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「総コレステロール(TC)、HDL-C、LDL-C」の検査について[ラボ NO.401(2012.6.発行)より]

コレステロールとは?

コレステロールとは?

コレステロールは、トリグリセリド(中性脂肪、TG)と異なりエネルギー源にはなりませんが、真核生物の生体膜の構成成分のひとつとして、膜の流動性を調節する役割以外に、ステロイドホルモン、ビタミンD、胆汁酸などの生合成原料として重要な化合物です。コレステロールの生体内での供給については、胆汁酸と複合体を形成して腸管より吸収される外因性コレステロールと、主に肝臓においてメバロン酸経路を経由して生合成される内因性コレステロールに大別されます。
コレステロールには遊離型コレステロール(FC)と脂肪酸が結合したエステル型コレステロール(コレステロールエステル、CE)があり、換言すれば臨床検査として測定される血清の総コレステロール(TC)はFCとCEの和です。
TCはコレステロールエステラーゼによりFCだけにして、コレステロールオキシダーゼが反応して測定される酸化酵素法によって定量されます。TCは動脈硬化のリスク因子、あるいは脂質異常症の診断として測定されてきましたが、本来、肝機能や栄養状態の指標として評価されます。

コレステロールの働きは?

コレステロールの働きは?

コレステロールは、リポ蛋白という粒子によって循環血液の中で運ばれています。リポ蛋白はCEとTGを粒子の内部核に持ち、その周囲にFCとリン脂質(PL)が局在し、表面をアポ蛋白が取り囲みます。
またリポ蛋白は密度(比重)とサイズにより、HDL(高比重リポ蛋白、d=1.063~1.021、粒子径7.5~10nm)、LDL(低比重リポ蛋白、d= 1.019~1.063、粒子径18~25nm)、IDL(中間比重リポ蛋白、d=1.006~1.019、粒子径25~30nm)、VLDL(超低比重リポ蛋白、d=0.96~1.006、粒子径30~80nm)とカイロミクロン(d<0.96、粒子径80~1000nm)に大きく分類されます。この中でVLDLとカイロミクロンは主にTGを運んでいますが、HDLとLDLはコレステロールの転送を主に担っています。

悪玉コレステロール、善玉コレステロール

悪玉コレステロール、善玉コレステロール

LDL-コレステロール(LDL-C)は、体内の各組織・細胞にコレステロールを供給していて、LDL受容体などによる制御を超え過剰になると、LDLは酸化LDLなどへ変性して、マクロファージの泡沫化が進み、動脈硬化を進行させるなどの理由から悪玉コレステロールと呼ばれます。
一方、HDL-コレステロール(HDL-C)は、動脈壁や末梢細胞に蓄積するコレステロールを回収し、肝臓へ逆転送するなどの抗動脈硬化作用を発揮することから、善玉コレステロールと呼ばれています。『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012』によりますと、脂質異常症スクリーニングのための診断基準では、空腹時採血において、LDL-Cが140㎎/dl以上を高LDL-C血症、120~139㎎/dlを境界域高LDL-C血症、HDL-Cが40㎎/dl未満を低HDL-C血症としています。ただし、TGが400㎎/dl以上、または食後採血の場合はLDL-Cの代わりにnon HDL-C(TC-HDL-C)を診断項目として使用し、その基準値はLDL-C+30㎎/dlとしています。LDL-CおよびHDL-Cともに、直接法試薬によって自動分析装置にて測定できますが、LDL-C直接法試薬は測定精度および標準化が不十分であるなどの問題が指摘され、現在詳細な検討が多施設共同研究の中で行われており、その成績の公開が期待されます。
かかる意味から、TGが400㎎未満の場合、LDL-CはFriedewaldの式(TC-HDL-C-TG/5)で算出することが先のガイドラインの中で推奨されています。