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「血糖、HbA1c」の検査について[ラボ NO.428(2014.9.発行)より]

「血糖値」とはなんですか?

「血糖値」とはなんですか?

「血糖値」は、血液中に含まれるブドウ糖の量を表します。食事で摂取された糖質は消化酵素で分解されてブドウ糖になり、小腸から血液中に吸収されて、全身に運ばれます。ブドウ糖は、日常の身体活動の大切なエネルギー源です。血液中のブドウ糖の量は、食後には増えますし、運動後には下がります。検査データとして得られる血糖値はその瞬間の値を示していますので、測定したときの状態を把握する必要があります。このため、血糖値は、「空腹時血糖値」「食後血糖値」「随時血糖値」などと、細かく記録されます。健康な人でも食後の血糖値は上がります。問題なのは、血糖値が高い状態が続くことです。

自分の血糖値を知っていますか?

自分の血糖値を知っていますか?

血液中のブドウ糖が増えすぎて「高血糖」の状態が続くと、血糖値を正常にコントロールするインスリンの機能が低下してきます。これが、「糖尿病」の原因となります。健康診断で空腹時血糖値が100mg/dL以上の人は、リスクが高くなるので注意が必要です。健康に過ごすために、血糖値はとても大切な数値です。自分の血糖値を知っておきましょう。

「HbA1c」とはなんですか?

「HbA1c」とはなんですか?

「HbA1c(ヘモグロビン・エイワンシー)」は血液中の赤血球の中にある「ヘモグロビン(Hb)」という蛋白とブドウ糖が結合した物質です。血糖値が高い状態が長く続くと、血液中の余分なブドウ糖が赤血球の蛋白であるヘモグロビンと結合してグリコヘモグロビンという物質になります。このグリコヘモグロビンの一種で、糖尿病と密接に関係するのがHbA1cです。赤血球の寿命はおよそ120日(4カ月)で、この間に赤血球内のヘモグロビンと血液中のブドウ糖が少しずつ結びつきます。血糖値が高ければ、HbA1cが高くなりますが、HbA1cの値は、赤血球の寿命の半分くらいの時期(2カ月間)の血糖値の平均を反映します。つまり血液検査で得られたHbA1cの値をみれば、その日から2カ月前くらいまでの血糖の状態を推定できます。

HbA1cの値が変わりましたが、どうしてでしょうか。

HbA1cの値が変わりましたが、どうしてでしょうか。

2012年4月からHbA1cの表記方法が変わりました。HbA1c には、国際的に広く使用されているNGSP(National Glycohemoglobin Standardization Program)値と、日本で広く使用されてきたJDS(Japan Diabetes Society)値があります。日本だけが独自基準の数値を使っていると、さまざまな不都合が生じる可能性があるため、日本糖尿病学会は、HbA1cの表記方法を、JDS値からNGSP値に変更することを決めました。新しく採用されたNGSP値は、従来のJDS値よりも約0.4%高い値になります。そこで、HbA1c(NGSP)と示されている値はHbAic(JDS)と示されている値よりも高くなります。例えば、「糖尿病が強く疑われる」診断基準となるHbA1cは、JDS値では、「6.1%以上」でしたが、NGSP値では「6.5%以上」となります。HbA1cの基準範囲はJDS値で4.3~5.8%ですが、NGSP値では4.6~6.2%です。+0.4%という“見た目の印象”によって「HbA1cが悪くなった」あるいは「治療の目標が甘くなった」といった勘違いをしないように気をつけましょう。

●日本臨床検査専門医会:種々の検査を通して診断や治療に役立つ検査結果と関連する情報を臨床医に提供する臨床検査医の職能団体です。