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D023微生物核酸同定・定量検査 区分:E1(既存項目)SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)核酸検出

令和 5年 3月24日より保険適用 D023微生物核酸同定・定量検査 区分:E1(既存項目)
SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)核酸検出
D023微生物核酸同定・定量検査 区分:E1(既存項目)SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)核酸検出
Whole In One(R) SARS-CoV-2ダイレクト検出キット
保険点数 700点
製品名 Whole In One(R) SARS-CoV-2ダイレクト検出キット
製造販売元 株式会社ニッポンジーン
使用目的 唾液中のSARS-CoV-2RNAの検出(SARS-CoV-2感染の診断補助)
測定方法 本品は、蛍光標識プローブを用いたOne Step RTリアルタイムPCRにより、唾液中に含まれるSARS-CoV-2(N遺伝子)及び内在性コントロール(ヒトRNase P遺伝子)を同時に検出するキットである。
本品は、耐熱性逆転写酵素を採用しているため、リアルタイムPCR装置上で実施する逆転写ステップの前に、前処理の代わりとなる熱処理ステップを実施可能である。そのため、前処理が不要で、直接唾液をOne Step RTリアルタイムPCR用プレミックスへ添加することが可能となっている。
各遺伝子の検出には、Real-Time Reverse Transcription–Polymerase Chain Reaction Assay for SARS-associated Coronavirus (Emerging Infectious Diseases Vol. 10, No. 2, February 2004)、US CDC Real-Time Reverse Transcription PCR Panel for Detection of Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2 (Emerging Infectious Diseases Vol. 26, No. 8, August 2020)、病原体検出マニュアル2019-nCoV Ver.2.9.1(令和2年3月19日 国立感染症研究所)に記載されたプライマー(RP-F3のみ、RP-Fから上流22 bpに設計変更)及び蛍光標識プローブを使用している。
本品は、3つの試薬から構成されており、酵素を含む2×Whole In One Mix、RNase Inhibitor及びPrimer & Probe Mixを混合したOne Step RTリアルタイムPCR用プレミックスに、唾液を直接添加し、One Step RTリアルタイムPCRを行うことで、SARS-CoV-2 RNAと内在性コントロールのRNase P遺伝子の検出を行う。
本品の原理は、One Step RTリアルタイムPCRの最初の熱処理ステップで、唾液に含まれるウイルスからRNAを遊離させると共にRNAの高次構造をほぐし、次のステップで逆転写反応を行った後、蛍光標識プローブを用いたリアルタイムPCRを行う。蛍光標識プローブは5’末端にリポーターとなる蛍光色素、3’末端にクエンチャーとなる消光色素を修飾しており、反応前は、リポーターの蛍光はクエンチャーによって抑制されているが、伸⾧反応時にDNAポリメラーゼの有する5’-3’エキソヌクレアーゼ活性によって相補的な配列に結合した蛍光標識プローブが分解され、蛍光物質がクエンチャーから離れることにより、リポーターから蛍光が発せられる。この蛍光量をモニタリングすることで各標的配列の存在を検出する。
有 用 性 本品はOne Step RTリアルタイムPCRによってSARS-CoV-2RNAを高感度に検出するキットである。耐熱性逆転写酵素を採用したことで、通常であれば事前に行う必要がある唾液検体の熱処理を、リアルタイムPCR装置上で、プログラム開始時に実施することが可能となった。既存のダイレクトPCR試薬では必要な前処理が不要で、かつ操作が簡便なことから、大量の検体を検査する必要性の高いSARS-CoV-2感染の診断補助に有用と考えられる。
また、臨床性能試験成績については、以下の通りである。
唾液検体を用いて、本品と国立感染症研究所「病原体検出マニュアル2019-nCoV Ver.2.9.1」に記載されたRNA精製を行う手法(以下、感染研法)との比較試験を行った結果、陽性一致率96.7%、陰性一致率100%、全体一致率98.3%の結果となった。なお、本試験に使用した陽性検体には、10~20コピーのものが2検体、20~100コピーのものが1検体含まれている。
さらに、唾液検体から国立感染症研究所「病原体検出マニュアル2019-nCoV Ver.2.9.1」に記載された方法で精製されたRNAを用いて、本品と感染研法との比較試験を行った結果、陽性一致率100%、陰性一致率100%、全体一致率100%の結果となった。
留意事項 SARS-CoV-2核酸検出は、検査の委託の有無にかかわらず、本区分の「10」HPV核酸検出の所定点数2回分を合算した点数を準用して算定する。なお、採取した検体を、国立感染症研究所が作成した「感染性物質の輸送規則に関する ガイダンス2013-2014版」に記載されたカテゴリーBの感染性物質の規定に従って、検体採取を行った保険医療機関以外の施設へ輸送し検査を委託により実施した場合は、検査を実施した施設名を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
本検査は、国立感染症研究所が作成した「病原体検出マニュアル2019-nCoV」に記載されたもの若しくはそれに準じたもの又は体外診断用医薬品のうち、使用目的又は効果として、SARS-CoV-2の検出(COVID-19の診断又は診断の補助)を目的として薬事承認又は認証を得ているものにより、COVID-19の患者であることが疑われる者に対しCOVID-19の診断を目的として行った場合又はCOVID-19の治療を目的として入院している者に対し退院可能かどうかの判断を目的として実施した場合に限り算定できる。ただし、感染症の発生の状況、動向及び原因を明らかにするための積極的疫学調査を目的として実施した場合は算定できない。なお、検査に用いる検体については、厚生労働省の定める新型コロナウイルス感染症の検査に係る指針を参照すること。
COVID-19の患者であることが疑われる者に対し、診断を目的として本検査を実施した場合は、診断の確定までの間に、上記のように合算した点数を1回に限り算定する。ただし、発症後、本検査の結果が陰性であったものの、COVID-19以外の診断がつかず、本検査を再度実施した場合は、上記のように合算した点数をさらに1回に限り算定できる。
なお、本検査が必要と判断した医学的根拠を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
COVID-19の治療を目的として入院している者に対し、退院可能かどうかの判断を目的として実施した場合は、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律における新型コロナウイルス感染症患者の退院及び就業制限の取扱いについて(一部改正)」(令和3年2月25日健感発0225第1号)の「第1 退院に関する基準」に基づいて実施した場合に限り、1回の検査につき上記のように合算した点数を算定する。なお、検査を実施した日時及びその結果を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
本検査を算定するに当たっては、本区分の「10」の「注」に定める規定は適用しない。
参考資料 1) 病原体検出マニュアル2019-nCoV Ver. 2. 9. 1. 国立感染症研究所(オンライン),
入手先 https://www.niid.go.jp/niid/images/lab-manual/2019-nCoV20200319.pdf
2) 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針. 厚生労働省(オンライン),
入手先 https://www.mhlw.go.jp/content/000843685.pdf
3) 2019-nCoV(新型コロナウイルス)感染を疑う患者の検体採取・輸送マニュアル. 国立感染症研究所(オンライン),
入手先 https://www.niid.go.jp/niid/ja/2019-ncov/2518-lab/9325-manual.html
4) Emery S L, D Erdman D, Bowen M D, et al. Real-time reverse transcription-polymerase chain reaction assay for SARS-associated coronavirus. Study Emerg Infect Dis. 2004; 10(2): 311-6.
5) Lu X, Wang L, K S Senthilkumar, et al. US CDC Real-Time Reverse Transcription PCR Panel for Detection of Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2. Emerg Infect Dis 2020; 26(8): 1654-65.
製品関連URL https://nippongene.com/medical/product/ivd/sars-cov2.html
文責:株式会社ニッポンジーン / 監修:日本臨床検査医学会臨床検査点数委員会

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