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1検査結果の表に書かれている基準値(基準範囲)は正常値のことですか?
例えば、健康な人(健常者)の中でも、血液検査のヘモグロビン濃度は13g/dLの人や15g/dLの人がいます。LDLコレステロールの値も、70mg/dLや100mg/dLの人がいます。健常者の中でもかなり幅があるのです。そこで、図1のように健常者の95%が入る検査結果を基準範囲とし、検査値を判断するための目安としています。以前は正常値(正常範囲)と呼ばれてきましたが、正常と異常を必ずしも区別する値ではないためこの名称に改められました。
男女による差が大きいもの、例えばヘモグロビン濃度などは男女それぞれの基準範囲が決められます。年齢に
よって差が大きいものはそれぞれの年齢層ごとの基準範囲を設定しています。
2健康なのに異常値となることがありますか?
血液検査の結果は、健康であっても変動します。採血前に、食事をしていた場合には血糖や中性脂肪が高値となり、激しい運動後にはCK(クレアチンキナーゼ)が高値となり、基準範囲から大きく外れることがあります。また、一日の中でも変動が大きいものも多く、例えば血清鉄では朝高く、夕方低いという特徴があります。また、採血時の姿勢によっても変動します。正確な結果を得るために、指示を守って検査を受けてください。
3異常値と判断する値はどのように決めているのですか?
異常と判定する値には、次の3つがあります。
① 外れていたら、病気の診断をする値:図2のように、疾患を持たない群と疾患を持つ群の検査値は多くの場合一部重なりがあります。そこで、これより外れたら「異常」と判断する検査値(カットオフ値)は疾患ごとに設定されます。診断のための判定基準としてカットオフ値を図矢印に設定すると、疾患を持たない群の一部が陽性(偽陽性)、疾患を持つ者の一部が陰性(偽陰性)となります。偽陽性と偽陰性の少ない最適な位置にカットオフ値を決めています。
② 外れていたら、治療を必要とする値:血小板数、血糖、ヘモグロビンなどで異常値をみた際に治療を必要とする値です。
③ 外れていたら、予防を考える値:特定健康診断で測定する検査項目では生活習慣病の予防のために、コレステロール、尿酸などで予防行動の開始を促す値です。健診の結果とともに注意喚起されているものです。
●日本臨床検査専門医会:種々の検査を通して診断や治療に役立つ検査結果と関連する情報を臨床医に提供する臨床検査医の職能団体です。