
ASSOCIATION
専門医会のご案内
Guests
1抗原検査と PCR 検査の違いは何ですか?
新型コロナウイルスの世界的流行のため、抗原検査とPCR検査は身近なものになりました。抗原検査は、インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスの表面にある特有のタンパク質、すなわち「抗原」を検出します。迅速かつ簡便に実施できるため、薬局で販売されている自己検査や、外来での検査として広く使われています。
一方PCR検査は、インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスの中に含まれている遺伝子をPCRという方法で増やして検出します。PCRには専用の検査機器や試薬が必要であり、自己検査には用いられませんが、PCR検査は抗原検査と比較してウイルス量が少なくても検出できるところが優れています。
2検査が陰性なら感染していないと言えますか?
インフルエンザや新型コロナウイルスを疑う症状があり、抗原検査や PCR 検査が陽性であれば、高い確率でインフルエンザウイルスや新型コロナウイルスの感染症と診断することができます。一方、これらの検査が陽性になるまでには感染してからある程度時間がかかり、症状が出てもまだ検査が陽性にならないことがあります。ゆえに陰性=感染なし、と言い切ることはできません。
例えばインフルエンザでは、症状が始まってから 24 時間以内だと抗原検査は陽性にならないことがあります。新型コロナウイルス感染症は症状が出た頃には抗原検査も陽性になることが多いですが、陰性であっても新型コロナウイルス感染が疑わしく、他の原因もない場合には、時間をあけての再検査が保険診療上も認められています。このように、本当は感染しているのに検査が陰性であることを「偽陰性」と呼びます。
PCR 検査はウイルスの量が少なくても検出することができるため、抗原検査よりは偽陰性が少ないです。しかし、すでに治癒しているのに遺伝子だけが残っていると PCR 検査が「偽陽性」になるため、病院の中では隔離をやめてよいかなどの判断に迷うことがあります。
3自分で抗体検査を行うときの注意点は?
ご自身で抗原検査を行う場合の注意点は、使用説明書をしっかり読み、その通りに実施することに尽きます。抗原検査のキットは誰でも簡便に使用できるのが利点ですが、唾液や鼻ぬぐい液の取り方、付属する液体への入れ方、検査キットに液体を入れる方法、反応を待つ時間や判定の方法など、一連の操作方法のすべてをきちんと守ることが、正しい検査結果を得るためにとても重要です。検体を取るときには飛沫が周りに飛ばないようにし、使用した物品が他の人の感染の原因にならないようにも注意します。
●日本臨床検査専門医会:種々の検査を通して診断や治療に役立つ検査結果と関連する情報を臨床医に提供する臨床検査医の職能団体です。