D013 肝炎ウイルス関連検査 区分:E3(新項目)HCV抗体・HCVコア蛋白同時検出定性 エクルーシス試薬 HCV Duo D015 血漿蛋白免疫学的検査 区分:E3 (改良項目)免疫固定法(モノクローナル抗体を用いた場合)HYDRASHIFTダラツムマブ D014 自己抗体検査 区分:E3(新項目)抗GM-CSF抗体 KBM ラインチェック APAP D015 血漿蛋白免疫学的検査 区分:E2(既存項目・変更あり)TARC HISCL TARC試薬
1. D013 肝炎ウイルス関連検査 区分:E3(新項目)HCV抗体・HCVコア蛋白同時検出定性
エクルーシス試薬 HCV Duo
2. D015 血漿蛋白免疫学的検査 区分:E3 (改良項目)免疫固定法(モノクローナル抗体を用いた場合
HYDRASHIFTダラツムマブ
3. D014 自己抗体検査 区分:E3(新項目)抗GM-CSF抗体
KBM ラインチェック APAP
4. D015 血漿蛋白免疫学的検査 区分:E2(既存項目・変更あり)TARC
HISCL TARC試薬
令和6年10月1日より保険適用 | D013 肝炎ウイルス関連検査 区分:E3(新項目) HCV抗体・HCVコア蛋白同時検出定性 |
1. D013 肝炎ウイルス関連検査 区分:E3(新項目) HCV抗体・HCVコア蛋白同時検出定性 |
保険点数 | 102点 |
製品名 | エクルーシス試薬 HCV Duo |
製造販売元 | ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社 |
使用目的 | 血清又は血漿中のC型肝炎ウイルスコア蛋白質(HCVコア抗原)及びC型肝炎ウイルス抗体(抗HCV抗体)の検出(C型肝炎ウイルス感染の診断の補助) |
測定方法 | 電気化学発光免疫測定法(ECLIA法)(定性) |
検 体 | 血清又は血漿 |
有 用 性 | C型肝炎ウイルス(HCV)のHCVコア抗原と抗HCV抗体を同時に検出するHCVスクリーニング試薬であり、早期診断の促進、診断精度の向上などによりHCV感染の取りこぼしを既存法(抗HCV抗体)よりも減らし、受療につなげる事が可能になります。 |
説 明 | 本品は、HCVコア抗原(HCVAG)検出用と抗HCV抗体(AHCV)検出用の2つの検査試薬で構成されます。HCVAGは、HCVコア抗原の検出にマウスモノクローナル抗体を使用します。AHCVは抗HCV抗体の検出のために、コア、NS3、NS4の合成ペプチドやリコンビナント・タンパク質を使用します。エクルーシス試薬 HCV Duoでは、HCVコア抗原と抗HCV抗体は、分析装置によって自動的に1つの検体から同時にそれぞれ検出可能です。また、エクルーシス試薬 HCV Duoの検査結果は分析装置により自動的にHCVAG、AHCV、HCVDUO(総合結果:HCVAGとAHCVのいずれか陽性であれば陽性、共に陰性であれば陰性)の3つの結果が算出されます。対応機種はコバス pro(免疫処理用 e801 モジュール)、コバス pure(免疫処理用 e402 モジュール)、コバス 8000(免疫処理用 e801 モジュール)です。測定時間は約27分です。本品は、従来のスクリーニング検査である「抗体」検査に「抗原」検査を組み合わせた、国内初のHCVスクリーニング試薬となります。HCVコア抗原は抗HCV抗体よりも感染初期に早くから検出されるようになること、またHCVコア抗原が陽性であればC型肝炎ウイルス持続感染者(HCVキャリア)と判別できることから、HCV感染初期の早期診断、HCV キャリアの早期発見と適切な治療への連携に貢献します。 |
注 意 点 | HCVコア抗原検査が陰性で抗HCV抗体検査が陽性の場合、HCVコア抗原検査の検出感度は十分でないことから、HCV核酸定量(HCV RNA)検査を実施し、確定診断を行ってください。 |
臨床試験成績 | 国立感染症研究所から供与を受けた C型肝炎ウイルス陽性検体パネル80例及びC型肝炎ウイルス陰性検体パネル53例を用いてHCVDUOの再検後の最終判定での本品と弊社既存製品(ECLIA 法)および他社既存製品(CLEIA 法) との相関性を検討したところ、良好な相関性が得られました。 弊社既存製品(ECLIA 法)との比較:陰性一致率:100%(53 例/53 例) 陽性一致率:100%(80 例/80 例) 全体一致率:100%(133 例/133 例) 他社既存製品(CLEIA 法) との比較:陰性一致率:100%(53 例/53 例) 陽性一致率:100%(80 例/80 例) 全体一致率:100%(133 例/133 例) |
留意事項 | (10)HCV抗体・HCVコア蛋白同時検出定性は、ECLIA法により測定した場合に、区分番号「D013」肝炎ウイルス関連検査の「5」HCV抗体定性・定量の所定点数を準用して算定する。 |
製品関連URL | https://diagnostics.roche.com/jp/ja/products/params/elecsys-hcv-duo.html |
文責:ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社/監修:日本臨床検査医学会保険診療委員会 |
令和6年11月より保険適用 | D015 血漿蛋白免疫学的検査 区分:E3 (改良項目) 免疫固定法(モノクローナル抗体を用いた場合) |
2. D015 血漿蛋白免疫学的検査 区分:E3 (改良項目)免疫固定法(モノクローナル抗体を用いた場合) HYDRASHIFTダラツムマブ |
保険点数 | 776点 |
販売名 | HYDRASHIFTダラツムマブ |
製造販売元 | SEBIA JAPAN株式会社 |
使用目的 | 血清中IgG、IgA、IgM、L鎖κ型及びL鎖λ型の検出 |
測定方法 | 免疫固定法(定性) |
検 体 | 血清 |
有 用 性 | 本品は、ダラツムマブ投与患者の治療効果判定に際して抗体薬由来のIgG-κの影響を回避し、患者血清中のM蛋白を正しく測定することを目的とした試薬です。 |
測定原理 | アガロースゲルを支持体として、患者血清と抗ダラツムマブ抗体を電気泳動します。電気泳動中、抗ダラツムマブ抗体は患者血清中のダラツムマブとの抗原抗体反応により免疫複合体を形成します。免疫複合体はダラツムマブよりも電気的移動度が大きいため、α-1 領域に移動します。支持体に各抗血清を展開させることで、抗原抗体反応による免疫沈降物を生成させ支持体上に固定します。未反応蛋白を除去した後、免疫沈降物を染色して視覚化し、各種免疫グロブリンを検出します。 |
説 明 | 多発性骨髄腫等に対する治療薬であるダラツムマブは、多発性骨髄腫細胞で過剰発現しているCD38に結合するヒト型抗CD38モノクローナル抗体で、IgG-κ型の抗体です。ダラツムマブの治療効果判定においては、免疫固定法により、患者血清中のM蛋白の有無を調べる必要があります。しかし、免疫固定法による確認の際にダラツムマブ由来のIgG-κの影響により、治療効果を正確に判定できない場合があります。本品は抗ダラツムマブ抗体を用いることにより、免疫固定法におけるダラツムマブ由来IgG-κをα-1領域に移動させることにより、ダラツムマブの影響を回避することができます。 |
留意事項 | D015(4)を次のとおり改める。 (4)免疫電気泳動法(抗ヒト全血清)、免疫電気泳動法(特異抗血清)及び免疫固定法(モノクローナル抗体を用いた場合) ア.「17」の免疫電気泳動法(抗ヒト全血清)、「24」の免疫電気泳動法(特異抗血清)及び免疫固定法(モノクローナル抗体を用いた場合)については、同一検体につき一回に限り算定する。 イ.同一検体について「17」の免疫電気泳動法(抗ヒト全血清)、「24」の免疫電気泳動法(特異抗血清)又は免疫固定法(モノクローナル抗体を用いた場合)のうちいずれかを併せて行った場合は、主たる検査の所定点数のみを算定する。 ウ.「24」の免疫電気泳動法(特異抗血清)は、免疫固定法により実施した場合にも算定できる。 エ.免疫固定法(モノクローナル抗体を用いた場合)は、ダラツムマブ由来のIgG-κの影響を回避することができるものとして薬事承認又は認証を得ている体外診断用医薬品を用いて、免疫固定法により、ダラツムマブが投与された患者における多発性骨髄腫又は全身性ALアミロイドーシスの治療効果判定を目的として行った場合に、区分番号「D015」血漿蛋白免疫学的検査の「29」免疫グロブリン遊離L鎖κ/λ比の所定点数2回分を合算した点数を準用して算定する。 |
参考文献 | 1) Moreau P, Hulin C, Perrot A. et al. Maintenance with daratumumab or observation following treatment with bortezomib, thalidomide, and dexamethasone with or without daratumumab and autologous stem-cell transplant in patients with newly diagnosed multiple myeloma (CASSIOPEIA): an open-label, randomised, phase 3 trial. The Lancet Oncology. 2021; 22(10): 1378–90. 2) Caillon H, Irimia A, Jason SS, et al. Overcoming the Interference of Daratumumab with Immunofixation Electrophoresis (IFE) Using an Industry-Developed Dira Test : Hydrashift 2/4 Daratumumab. Blood. 2016; 128 (22): 2063. 3) Murata K, McCash SI, C Brittany, et al. Treatment of multiple myeloma with monoclonal antibodies and the dilemma of false positive M-spikes in peripheral blood, Clinical Biochemistry. 2018 January ; 51: 66–71. 4) McCudden C, Axel AE, Slaets D, et al. Monitoring multiple myeloma patients treated with daratumumab: teasing out monoclonal antibody interference, Clin. Chem. Lab. Med. 2016; 54(6): 1095-104. 5) Rajkumar SV, Dimopoulos MA, Palumboet A, al. International Myeloma Working Group updated criteria for the diagnosis of multiple myeloma. The Lancet Oncology. 2014; 15(12): e538–e548. 6) 多発性骨髄腫の診療指針第5 版、日本骨髄腫学会, p33-36 7) Kumar S, Paiva B, Anderson KC, et al. International Myeloma Working Group consensus criteria for response and minimal response disease assessment in multiple myeloma. The Lancet Oncology, 2016; 17(8): e328-46. 8) Kumar SK, Callander NS, Alsina M, et al. Multiple Myeloma, version 3.2017, Clinical practice Guidelines in Oncology, Journal of the National Comprehensive Cancer Network, 15(2): 230-69. |
製品関連URL | https://www.sebia.com/ja/ressources/hydrashift-avoids-monoclonal-antibody-interference-on-immunofixation-ja/ |
文責:SEBIA JAPAN株式会社/監修:日本臨床検査医学会保険診療委員会 |
令和6年12月1日より保険適用 | D014 自己抗体検査 区分:E3(新項目) 抗GM-CSF抗体 |
3. D014 自己抗体検査 区分:E3(新項目)抗GM-CSF抗体 KBM ラインチェック APAP |
保険点数 | 1,380点 |
販売名 | KBM ラインチェック APAP |
製造販売元 | コージンバイオ株式会社 |
使用目的 | 血清中の抗GM-CSF抗体の検出(自己免疫性肺胞蛋白症の診断の補助) |
測定方法 | イムノクロマト法 |
検 体 | 血清 |
有 用 性 | 本品は、ダラツムマブ投与患者の治療効果判定に際して抗体薬由来のIgG-κの影響を回避し、患者血清中のM蛋白を正しく測定することを目的とした試薬です。 |
測定原理 | KBM ラインチェックAPAPは、イムノクロマト法(Immunochromatographic Assay)の原理に基づいた毛細管現象と抗原抗体反応を測定原理としている。検体をテストデバイスの検体滴下部に滴下した後、展開液を展開液滴下部に滴下することで、毛細管現象によりテストストリップ上を移動する。コンジュゲーションパッドに含浸された金コロイド標識抗ヒトIgGモノクローナル抗体は、検体中の抗IgG抗体と免疫複合体を形成しながら展開部を移動する。抗GM-CSF抗体が存在すれば、テストストリップ上の抗GM-CSF抗体判定部に固相化された遺伝子組換えヒトGM-CSFに捕捉され、テストライン出現位置に集積し赤紫色のラインが出現する。この赤紫色のラインを目視で確認し、検体中の抗GM-CSF抗体の有無を判定する。一方、遺伝子組換えヒトGM-CSFに捕捉されなかった免疫複合体は展開部をさらに移動し、展開部のコントロール判定部に固相化された抗マウス免疫グロブリン抗体により捕捉され、コントロールライン出現位置に紫色のラインが出現する。これはテストストリップ上で反応が正常に進んだことを示す。 |
説 明 | 肺胞蛋白症(PAP)は、肺胞および呼吸器気管支腔内に過剰なサーファクタントが貯留し、呼吸器不全が進行する希少疾患である。自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)はPAPの全症例の約90%を占めており、サーファクタント内の抗GM-CSF抗体の増加により発症するPAPであり、労作時呼吸困難や咳嗽などの症状がみられる疾患である。現在、PAPの診断は、画像所見及び病理・細胞学的所見により行っている。APAP患者は健常者やその他PAP患者と比較して血清中の抗GM-CSF抗体濃度が上昇している傾向にある。また、ガイドライン1)では、APAPの診断には、血清中の抗GM-CSF抗体がカットオフ値2)以上(陽性)であることを確認することが必要とされており、本疾患の治療法の一つである遺伝子組換えヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(recombinant human GM-CSF;rh GM-CSF)吸入療法を行う場合には、抗GM-CSF抗体の測定によるAPAPの診断が必須とされている。よって、本品による血清中の抗GM-CSF抗体の検出はAPAPの診断の補助に有用と考えられる。 |
臨床性能試験の概要 | 本品の最小検出感度は、概ね1.65 U/mLを示す。APAP陽性50例、続発性肺胞蛋白症(SPAP)、特発性肺胞蛋白症(IPAP)、特発性間質性肺炎(IIPs)、膠原病(CTD)、薬剤性肺炎(DIPD)、感染症(インフルエンザ肺炎、レジオネラ肺炎、ニューモシスチス肺炎)等を含むAPAP陰性50例、合計100例の血清を臨床性能試験に用いた結果、有病正診率(50/50)、無病正診率(50/50)、全体正診率(100/100)が100%であった。 |
留意事項 | D014 自己抗体検査 (31) 抗GM-CSF抗体は、自己免疫性肺胞蛋白症が疑われる患者に対して、イムノクロマト法により測定した場合に、区分番号「D014」自己抗体検査の「43」抗GM1IgG抗体、抗GQ1bIgG抗体の所定点数2回分を合算した点数を準用し、「希少疾病等の検査に用いるものとして配慮が必要な体外診断用医薬品に係る技術料の設定方法」に基づく係数150/100を乗じ算定する。なお、診断時に1回に限り算定でき、経過観察時は算定できない。 |
参考文献 | 1) 一般社団法人日本呼吸器学会肺胞蛋白症診療ガイドライン2022 作成委員会編. 肺胞蛋白症診療ガイドライン2022. 2) Nakata K, Sugi T, Kuroda K, et al. Validation of a new serum granulocyte-macrophage colony-stimulating factor autoantibody testing kit. ERJ Open Res. 2020; 6(1): 00259-2019. |
製品関連URL | 「ノーベルファーマ株式会社医療関係者向けホームページ」https://nobelpark.jp/script/druginfo/drgDtl.php?id=31 |
文責:コージンバイオ株式会社/監修:日本臨床検査医学会保険診療委員会 |
令和6年12月1日より保険適用(適用拡大) | D015 血漿蛋白免疫学的検査 区分:E2(既存項目・変更あり) TARC |
4. D015 血漿蛋白免疫学的検査 区分:E2(既存項目・変更あり)TARC HISCL TARC試薬 |
保険点数 | 179点 |
販売名 | HISCL TARC試薬 ※HISCL TARC試薬は、既に「アトピー性皮膚炎の重症度評価の補助、SARS-CoV-2陽性患者の重症化リスクの判定補助」を使用目的として保険適応を受けている。本資料は令和6年12月1日に追加で保険適応を受けた使用目的(薬剤性過敏症症候群(DIHS/DRESS)の診断の補助)に関する内容としてまとめており、「アトピー性皮膚炎の重症度評価の補助、SARS-CoV-2陽性患者の重症度リスクの判定補助」に関する【主な対象】、【主な測定目的】、【有用性】および【説明】については以下の記載から割愛している。 |
製造販売元 | シスメックス株式会社 |
主な対象 | 薬剤性過敏性症候群(DIHS/DRESS)とその他汎発型薬疹との鑑別診断が必要とされる患者 |
主な測定目的 | 血清中ヒトTARC量の測定(薬剤性過敏症症候群(DIHS/DRESS)の診断の補助) |
測定方法 | 化学発光酵素免疫測定法(CLEIA法) |
検 体 | 血清 |
有 用 性 | TARCはCCケモカインの一つ(CCL17)であり、リンパ球(CCR4を発現するTh2細胞)を炎症部位に遊走させる作用を持つ分子である1)。 奈良県立医科大学、昭和大学、杏林大学、横浜市立大学、愛媛大学の5施設において、重症薬疹が疑われた患者血清を用いてTARC測定の有用性を評価した2)。 DIHS/DRESS患者(30症例)、SJS/TEN患者(15症例)、MPE患者(17症例)の血清TARC濃度を測定したところ、薬疹の発症から15日以内の患者血清TARC濃度(21,023±17,040 pg/mL)は、SJS/TEN患者(1,543±2,770 pg/mL)及びMPE患者(2,142±3,056 pg/mL)と比較して有意に高値を示した(p<0.0001)。また、薬疹の発症から5~10日の急性期の患者検体に限った評価においても、DIHS/DRESS患者の血清TARC濃度(26,730±18,890 pg/mL)は、SJS/TEN患者(p<0.003)及びMPE患者(p<0.007)と比較して有意に高値を示した。 本研究において、血清TARC濃度のカットオフ値を4,000 pg/mLとした場合の感度、特異度は各々96.7%(29/30)、87.5%(28/32)であり、4,000 pg/mLを境にDIHS/DRESSと非DIES/DRESSを良好に区別できることが確認された。 |
説 明 | 薬剤性過敏症症候群(DIHS/DRESS)は、発熱や多臓器障害を伴う重症薬疹の一つであるが、発症早期には診断が困難なことが多く、また鑑別診断が必要な薬疹として、スティーブン・ジョンソン症候群(SJS)、中毒性表皮壊死症((TEN)、多形滲出性紅斑、多形紅斑型薬疹(EM)、播種状丘疹紅斑型薬疹(MPE)などがあり、各々の症状で治療法が異なることから、早期の鑑別診断が非常に重要になっている3)4)5)。 本品は、シスメックス株式会社の全自動免疫測定装置HISCL-5000、全自動免疫測定装置HISCL-800によって測定時間17分でTARCを測定することが可能な試薬である。 本品の判定上で必要な注意事項は、添付文書に記載の以下のとおりである6)。 ・以下の患者はTARC値に影響を与える恐れがあるため、正確な診断ができない可能性があります。重症アトピー性皮膚炎患者、皮膚T細胞リンパ腫の患者、移植片対宿主病(GVHD)の疑いがある患者、プレドニン換算で20mg/日以上のステロイドの全身投与を受けている患者、プレドニン換算で20 mg/日未満のステロイドの全身投与を5日以上継続されている患者。本品は急性期のDIHS/DRESSの診断補助を目的としているため、回復期には使用しないでください6)。 ・免疫反応においては、一般的に非特異反応により異常高値となる場合があることが知られていますので、測定結果に基づく診断は他の関連検査及び臨床症状等も含めて総合的に判断してください。非特異反応の原因としては、各種の自己抗体、不溶物(特にフィブリン)及び自然抗体などが考えられます6)。 ・測定結果が測定範囲上限を超えた検体は、別売りのHISCL検体希釈液(1%BSAを含むトリエタノールアミン緩衝液、pH7.5)を用いて希釈し、再検査してください。また検体を希釈する場合は正しく希釈してください6)。 |
留意事項 | 1.アトピー性皮膚炎の重症度評価の補助を目的として、血清中のTARC量を測定する場合に、月1回を限度として算定できる7)。 2.薬剤性過敏症症候群が疑われる患者に対し、当該疾患の鑑別診断の補助を目的として、血清中のTARC量を測定する場合に、一連の治療につき1回を限度として算定できる。ただし、医学的な必要性から一連の治療につき2回以上算定する場合においては、その詳細な理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること7)。 3.COVID-19と診断された患者(呼吸不全管理を要する中等症以上の患者を除く。)の重症化リスクの判定補助を目的として、血清中のTARC量を測定する場合は、一連の治療につき1回を限度として算定できる7)。 |
参考文献 | 1) Imai T, Nagira M, Takagi S, et al . Selective recruitment of CCR4-bearing Th2 cells toward antigen-presenting cells by the CC chemokines thymus and activation-regulated chemokine and macrophage-derived chemokine. Int. Immunol 1999: 11(1): 81-8. 2) K Ogawa 1, H Morito, A Hasegawa, et al . Elevated serum thymus and activation-regulated chemokine (TARC/CCL17) relates to reactivation of human herpesvirus 6 in drug reaction with eosinophilia and systemic symptoms (DRESS)/drug-induced hypersensitivity syndrome (DIHS). Br J Dermatol. 2014 Aug;171(2):425-7. 3) 水川良子、濱菜摘、新原寛之、 et al. 薬剤性過敏症症候群診療ガイドライン2023. 日皮会誌. 2024 134(3): 559-80. 4) 第61回先進医療会議(平成30年1月11日)における先進医療Aの科学的評価結果. 中医協 総-1-1 30.4.25、入手先 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000204583.pdf 5) 血清TARC迅速測定法を用いた重症薬疹の早期診断. 先-1 29.12.7 別紙1-1、入手先https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000186824.pdf 6) HISCL TARC試薬添付文書2023年8月改定(第7版)(オンライン)、入手先https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/ivdDetail/ResultDataSetPDF/340018_225AAAMX00132000_A_01_06 7) 保医発1129第8号令和6年11月29日 検査料の点数の取り扱いについて、入手先https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/shikoku/000364474.pdf |
製品関連URL | https://www.sysmex.co.jp/news/2024/241202.html |
文責:シスメックス株式会社/監修:日本臨床検査医学会保険診療委員会 |