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マラリアのDNA含有感染赤血球の計測に基づく定性判定 多項目自動血球分析装置 XN-31

令和 3年 9月1日より保険適用 D005 血液形態・機能検査 区分:C2(新機能・新技術)
マラリアのDNA含有感染赤血球の計測に基づく定性判定
多項目自動血球分析装置 XN-31
保険点数 40点
留意事項 マラリアが疑われた患者に対して、マラリアの診断を目的として、多項目自動血球分析装置を用いてDNA含有感染赤血球の計数に基づく定性判定を実施した場合は、本区分の「7」血中微生物検査を準用して算定する。ただし、マラリアの診断を目的として、他の血中微生物検査を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。
製品名 多項目自動血球分析装置 XN-31
製造販売元 シスメックス株式会社
使用目的 全血中の有形成分について、電気インピーダンスやフローセル中を移動する細胞へのレーザー光照射による光散乱または染料結合により、マラリア原虫などを含むDNA含有感染赤血球(MI-RBC)の計数に基づく定性判定を行いマラリアの診断を補助する機能、ならびに血小板や赤血球、白血球の計数、定量、同定、ヘモグロビンの測定、およびヘマトクリット値、赤血球恒数、赤血球分布幅、血小板分布幅、平均血小板容積、血小板クリット値、大型血小板比率の算出を行う自動血球分析装置である。
測定方法 シースフローDC検出法、半導体レーザーを使用したフローサイトメトリー法およびSLS-ヘモグロビン法により測定を行う。
検体 抗凝固剤 (EDTA-2K、EDTA-3KまたはEDTA-2Na) 加静脈血
有 用 性 本製品は、マラリアの診断補助を目的とした高度管理医療機器(クラスⅢ)として、国内で初めて薬事承認された体外診断用医療機器であり、感染症法におけるマラリア発生届出の基準となる検査方法としても認められている。マラリアは、早期診断・早期治療により死亡者数を減らすことができる疾患であり、診断に有用な検査結果を迅速かつ容易に提供可能な本製品を臨床現場へ提供することで、国内の輸入感染症対策への貢献が期待できるものと考えられる。
また、マラリア疑い患者由来の全血を用いて、本装置の[LM]モードによる判定結果とマラリア検査のゴールドスタンダードである顕微鏡検査法(以下、検鏡法)による判定結果とを比較した(盲検化比較試験)結果は以下の通りである。
1. 一致率
本装置によるMI-RBC判定結果と検鏡法によるマラリア感染有無の判定結果について、有効解析対象症例31例を対象に一致率を評価した。判定一致率は1.000(31/31例)であり、95%信頼区間の下限値は0.888と高く、本装置の[LM]モードによるMI-RBC判定結果は、検鏡法によるマラリア感染有無の判定結果と高い確率で一致することが示された。
2. 相関性
検鏡法においてマラリア感染陽性と判定された症例11例について、本装置の[LM]モードの測定値(MI-RBC%)と検鏡法の測定値(寄生率)を用いて相関係数および直線回帰式を算出した。相関係数は0.993、直線回帰式の傾きは0.937、切片は0.011であった。本装置の[LM]モードによるMI-RBC%の測定結果は、検鏡法による寄生率と非常によく一致することが示された。
3. 他の測定モードの結果
本装置が搭載する他の測定モードは以下の通りであり、共に良好な結果であった。
[希釈]モード:一致率1.000、相関係数0.993
[全血]モード:一致率1.000、相関係数0.993
説 明 世界保健機構(WHO)が定める世界三大感染症の一つであり、世界の熱帯・亜熱 帯地域を中心に広く流行しているマラリアは、蚊を媒介としてマラリア原虫によって引き起こされる原虫感染症で、マラリア原虫が体内に侵入すると、一定の潜伏期間を経て血液中の赤血球に感染し、高熱、頭痛、嘔吐、貧血などの症状が認められる。WHOの「World malaria report 2020」によると、2019年の罹患者数は約2.3億人、死亡者数は約41万人と報告されている。また、同レポートによると、マラリア流行地域以外も含め、年間推定3万人以上の旅行者や出張者が移動先でマラリアに感染し、帰国後に発症した症例が報告されている。すでにマラリアが撲滅された日本も例外ではなく、海外からの帰国者がマラリアを発症した 症例はこれまで年間約50例以上(2020年は除く)報告されている。
日本国内ではマラリアは撲滅していることもあり、マラリアが疑われず別の疾患として見逃されたり、マラリア検査が迅速に行えないことで診断や治療が遅れたりするケースがある。中でも熱帯熱マラリアは発症から24 時間以内に治療しなければ重症化する場合があり、早期診断が重要である。
また、これまでのマラリア検査は、顕微鏡検査や簡易キットによって実施されている。いずれも前処理を含めて約15~30分の時間がかかり、一度に大量の検査は実施できない。加えて、顕微鏡検査においては検査技師の技量に依存するところが大きいため、技師に対するトレーニングや品質担保の仕組みといった検査の標準化や、熟練した技師の確保が課題となっていた。
このように診断や治療の遅れが重症化を引き起こすリスクとなることから、マラリアに対する早期診断および検査の効率化・標準化が重要となっている。
製品関連URL https://products.sysmex.co.jp/products/hematology/xn31/index.html
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/kikiDetail/GeneralList/30200BZX00211000_A_01
文責:シスメックス株式会社/監修:日本臨床検査医学会臨床検査点数委員会

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