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本当です。なぜかというと、座ると重力で血液が足のほうにたまり、血管内の水分が血管外へ漏れるため、腕から採血したとき、いわゆる濃い血液が採血されるのです。立って採血したときは、さらに濃い血液となります。一方、横になって採血したときは血液の成分が均等になるので、座ったり立ったりして採血したときよりも薄い血液となります。
実際には立ったまま採血することはないのですが、外来などで歩いてきて、すぐに椅子に座って採血した場合、検査データに大きな影響を与えてしまうことになります。
大きな影響を受けるのは、血液細胞、蛋白、脂肪など血管を通りにくい粒の大きな成分です。代表的な検査として、赤血球数、ヘモグロビン、総蛋白、アルブミン、総コレステロール、コリンエステラーゼ、γ- GT(γ- GTP)、免疫グロブリンなどがあげられます。
どれくらい影響するかというと、横になって採血したときの値を基準とすると、座って採血したときはだいたい5%程度高くなります。ただし、ほとんど影響ないときもあれば1割程度高くなるときもあります。ところが立って採血した場合、すなわち歩いてすぐに座って採血した場合、1~2割高い値になります。座って30分程しないと元に戻りません。
そうです。違いが出るのです。具体例として、貧血の判断に用いられるヘモグロビンをあげて説明します。外来で立って待っていた、歩いてすぐに採血したといった条件が重なりヘモグロン15 g/dLであったのが、入院して横になって採血すると13.0~14.0 g/dLとなることがあります。大したことはないと思われるかもしれませんが、消化管に病気を持っている人であれば、出血しているかもしれないと考えてしまうのです。栄養状態を判断するアルブミンなら、外来では4.0g/dLが3.5g/dLとなって、患者さんの様態が悪くなったのではないかと疑ってしまうのです。
知識としては持っていますが、どのような体位で採血されたかまではわかりません。そこで、採血を受ける側としては、立ったまま待たずに椅子に腰掛けて待つ、歩いてきたときは椅子で休む(少なくとも10分程度)などして、採血を受ける条件を同じにするように心がけるしかないです。もし気になる場合は、採血を担当する臨床検査技師や看護師に相談するとよいでしょう。
●日本臨床検査専門医会:種々の検査を通して診断や治療に役立つ検査結果と関連する情報を臨床医に提供する臨床検査医の職能団体です。