管支肺アスペルギルス症が疑われる患者に対して測定した場合に、区分番号「D012」感染症免疫学的検査の「42」(1→3)-β-D-グルカンの所定点数2回分を合算した点数を準用して算定する。
なお、本検査は、関連学会の定める指針に従って実施すること。
参考文献 1) アスペルギルス症の診断・治療ガイドライン作成委員会 編:アスペルギルス症の診断・治療ガイドライン2015
2) Shinfuku k, Suzuki j, Takeda k, et al. Validity of Platelia Aspergillus IgG and Aspergillus Precipitin Test to distinguish pulmonary Aspergillosis from Colonization, Microbiology Spectrum, 10.1128/spectrum.03435-22
3) アレルギー性気管支肺真菌症研究班:アレルギー性気管支肺真菌症の診療の手引き. 東京:医学書院;2019.
製品関連URL なし
文責:バイオ・ラッド ラボラトリーズ株式会社/監修:日本臨床検査医学会保険診療委員会

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