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男性のほうが女性より検査値が高い血液検査項目には、赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット、クレアチニン、尿酸、中性脂肪、γ-GTなどがあります。女性のほうが男性より値が高い項目には、HDL-コレステロールがあります。これらの項目は男女間で基準範囲が異なります。
男性ホルモンや女性ホルモンの影響があります。男性ホルモンには腎臓でのエリスロポイエチン( 造血因子)の産生を促す働きがあるため、 男性は女性に比べ赤血球数、 ヘモグロビン、ヘマトクリットが高くなります。女性ホルモンにはγ-GTの分泌を低下させる働き、 腎臓から尿酸の排泄を促す働きがあるため、女性は男性に比べγ-GTや尿酸が低値になります。 また、 女性ホルモンにはHDL-コレステロールの合成を促進する働きがあるため女性は男性に比べHDL-コレステロールが高値になります。
生活習慣の影響もあります。基準範囲を定める健常対象集団に飲酒習慣を持つ人が含まれている場合は、 γ-GTや中性脂肪が高く設定されます。一般に男性のほうが女性より飲酒習慣を持つ人が多いため、 男性のγ-GTや中性脂肪がより高値になります。また、男性は女性に比し肥満者が多いことも男性の中性脂肪がより高値になる要因のひとつです。
クレアチニンは筋肉の量に比例すると言われています。一般に男性は女性より筋肉量が多いため男性のクレアチニンは女性よりも高くなります。
痛風は圧倒的に男性に多い病気で、女性の痛風発症率は男性の10分の1から50分の1以下と言われています。痛風の原因は血中尿酸値の上昇です。痛風発作は尿酸が7.0mg/dLを超える状態が数年以上続かないと起こりません。この7.0mg/dLになるのに、平均的な成人男性(尿酸5.5mg/dL)では尿酸値が1.5mg/dL上昇すると到達してしまいますが、平均的な成人女性(尿酸4.0mg/dL)では3.0mg/dL上昇しないと到達しないので女性はなかなか高尿酸血症にならず痛風にもなりにくいのです。
●日本臨床検査専門医会:種々の検査を通して診断や治療に役立つ検査結果と関連する情報を臨床医に提供する臨床検査医の職能団体です。